運営元:旧車王
著者 :きもだこよし
メインターゲットはアラフィフ以上?新製品がアツいクルマ系ホビー事情
去る2023年5月28日、雨模様ばかり続いた週末に、ひさしぶりに晴れ間が見えた大磯ロングビーチ大駐車場で、クルマのスキール音が鳴り響いた。
湘南ヒストリックカークラブジムカーナ。駐車場に設置されたパイロンの間をすり抜けて疾走するのは、どの車輌もクラシックカーばかりである。
■1980年代から続くカークラブ湘南ヒストリックカークラブ(以下SHCC)のイベントの歴史は旧く、もう40年近くも開催されている。
年2回、この大磯ロングビーチの駐車場を借りておこなわれてきたが、このコロナ禍で何度も規模や開催時期等の縮小ないし変更を余儀なくされ、イベント継続が危ぶまれたこともあった。
それでも今に至ることができたのは、主催者や参加者の熱意が支えてきたといっていい。
この日も国産、外車問わず、またレース競技とは無縁そうな市販車から本物のフォーミュラーカーまで、数多くの車輌が参加していた。
SHCCジムカーナへの参加資格は、1969年までに製造された車輌であること、もしくはそのレプリカモデル。
それ意外に主催者が特別に認めた車輌となっている。
これは年式に関わらず希少であったり特別なモデルである場合など、ゲスト車輌的に参加が認められている。
出走には排気量別に7つのクラスに分けられ、グループごとに順位を競う。
ただし、ミニだけは台数が多いため、別個に2クラスが設けられている。
クラスごとの勝者のほか、総合のタイムでも争われる。
さらに今年は40年という歴史に、新たな栄誉が付け加えられた。
FIVA(国際クラシックカー連盟)の公式イベントに名を連ねることになったという。
これからもますますイベントとして楽しみが増えることだろう。
■次世代にもつながっているカーイベントジムカーナ参加車輌以外にも並んでいる車輌がいる。
これは、ACJ(オートモービルクラブジャパン)とのコラボ企画展示の車輌である。
フェラーリやアルピーヌに混ざり、本物の競技車輌である日産の240RSが展示されていた。
1980年代初頭に開催されていたWRCラリー選手権で、グループBの車輌として作られたクルマである。
見学に訪れた人や参加者もクルマに気がつくと、本物のグループBカーに見入っていた。
昼の休憩時間にはテスラの試乗会も催され、大磯周辺の試乗や、0-100kmまでわずか3.5秒という驚異的な加速力の体験試乗(こちらは同乗による)もおこなわれ、みなクラシックカーとは真逆に位置する体験を楽しんでいた。
また、参加車輌ではないが、エキシビジョンで出走準備をしているクルマがある。
ハンドメイドのカートのような姿をしたクルマ。
これは学生フォーミュラと呼ばれる大学の学生チームが、テストをかねて出走させたもの。
この日は東海大学と芝浦工大の学生たちが集まっていた。
SHCCには親子で出走している方もいれば、小学生のころから見学に来ているファンもいる。
この日、会場に真新しいバイクが停まっていたのだが、オーナーいわく免許が取れるようになり、自分のバイクに乗って見学にきたという。
学生フォーミュラだけではなく、幼いころから見続けてきた次世代が、ここでは確実に育っている。
■イベントの横道を行くどこのイベントであっても、よほどクローズドなイベントでない限り、見学者も入ることができる。
そこにはきっと見たこともない名車や、希少なクルマがひっそりと訪れているに違いない。
そう考えて、毎回イベント会場周辺の駐車場を巡る、いわばイベントの横道を行くことに。
SHCCの会場にももちろん多数生息をしておりました。
アストンマーチン DBXやトライアンフ、いすゞ 117クーペなど、さまざまなクルマがいる中に、ひっそりと小さく停まっていたのは三菱 ミニカF4。
お仲間と来たのか、隣にはスバル R2も佇んでいた。
三菱 ミニカは1962年に登場し、ミニカF4は3代目となる。
1972年にデビュー、360cc出力32馬力を4速MTで引っ張るそれは、黄金虫シェルと呼ばれる丸みを帯びたスタイルで登場した。
画像左の個体は、グリル形状からするとハイスタンダードかデラックスだろうか?
クリーム色の車体が当時を感じさせる車体だった。
■長く見続けてきてわかること薄曇りからの晴天と涼しい海風の吹く、大磯ロングビーチ駐車場。
SHCCジムカーナは、今回も素晴らしいコンディションのクルマやレジェンドドライバーと出会わせてくれた。
筆者も飛び飛びではあるものの、SHCCを見続けて10年以上になる。
その都度、新しい出会いや珍しい車輌に楽しさを見出してきたものである。
参加者や見学者も次世代に少しずつ変化している。
かつての自転車少年も、今年はバイクで見学に来ていた。
やがてクルマの免許を取り、また大磯の駐車場に現れることだろう。
そのときはきっと、ジムカーナのスタートグリットにいるに違いない。
[ライター・撮影 / きもだこよし]
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