■ランボルギーニのはじまりは、トラクターだった
ランボルギーニ、正確にはアウトモビリ・フェルッチオ・ランボルギーニ社の創始者であるフェルッチオ・ランボルギーニは、1916年にイタリアのフェラーラ地方にある小さな農村、レナッツォ・ディチェントの街に生まれた。
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実家は農家であり、本来ならばフェルッチオも農業の世界に興味を抱くところだったのだが、実際に彼が目を向けたのはトラクターなどの農業機械だった。
各種の工業機械を見て育ったフェルッチオは、ボローニャ近郊の工業大学に進学。ここからさらにエンジニアとしての経験を積み重ねる計画だったのだが、彼に待っていたのは第二次世界大戦のための兵役であった。
1946年に兵役を終えてディチェントの地へと戻ったフェルッチオは、ここから農業用機械の修理や製造に着手し始める。
イタリア中で農業用機械が求められていた戦後復興のこの時代、ベースとなるパーツを探すことさえ難しかったトラクター作りは圧倒的なオーダーを集めた。
当初、フェルッチオは米軍払い下げの軍用車のコンポーネントを利用し、英国モーリスのエンジンを組み合わせて作ったトラクター「カリオカ」を生産する。
そしてフェルッチオはついに1949年、フェルッチオ・ランボルギーニ・トラットリーチ社(トラットリーチとはトラクターの意)を設立。
空冷式の2気筒、もしくは4気筒エンジンを搭載したトラクターを、1日に10台以上生産するまでに成長を遂げた。
農業用のトラクターが、オート・オークションに姿を現すのは稀なことだが、今回RMサザビーズは、ロンドン・オークションに2台のランボルギーニ製トラクターを出品した。
トラットリーチ社のトラクターは、現在でももちろん生産が継続されているものの、ランボルギーニのファンにとって、ランボルギーニの原点ともいうべき存在。それをコレクションに加えるのもの価値の高い趣味だ。実際、愛車を格納するガレージに、クラシックなトラクターも一緒に並べることがマニアの間では流行っている。
こうしたクラシック・トラクターは、ランボルギーニだけでなくポルシェなども存在し、手に入れるならそれほど注目を集めていない「いま」かもしれない。オークションではどれほどのプライスで落札されているのか、調べてみよう。
■マニアに注目が集まっているクラシック・トラクターとは
ロンドン・オークションに最初に登場したのは1956年式の「DL25」である。このモデルは、トラットリーチ社が設立された初期のもので、当時の日産は5台にも満たなかったとされる。
参考までに同じ1956年式のDL25は55台が現存するのみだという。
●1956 ランボルギーニ「DL25」
オリジナルのカラーにフルレストアされたDL25は、さすがに素晴らしいコンディションを維持している。搭載されるエンジンは、2.5リッター直列2気筒ディーゼルで、点火時にのみガソリンを使用するのがランボルギーニ製トラクターの大きな特長。
最高出力は24psで、これに4速MTを組み合わせている。さらにこのモデルには、フェルッチオ・ランボルギーニの甥である、ファビオ・ランボルギーニの直筆サインも入っている。
マニアとしてはたまらないトラットリーチ初期のモデル、落札価格は2万900ポンド(邦貨換算約288万円)だった。これを高いと見るか、安いと見るかは、やはりバイヤーの価値観によるところだろう。
●1966 ランボルギーニ「2R」
2台目のモデルは、このDL25から約10年後に生産された1964年式の「2R」だ。1960年代になると、トラットリーチの従業員数も400人を超え、この2Rが生産された頃には、すでにアウトモビリ・フェルッチオ・ランボルギーニ社も創立されていた。
ランボルギーニの自動車メーカーを作るという夢、実業家としての夢は、このトラットリーチの成功があればこそ叶ったものだったのだ。
2Rに搭載されたエンジンは、1.4リッター空冷直列3気筒ディーゼル。最高出力は36psで、前方に6速、後方に2速のミッションが組み合わされる。
こちらの落札価格は2万900ポンド(邦貨換算約288万円)と、DL25のそれとまったく共通。あるいはひとりのコレクターが、2台のトラクターを同時に落札したとも考えられる結果だった。
アウトモビリ以前のランボルギーニを知る歴史的な資料としても、これらのトラクターは非常に重要な役割を果たしてくれることは間違いない。ボディカラーがオレンジやレッドの「ミウラ」などと一緒にガレージに並べれば、最高の組み合わせとなるだろう。
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みんなのコメント
誰がいうんだよっw
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乗用タイプだから手押しタイプよりも移動は楽になるね。