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俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記──Vol.5 アルファロメオ・スパイダー(初代)

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俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記──Vol.5 アルファロメオ・スパイダー(初代)

近年、1980年代、1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”、通称“ヤングタイマー”に注目が集まっている。そこで、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両を取材する。第5回はアルファロメオの2シーター・オープン「スパイダー」(初代)。

独特な雰囲気は約27年生産された賜物

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アルファロメオの初代「スパイダー」は、20年以上にわたり生産された2シーター・オープンだ。独特な佇まいは、今も魅力的だ。俳優・永山絢斗さんも「1990年代に生産されたクルマとは思えない、クラシカルな雰囲気が個性的ですね」と、話す。

【前話】Vol.4 メルセデス・ベンツGクラス(2代目)

永山さん自身は、スパイダーに触れるのは今日が初めて。これまでオープンカーの購入を真剣に考えたことがなかったため、スパイダーはノーマークだったそう。街中でもみた記憶がないという。

「“人と被らない”のは魅力的ですよね。アルファロメオ車は都心部でよく見ますが、初代スパイダーは今日、はじめてみました」

初代スパイダーは1966年から1993年まで生産された超ロングセラーモデル。日本へは、とくに後期モデルの「シリーズ3」と「シリーズ4」が、大沢商会およびアルファロメオ・ジャパンを通し、多数上陸した。1990年代には都心部で見かけることがままあったが、近年はほとんど見かけない。

「ほかの“ヤング・タイマー”とおなじで、海外への流出が止まりません」

取材車両を販売する株式会社コレツィオーネの代表取締役・成瀬健吾氏は語る。

「ランチア『デルタ・インテグラーレ』も、状態の良い個体が海外へ流出しているとおっしゃっていらっしゃいましたね」(永山さん)
「はい。人気モデルは致し方ないですね……。弊社としては、日本に1度輸入された個体は、国内のオウナー様に乗っていただけるよう、販売に努めています」(成瀬さん)

取材車は1993年型の「スパイダー・ヴェローチェ・ファイナルエディション」という最終モデルで、販売価格は278万円だった。走行距離は約4万8000kmだから、年式のわりに少ない。複数のオウナーの手を経たが、前オウナーが10年以上大切に保管してきたという。

「ロー・マイレージだから、インテリアの状態は良いですね。ベージュのレザー・シートも破れなどは皆無です。あまり幌を下げて走っていなかったんでしょうかね?」と、永山さんは推測する。

ブラックの幌の開閉は手動だ。現代のマツダ「ロードスター」などと比べれば、その動きはスムーズと言い難いものの、ドライバーひとりで簡単に開け閉め出来る。

「ちょっと渋い動きが、“あぁ自分は古いクルマに乗っているんだなぁ”と実感出来ていいですね」(永山さん)

インパネ下部に突き出たシフトレバーも個性的だ。実際にドライバーズ・シートにすわり操作する永山さんは「おもしろいですね!」と、ひとこと。「登場時から変わらぬ位置にあるというのが、スパイダーの有する歴史の重みを感じますね」。

【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
Vol.1 メルセデス・ベンツ500E
Vol.2 ランチア・デルタHFインテグラーレ
Vol.3 マセラティ・ギブリ(2代目)
Vol.4 メルセデス・ベンツGクラス(2代目)

スパイダーの歴史

初代スパイダーは、4ドア・コンパクトセダンの初代「ジュリア」のオープンモデルとして、1966年のジュネーブ自動車ショーでデビュー。当時の名は「1600スパイダー・デュエット」で、「ジュリア・スプリントGTV」用の1570cc直列4気筒ガソリン・エンジンを搭載した。ピニンファリーナの創始者であるバッティスタ・“ピニン”・ファリーナが直接手がけた最後のクルマだった。

1968年には、1290cc直列4気筒ガソリン・エンジンを搭載した「スパイダー1300ジュニア」を追加。このモデルは1967年公開のアメリカ映画『卒業』の劇中にも登場し、いっきにスパイダーの名を世間にひろめた。

1970年にはビッグマイナーチェンジを受けシリーズ2に進化。前後のデザインを変更し、ラゲッジルームを拡大、ウインド・スクリーンも大型化された。1971年には1962cc直列4気筒ガソリン・エンジンを搭載する「2000スパイダー・ヴェローチェ」が登場した。このエンジンは、改良しつつ最終モデルまで使れれた名機だ。

