空力を意識したスタイルを作り上げた1台
ブサ可愛いというかブサかっこいいというのはクルマにもある。そもそものデザインが変わっているというかユニークな場合もあるが、カロッツェリアが発達していた欧州ではけっこうなアレンジ系が存在する。
なんと驚きの50億円オーバー! わずか39台しか生産されなかったフェラーリ250GTO
日本でもいわゆるチューナーやカスタムメーカーのコンプリートモデルはあるが、クルマを仕入れてけっこうな数を生産したり、逆に顧客のオーダーに合わせてボディや内装を別物に作り変えるといったことをするのがヨーロッパ流だ。
現在ではデザイン会社のイメージが強いカロッツェリアのルーツはこういった少量生産メーカーで、伝統的に作り変えてしまうことは当たり前に行われてきた。背景はどうであれ、いずれにしても目的はカッコよくすること。
フェラーリ250GT SWBベースにしたモデル
しかし、ときには失敗作というか、外してしまったものもあったりして、代表格となる1台がフェラーリ250GT SWBベースのいわゆるブレッドバンだ。ちなみにSWBはショートホイールベースを略したもので、イタリア語でベルリーナ パッソ コルトとも呼ばれる。
250GTシリーズと言えば、ビンテージフェラーリの代表的なシリーズのひとつで、250GTOなど名車揃いだ。250GTシリーズには多くのモデルがあるが、250GT SWBはスカリエッティ製の流麗なボディをまとい、ショートホイールベースゆえの凝縮された存在感が魅力となっている。1959年から1962年の3年間で176台が作られたのみ。
レースも視野に入れたモデルということもあり、1962年のル・マンに姿を現したのが250GT SWBをベースにしたブレッドバン。訳せばパン屋のバンという、フェラーリには似つかわしくないニックネームが付けられ、かのエンツォ・フェラーリが激怒したという噂も流れたほどだ(真偽は不明)。
その理由はもちろんデザイン。簡単に言ってしまえばリヤがパン屋の配達バンみたいだったから、変なニックネームが付けられてしまった。流麗なファストバックスタイルからワゴンのような切り立ったスタイルへと変更されている。これでも空力の向上を狙ってはいて、日本車でも初代&2代目CR-Xが採用したカムテールやコーダトロンカと呼ばれる手法と似ているとも言えなくない。
ル・マンに出場するもリタイヤ
このフェラーリ、エンツォ・フェラーリが激怒したことからもわかるように、フェラーリ自身が生産した公式モデルではなく、いわゆる架装モデルとなる。ただし、その後フェラーリミュージアムに収められているので、まったくの亜流扱いでもないようだ。
発注したのは「スクーデリア・セレニッシマ(SSS)」というプライベートチームを主宰していたベネチアのジョヴァンニ・ヴォルピ伯爵。フェラーリに敵対しながらも、当時新型だった250GTOを購入しようとしてフェラーリに断られたのをきっかけにして、当時行われていたツールド・フランスで2位に入った250GT SWBを購入。元フェラーリのチーフエンジニアであるジョット・ビッザリーニのカロッツェリアというか設計会社にボディ製作を依頼し、空力を大いに意識したスタイルを作り上げたというのが経緯だ。
1962年のル・マンでは宿敵たるフェラーリ250GTOと互角に戦い上位に食い込んだが、結局はメカトラブルに見舞われてリタイヤとなった。最近になって、ブレッドバンオマージュのレプリカ的なモデルが登場したりして再評価されているし、今あらためて見るとコンペモデルらしい精悍さにあふれていると言っていい。
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みんなのコメント
こんなキワモノも生まれなかったのかもしれませんね。
その事件の顛末、まさに「ワンマン企業あるある」とも言えなくもないですがw
それだけ強烈な個性を持ってなければ、フェラーリというクルマはここまで
伝説的な存在になり得なかったのかもしれません。
さてこの「パン屋の配達車」ですが、年々高速化していくレースでの
スタビリティという問題に、斬新なアイデアで挑んだ傑作だと思います。
250GTOの特徴的なリアエンドのキックアップも、F社在籍中のビッザリーニの
風洞実験による研究結果によるものです。
ところで数年前、日本に一台の化物クラシックスポーツカーが輸入され
ちょっとした話題になりました。
その車両こそ、ビッザリーニが設計した「イソ・グリフォA3/C」です。
そしてこの車両をルマンに持ち込んで、大いに「元上司」の鼻をあかしてやった
というワケですね。
レースで勝つためにデザインされた車は醜くてもカッコよく写る。