安価なカレラに必要なオプションを選ぶ
text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
読者が新車を購入する時、沢山並ぶオプションリストから装備するものを選ぶ時間は、楽しく感じるだろうか。フォルクスワーゲン・ゴルフの場合は楽しいひと時かもしれないが、ポルシェ911となると、かなり気を使う作業となる。
既に安くない価格に、それなりの値段のオプションを丁寧に選んでいく。いつまでも悩んでいるわけにはいかないし、ホイールも含めてオプション内容が市場ニーズに合わないと、リセールバリューにも影響したりする。
標準のカレラは8万2793ポンド(1159万円)だから、カレラSの9万3111ポンド(1303万円)と比べると英国では1万318ポンド(145万円)ほど安く手に入る。パワーは17%劣り、21インチホイールは選べないが、同じ価格でオプションは結構なものが装備できる。
そんな理由もあって、筆者は一般的な選択肢となるカレラSではなく、標準により近いカレラに惹かれてしまう。実際、今回の試乗車は、削ぎ落とされた素の911というわけでもない。
1844ポンド(26万円)のスポーツエグゾーストに1600ポンド(23万円)の14ウェイ・スポーツシートのほか、9種類のオプションが追加され、総額で8100ポンド(113万円)の上乗せとなっていた。
エントリーグレードとなるカレラは、385psを生み出す水平対向6気筒ツインターボが搭載され、最大トルクは45.8kg-m。0-100km/h加速は4.2秒で、カレラSより0.5秒遅くても、充分に速い。
トップクラスの品質はグレードを問わず
最新型の992型カレラの場合、最高速度は289km/h。カレラSは307km/hだが、どちらもサーキットですら簡単に出せる数字ではない。
標準サイズの19インチホイールを履いたカレラにも、カレラSと同様にアクティブ・ダンパーが装備されている。多くのドライバーは1145ポンド(16万円)の追加費用を払って、Sホイールを選ぶだろう。SNSでの写真映えが良いから。
ポルシェのウェブサイトを見てみると、標準のホイールも悪くないと思う。標準タイヤサイズなら、タイヤのサイドウォールが僅かに大きく、柔軟性が高い。荒れた路面であっても若干乗り心地に優れ、ロードノイズも少なくなる。
ポルシェだから、価格に関係なく、組み立て品質は間違いなくクラストップの水準。他のスポーツカーメーカーも品質の向上には力を入れているが、ポルシェはこの分野ではリーダー的な存在だ。最も安い911であっても、作り込みの良さは同じ。
エンジンを始動し充分に温まると、クルマの後ろから聞き慣れたハミングが聞こえてくる。911を発進させれば、正確で意図したとおりに美しく進み出す。
3kmほど走らせて準備運動が終わったら、アクセルを踏み込んでみる。ターボラグの殆どない、太いトルクがリニアに湧き上がることが即座にわかる。素の911でもターボ過給されることに嘆いていたが、杞憂だった。
可能な限り研ぎ澄まされた動的性能
スポーツエグゾーストを装備しているから、試乗車のカレラはエンジンを回すほどに大きく吠える。筆者の好みでは、エンジンの息吹が感じられる程度のノーマルマフラーで充分だ。5000rpmからさらにガソリンを送り込めば、7500rpmのレッドゾーンめがけてスルスルと吹け上がる。
通常のカレラであっても、ドライバーが望めば充分に速い。圧倒されるほどの速さではないが、わずか0.5秒の差しかない0-100km/h加速の違いを指摘するドライバーは殆どいないだろう。
リニアなパワーデリバリーと、8速デュアルクラッチATの上質な変速フィールは称賛したくなる。シフトパドルを弾いても、AT任せでもその良さは変わらない。アクセルペダルを踏んだだけ、ベストなタイミングで、望んだ通りに1速か2速分キックダウンをしてくれる。
操縦性の秀逸さもポルシェの期待通り。クルマのあらゆる動的性能が、可能な限り研ぎ澄まされている。エンジン音の発生源を意識しなければ、重量物がリアタイヤの後ろに載っていることも気付かないかもしれない。ボンネットがとても低いから、前方視界でわかるかもしれないが。
カレラであっても、グリップ力やスタビリティは極めて高く、コーナリングは滑らか。旋回速度を高めても、ボディロールはほとんどせずに、穏やかなアンダーステアが生じる程度。ステアリングのレシオとステアリングホイールのサイズ、最小回転半径が見事に融合している。
格上の存在を忘れるほどの充足感
サーキットに持ち込み、スタビリティコントロールを緩くすれば、適切なタイミングでオーバーパワーを加えることでテールスライドも楽しめる。かつてのテールハッピーだった頃のポルシェ911とは隔世の仕上りだ。
乗り心地はしなやかながらフラット。ダンピングは適度に引き締められつつ、フロントノーズが跳ねるような素振りもない。荒れた路面を巧みに整え、うねりをなだらかに抑え込む。
最新の911カレラであっても変わらず気になる部分は、英国の路面で生じる大きなロードノイズ。数十年前から変わらない悪癖ではある。911を楽しむのなら、慣れるしかない。
飾り気のないポルシェ911でも、極めて上質なハンドリングと卓越したパワートレインを備え、主要な部分で得られる満足感は非常に高い。カレラを運転していれば、更に高価でパワフルなグレードの存在を忘れるほどに充足した時間が得られるだろう。
たとえ脳裏によぎっても、気にしなければ良いだけだ。
ポルシェ911カレラのスペック
価格:8万2793ポンド(1159万円)
全長:4519mm
全幅:1852mm
全高:1300mm
最高速度:289km/h
0-96km/h加速:4.2秒
燃費:10.0km/L
CO2排出量:206g/km
乾燥重量:1595kg
パワートレイン:水平対向6気筒2981ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:385ps/6500rpm
最大トルク:45.8kg-m/1950-5000rpm
ギアボックス:8速ツインクラッチ・オートマティック(PDK)
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みんなのコメント
シャーシダイナモ載せたことのある人は分かると思うけど、常磐道で200キロで飛ばしてても、たぶん150馬力も出てない笑。