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パワフルさに不釣り合いなボディ アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ ボルボ850 T-5R エステート (2)

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パワフルさに不釣り合いなボディ アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ ボルボ850 T-5R エステート (2)

グレートブリテン島での残存数は5台前後

アウディ200 アバント・クワトロ・ターボは希少で、グレートブリテン島での残存数は5台前後と考えられる。今回ご協力いただいた、ジョシュ・スペンサー氏がオーナーの1台は、特にコンディションが素晴らしいようだ。

【画像】直5ターボの快速ワゴン アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ ボルボ850 T-5R エステート 現行モデルも 全130枚

彼は電気自動車の開発へ関わる技術者で、TVRも1台所有するという。「新車で購入した初代オーナーは、2013年まで所有していましたが、1999年以降は博物館で眠っていた状態でした。ミレニアム企画で展示されてから、しまわれたままだったようです」

「その後、2013年にケンブリッジ在住の科学者が購入。オリジナルのホイールへスタッドレスタイヤを履かせ、スキー場への移動手段として乗られていました。その後、もう1人のオーナーを挟んで、私が入手しています」

「当初はアウディ100を探していたのですが、200のアバントはもう出てこないだろうと考えたんです。自分が子どもの頃は、両親がアウディ100 CSアバントに乗っていて、同じホイールを履いてたのを覚えてます」

「購入直後に300km以上を問題なく走り、自宅へ連れ帰ることができました。わたしは細部へのこだわりが強いので、細かい部分まで丁寧に仕上げています」。とスペンサーが説明する。各部のエンブレムや天井の内張りは、新品同様の部品へ交換済みだ。

「テールライトの間に半透明のパネルが付くのが通常ですが、アウディ・スポーツ仕様にしています。純正オプションとして選べましたが、アバント専用ではありませんでした。100用のレンズを買って、塗装してあります」

強力なエンジンとは不釣り合いなボディ

特にフェイスリフト前のモデルは珍しく、レストアが簡単ではない。それでも、スペンサーは楽しみながら作業していると話す。セントラ・ホイールもオプションだったが、インターネット経由でリトアニアから取り寄せたそうだ。

「ホイールボルトが5本仕様のレアなアイテムです。地元の技術者へ仕上げ加工を依頼しています。ボルボやBMW、メルセデス・ベンツと違って、アウディの場合は15年も経つと部品が殆ど入手できなくなります」

「幸運にも、クラシック部品を手掛けるアウディのトラディション部門から、新しいクワトロ・エンブレムは購入できました。200のアバントは東欧でも人気だったので、時間は必要ですがネットで探す価値はあります。15か国へ捜索範囲を広げています」

他方、英国にはボルボ850 T-5Rのオーナーズクラブが存在する。ネオクラシックとして、価値も確実に高めている。今回のクリーム・イエローのエステートも、新車のように佇まいが凛々しい。

2.3L 5気筒ターボエンジンは、特徴的なビートを刻みながら勇ましいサウンドを放つ。車内は200 アバント・クワトロと同様ゆとりがある。リアミラーを覗くと、遠くにリアウインドウが見える。サンルーフが付いており、開放的な車内を一層広く感じさせる。

強力なエンジンとは不釣り合いな、ステーションワゴン・ボディを背負う成り立ちが、矛盾しているようで独特の魅力を生んでいる。直線基調のフォルムも。

未来的なデザインで10年の差を感じさせない

200 アバント・クワトロの方が1世代古いが、未来的なデザインでそこまでの差を感じさせない。ドライバーへ向けて角度の付いたダッシュボードには、沢山のスイッチが並んでいる。

スペンサーは、このデザインに合致する、ブラウプンクト社製のステレオデッキを組んだ。テクノチックな雰囲気が、クルマのコンセプトに合っている。ターボブースト計はデジタル。クラフトワークのBGMが、気分を盛り上げそうだ。

850 T-5Rのインテリアは、むしろクラシカル。こちらにも、ダッシュボード上にスイッチが沢山並び、上級な印象を与える。ドライビングポジションは座面が高めで、背もたれも起き気味。高性能ワゴンというより、有能なファミリーカー的といえる。

インテリアを飾るウッドパネルは、少し時代錯誤。1997年のV70 Rでは、カーボン・トリムを選べたのだが。ステアリングホイールは直径が大きく、前方視界にリムがかかる。本質的なボルボらしさが、しっかり残る。

しかし、発進させると溢れんばかりのパワーへ驚く。さほど右足を傾けずとも、フロントタイヤのグリップ力が追いつかなくなる。アスファルトをゴムが擦る、スキール音が聞こえてくる。

試乗車の4速ATは、スポーツマインドを宿す。意欲的に扱えば、レッドライン目掛けて回転数を引っ張り、少しの緩さを伴いながら太いトルクを伝達する。

バランスに優れる200 アバント・クワトロ

滑らかな路面では、850 T-5Rは極めて爽快。路面へ呼吸を合わせるように、流暢に身をこなす。ところが古い舗装で荒れてくると、硬めのサスペンションが車内へ衝撃を伝え始める。

直5エンジンの搭載位置は低く後方といえるが、これ以上足回りをソフトにすると、アンダーステアが酷くなるだろう。4速ATは、走りの印象を高めてはいない。

乗り比べると、サスペンションとシャシーが調和している感覚を抱きにくいが、200 アバント・クワトロの方がバランスに優れる。四輪駆動システムの頼もしいトラクションで、欧州大陸を縦断するようなスキー旅行へ好適な、エクスプレスになったはず。

初期の200 アバント・クワトロは、243psの850 T-5Rより80psほどパワーで劣る。確かに直線加速では明らかな差を開けられる。とはいえ、カーブが連続する区間では、面白いほど四角いテールを追い回せる。

850 T-5Rは、ネオクラシックとして一定の地位を築いている。今回は違ったが、5速MTを積んでいれば、一層の好印象を残したのではないかと思う。同時に、200 アバント・クワトロも多くの特徴を備え、魅力では負けていない。

かつての、英国ツーリングカー選手権での接戦を見ているようだ。1996年のシーズンでは、アウディ・クワトロ S4が850 サルーンを破り優勝した。だが1998年には、ボルボS40が競り勝ち、スウェーデン・メーカーにタイトルを与えたのだった。

アウディとボルボのステーションワゴン 2台のスペック

アウディ200 アバント・クワトロ・ターボ(1985~1991年/英国仕様)

英国価格:2万7102ポンド(新車時)/2万ポンド(約362万円)以下(現在)
生産数:6153台(合計)
全長:4807mm
全幅:1814mm
全高:1422mm
最高速度:212km/h
0-97km/h加速:8.2秒
燃費:9.2km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1450kg
パワートレイン:直列5気筒2144cc ターボチャージャーSOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:167ps/5500rpm
最大トルク:24.4kg-m/3000rpm
トランスミッション:5速マニュアル/4速オートマティック(四輪駆動)

ボルボ850 T-5R(1995~1996年/英国仕様)

英国価格:2万8840ポンド(新車時)/1万5000ポンド(約271万円)以下(現在)
生産数:6964台(合計)
全長:4720mm
全幅:1760mm
全高:1415mm
最高速度:249km/h
0-97km/h加速:6.9秒
燃費:11.0km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1412kg
パワートレイン:直列5気筒2319cc ターボチャージャーDOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:243ps/5600rpm
最大トルク:30.4kg-m/2300rpm
トランスミッション:5速マニュアル/4速オートマティック(前輪駆動)

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