ロータス・エリーゼ S1を徹底レストモッド
特別なエンジンやサスペンションを組んで、スポーツカーを徹底的に改造するには、小さくない予算が必要になる。しかし25年前の小さなモデルへ、10万ポンド(約1940万円)以上の予算を投じるには、相応の勇気も必要になる。
【画像】「徹底」レストモッド! スーパースポーツ オリジナルのエリーゼ 最新ロータスも 全120枚
価格を納得させるのは、多くの場合、ブランド力だ。グレートブリテン島南部、ウェスト・サセックス州に拠点を置くアナログ・オートモーティブ社のことを、ロータス・エリーゼ・マニアなら一度は耳にされたことがあるかもしれない。
経営者のステファン・ドブケ氏は、エリーゼ S1を得意とするメカニックだった。彼のことを知らなくても、数分も運転すれば、スーパースポーツのレストモッド価格にうなずけるのではないだろうか。
ご覧の通り、エリーゼ S1がベース。アルミニウム製タブシャシーは、全体が露出する状態までバラし、腐食した部分は修正され、酸化を完全に止める処理が施されている。
リアのサブフレームはスチール製だが、高耐久化。酸化を抑えるため、粉体塗装で仕上げられている。サスペンションアームやアップライトは、高剛性なブッシュやボールジョイントを採用する、まったく新しいアルミ製へ置換してある。
ステアリングラックは、オリジナルではノンアシストだが、僅かにドライバーを補助するユニットへ交換。リアアクスルには、クワイフ社製のリミテッドスリップ・デフを装備。軽いアルミ製ブレーキディスクと、パジッド社製の強化パッドも組まれる。
車重は699kg エンジンはローバーKシリーズ
車高調整できるナイトロン社製コイルオーバー・ダンパーを採用し、5スポーク・アルミホイールを包むのは、ヨコハマ・アドバン・ネオバ。左右のタイヤの間隔、トレッドは拡幅され、見た目はなかなかアグレッシブだと思う。
車重は、素の状態で699kg。オプションを追加することで、680kgを切ることも可能だという。
もちろん、エンジンも抜かりなし。1.8L 4気筒のローバーKシリーズ・ユニットは、新設計のブロックとヘッドへ置き換えられ、内部は鍛造品に。モータースポーツ・カムが組まれ、スロットルボディは気筒毎に独立。インジェクションも強化されている。
冷却系も、もちろん改良済み。シンプルな構成といえたオリジナル以上の、ライトウエイトスポーツへ仕立てられている。
キャビンには、カーボンファイバー製シェルのバケットシートを1脚か、必要なら2脚組める。2人で作業したいデタッチャブルのカンバストップは、オリジナルのままだ。
インテリアやダッシュボード、メーターパネル回りに手は加えられていないが、オプションでカーボン製トリムや、デジタルメーターも選べるそうだ。バケットシートは、アルカンターラやレザーで包むことも可能。重くなる代わりに、高級感を演出できる。
身長の高いドライバーが運転する場合、カンバストップは外した方が乗り降りしやすい。サポート製の高いシートの位置は、固定式。スパルコ社製のステアリングホイールが、気分を盛り上げる。
ホットカムの効果が現れる5000rpm
ケータハム・セブンよりキャビンは広く、居心地は良い。スイッチ類の一部は省かれ、シンプルな運転環境は一層突き詰められている。
1.8Lエンジンは、生々しいサウンドを臆せず放つ。軽快で繊細だったエリーゼ S1は、シリアスでドラマチックなスポーツカーとして再生を遂げている。
5速MTも改良され、レバーの動きは重めだが、滑らかで正確にスロットへ導ける。アクセルペダルとステアリングホイールは、僅かに重さがプラス。右足には、スロットルボディと直接繋がったようなダイレクト感。正確で的確な操作が必要になる。
Kシリーズ・ユニットの癖を思い出しつつ、しっかり温めて、213psを引き出す準備を整える。エンジン音が硬質に変わり、怒号とともに鋭く回転上昇するようになる。5000rpmでホットカムの効果が現れ、本当の面白さへ惹き込まれる。
アナログ・オートモーティブ社は、強力なユニットへの置換も可能ながら、当初のメカニズムや哲学を残すことを選んだそうだ。最新のスーパーカーに乗り慣れているなら、加速力に驚くことはないかもしれない。しかし、刺激的で不足なく速い。
ドライバーとの一体感は半端ない。クルマへの信頼を深め、積極的に操るほど、体験が深まっていく。シャシーの水準は極めて高度で、400ps程度は問題なく受け止めるだろう。しかし、Kシリーズ・ユニットの力を最後まで絞り出すという喜びは甚大だ。
本来とは異なる楽しさ 高負荷時に顕になる魅力
高められた速度域に、反応が鋭く確かな回頭性。安定感のある姿勢制御。強力なブレーキ。タイヤが温まった時の相当なメカニカルグリップが、魅力の根底にある。
ドライバーと息を合わせるような、オリジナルのエリーゼ S1とは異なる楽しさでもある。一般道での流暢さや繊細さは犠牲になっているものの、乗り心地は硬すぎない。耳栓をした方が良い音量だとしても、ドライバーへの要求度は高くない。
同時に、動的な能力は遥かに上昇している。コーナリングスピードは大幅に高く、サーキットですべてを解き放って欲しいと訴えてもくる。
軽く湿ったアスファルトでは、ステアリングホイールへの鮮明なフィードバックが頼もしい。舗装が荒れた区間でも、ガタガタ・ミシミシと音振が届くことはない。
日常的な速度域では、欲求不満が貯まるような感覚があることは事実。相当な速度域へ迫らなければ、没入しにくいかもしれない。
だが、6000rpmまで引っ張れば、スーパースポーツの真価が現れる。タイヤとサスペンションへ必要な負荷を加えることで、秘めた魅力が顕になる。サーキットでも満ち足りれるが、そこへ向かう道でも気持ちを刺激し、深く報いてくれる。
これ以上のレストモッドがあるとは思えない
エリーゼ S1のオーナーのすべてが、スーパースポーツのようなマシンへ改めたいと望んでいるとは、筆者は思わない。それでも、高度なスリリングさを求めるなら、これ以上のレストモッドがあるとは思えない。
そもそも、エリーゼ S1は魅力の幅が広いスポーツカーだ。アナログ・オートモーティブは、それをベースに動力性能を突き詰めた姿を見事に体現させている。ベース車両は持ち込みで、大きな予算は必要になるが、成果は至って素晴らしい。
◯:サーキットでの速さに対する貪欲さ 一般道での乗り心地 サスペンションの調整領域の広さ 広範囲なアップデートで得た現代的な走行性能
△:エリーゼ S1としては価格が高い ロータス本来の繊細さは薄れている
アナログ・オートモーティブ・スーパースポーツ(英国仕様)のスペック
英国価格:10万ポンド(約1940万円/ベース車両別)
全長:3726mm
全幅:1719mm
全高:1202mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:12.4km/L(予想)
CO2排出量:−g/km
車両重量:699kg
パワートレイン:直列4気筒1796cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:213ps/7250rpm
最大トルク:22.8kg-m/5900rpm
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)
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