当時、日本に上陸したスパイダーは対米輸出仕様だったため、大型のゴム製衝撃吸収バンパーを装着するなど、オリジナルの魅力がそこなわれたデザインだった。

1983年には13年ぶりのビッグマイナーチェンジを実施し、シリーズ3になった。前後バンパーや灯火類、室内のダッシュボードまわりのデザインなどを変更、合わせて呼称は「スパイダー」に統一された。

1990年には最後のビッグマイナーチェンジを受け、シリーズ4へ。取材車はこのシリーズ4にあたる。前後バンパーはボディ同色に変更された。

さらに、パワーステアリングが標準化され、3ATも選べるようになった。このビッグマイナーチェンジにあわせ登場したグレードの「ヴェローチェ」は上級仕様で、レザーシートやエアコンなどを奢る。

1993年にスパイダーは生産終了し、約27年の歴史に幕をおろす。

2代目スパイダーは、アルファロメオ「155」などとプラットフォームを共有するFWD(前輪駆動)モデルに変貌した。

【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
Vol.1 メルセデス・ベンツ500E
Vol.2 ランチア・デルタHFインテグラーレ
Vol.3 マセラティ・ギブリ(2代目)
Vol.4 メルセデス・ベンツGクラス(2代目)

幌の交換は約20万円

「改良されてきたとはいえ、約27年間にわたって基本デザインを変えなかったのはすごいですよね」と、永山さんは感心する。「ウインド・スクリーンが直立しているので、高い開放感を得られるから気持ちいいです」。

基本設計が1960年代のモデルだから、基本性能はそれほど高くない。永山さんは「幌を下げて、のんびりワインディングを走ったら爽快でしょうね」と、想像をふくらます。

気になる信頼性については、成瀬さんいわく「それほどナーバスになる必要はありません」。

雨天時、室内に雨漏りがあるのはは仕方ないというが、通常の雨であればそれほど気にならないという。「雨がザーザー入って、運転に支障が出るようなことは基本的にありませんよ」と、おっしゃる。

「もし幌を交換すると、費用はどれくらい掛かりますか?」(永山さん)
「20万円ぐらいで済みますよ」(成瀬さん)

幌は手動開閉式で複雑な機構を持たないので、交換費用もそれほど高額にはならないという。

「オープンカーで気になるのは幌の状態ですが、交換費用を聴いてホッとしました」(永山さん)
「“古いイタ車”といっても、パーツの価格はバラバラです。なにもかもが高価なわけではありません」(成瀬さん)

ちなみに、試乗車のトランスミッションは5MTだったが、成瀬さんによればモデル末期に追加された3ATは、程度によっては信頼性の面からあまりオススメはできないという。

「エンブレムの一部が欠けていましたね」(永山さん)
「細かいパーツの脱落はよくある話です(笑)。納車時までに直します」(成瀬さん)

取材車の乗り出し費用は約300万円になるとのこと。これまでに取材したランチア「デルタ・インテグラーレ」が1000万円、マセラティ「ギブリ」が500万円オーバーだっただけに、手の届きやすい価格設定だ。とはいえ、これでもひところに比べれば高騰したという。

「初代スパイダーも程度の良い個体はぐんっと減っているので、もし気になる個体があれば、すぐにでも購入するのが良いかもしれません」(成瀬さん)

ちょっと古い“イタ車”の中古市場は、大きく変わったのだ。

【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
Vol.1 メルセデス・ベンツ500E
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Vol.3 マセラティ・ギブリ(2代目)
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【プロフィール】

俳優・永山絢斗(ながやまけんと)

1989年3月7日生まれ。東京都出身。2007年『おじいさん先生』(日本テレビ系列)で俳優デビュー。連続テレビ小説『おひさま』や『べっぴんさん』(NHK総合)、『ドクターX~外科医・大門未知子~ 第5シリーズ』(テレビ朝日系列)、そして2021年には『俺の家の話』(TBS系列)に出演。映画では2010年の『ソフトボーイ』で第34回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。

2021年8月13日(金)放送の終戦ドラマ『しかたなかったと言うてはいかんのです』(NHK総合・22時~)には冬木克太役で出演する。

【取材協力】
株式会社コレツィオーネ
世田谷本店/東京都世田谷区等々力7-2-32
TEL: 03-5758-7007/FAX: 03-5758-7008

まとめ・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・Babymix ヘア・松本明男 メイク・中村了太 撮影協力・コレツィオーネ

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