東京モーターショー2019で日本初公開されたアドベンチャースタイルのスクーター、ホンダ「ADV150」が2月14日に発売された。PCX150をベースとしながら、タフなSUVを思わせるスタイリングに仕上げているが、走りの実力はどうなのか?
太田安治の「ADV150」試乗インプレ
150ccとは思えない精悍さと堂々たる存在感!
ADV150の実車を前にすると、軽二輪スクーターとは到底思えない存在感に圧倒される。タフなイメージの外装デザイン、ストロークの長い前後サスペンション、幅広のハンドルバー、アップマフラー、そしてリザーバータンク付きリアショックなど、そのルックスはまさに本格アドベンチャー。
離れて見ると750ccのX−ADVと判別しにくいほどで、エンジンもフレームもPCX150がベースとは信じられない変身ぶりだ。
とはいえ150ccのスクーターだから、メインステージは市街地。前後タイヤは専用開発のブロックパターンだが、トレッドの溝幅が細めで、舗装路での素直なハンドリングとクルージング中の快適性を重視している。
ワイルドなスタイリングに見合ったしっかりとしたハンドリング
前後サスペンションのロングストローク化によってシート高はPCXより約30mm高いが、跨がるとそこまでの差は感じない。着座位置より前側を絞り込み、側面もそぎ落としたシート形状によって股が開かず、脚が真っ直ぐに降ろせるからだ。これなら身長160cm程度のライダーでも不安なく扱える。
ライポジは低めのソファーに腰が包み込まれるようなPCXとは違い、オフィス用チェアに姿勢良く座ったような姿勢。欧州で人気のスクーターに多いタイプで、荒れた路面で車体が暴れてもライダーの上半身が揺れにくく、ハンドル操作に悪影響が出ない。低速バランスも取りやすいから、オートバイに不慣れなエントリーライダーにも優しい。
走り出した瞬間に感心したのが発進加速時の扱いやすさ。優しくスロットルを開けても動き出しから力強く、発進直後のもたつき、ふらつきがない。さらにスロットルを開ければ、エンジン回転の上昇に遅れることなく、リニアに速度が増していく。
PCX150のフワリとした加速感とは明らかに異なるので、遠心クラッチとCVTの変速設定を変え、減速比も加速優先型にしたのかと思ったが、試乗後に開発者に聞くと、エンジンの吸排気系チューニングによって低中回転トルクを上げているとのこと。
クラッチやVベルトの変速比の変更で発進加速性能を高めると常用エンジン回転数が高くなり、発進のつながりも唐突になりがちだが、ADVはトルクのあるエンジンでスムーズさと力強さを両立。
加えて遠心クラッチが繋がる回転数、切れる回転数がかなり低いため、低速走行時のエンジンブレーキの効き方が自然で、市街地での乗りやすさを高めている。
日本の道にも合ったサスペンション設定
150ccということで高速道路でも試乗してみたが、80km/hあたりから加速の勢いが弱まる感じ。余裕があるとはいえないが、タンデムや登り坂で失速することはないし、都市高速ならまったく問題ない性能だ。
このダイレクトな加減速特性と見事にマッチしているのがハンドリング。サスペンションがしなやかに動いてストローク感が伝わってくるフロントに対し、リアはややハードな設定。
スラロームのように忙しく左右に進路を変えてもリアサスが踏ん張って余分な車体姿勢変化が起きず、ライダーの意志に軽く素早く反応する。
ライダーを含めた重心位置が高く、上体が起きたポジションでハンドルを上から押さえ込めるから、意図的なハンドル操作を使った旋回力調整もやりやすい。
乗り心地に関しては、フロントサスペンションのストロークの長さが効いていて、市街地での快適性は充分。悪路で大きめのギャップを超えても、リアサスの3段レートスプリングの恩恵で簡単には底付きしない。
タンデムでもリアの沈み込み量が少なく、車体姿勢があまり変化しないので、フロントが軽くなって安定性が下がるようなことはない。
路面状態が日本より悪く、タンデム頻度も高い東南アジア諸国ではこのサス設定は必然だろうが、日本の道路状況でもネガは感じないし、アドベンチャールックに相応しいハンドリングを生んでいる。
ABSはフロントのみで、ダートでリアブレーキを使ってリアタイヤを振り出すアクションも可能だ。
スクーターらしからぬアドベンチャールックに惹かれるライダーも多いと思うが、僕はフォルムよりもダイレクトな加減速特性とハンドリング、充実した装備に魅力を感じた。
ADV150は想像をはるかに超えた完成度。通勤通学からツーリングまで、幅広く使える一台だ。
梅本まどかの「ADV150」試乗インプレ
シート形状の良さとライポジから得られる安心感がとっても印象的でした! シートの前半部分が三角にとがっていて、ちょっと後ろに座るとシートのラインが太腿の裏にちょうど沿うようにフィットして「この位置だよ!」と教えてくれる感じ。
バイクと触れている事による安心感があります。ハンドルを持つと少し背筋が伸びるような感覚で、肩の力が抜けて、優雅な気持ちになりました。
自然と視野も広がるので、いろんな景色を見ながら走る事が出来てすごく気持ち良かったです。タンデムで後ろにも乗ってみましたが、グラブバーやステップの太さや位置がよく、シートも広くて座り心地がいいですね!
あと、路面が荒れた場所を通っても、思っていたよりも揺れを感じなかった事には驚きました。後ろに乗るのも1人で乗るのも、とても快適で楽しかったです♪
ホンダ「ADV150」主なスペックと価格
全長×全幅×全高:1,960×760×1,150mm
ホイールベース:1,325mm
最低地上高:165mm
シート高:795mm
車両重量:134kg
エンジン形式:水冷4ストOHC単気筒
総排気量:149cc
ボア×ストローク:57.3×57.9mm
圧縮比:10.6
最高出力:11kW(15PS)/8,500rpm
最大トルク:14N・m(1.4kgf・m)/6,500rpm
燃料タンク容量:8.0L
変速機形式:無段変速式(Vマチック)
タイヤサイズ(前・後):110/80-14M/C 53P・130/70-13M/C 57P
ブレーキ形式(前・後):シングルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格(消費税10%込):45万1,000円
ホンダ「ADV150」の各部を解説
工具を使わず、左右のノブを動かせばスクリーンは2段階に調整可能。高さにして約71mmの幅で上下させることができる。
ホンダ「ADV150」ライディングポジションと足つき性
身長:176cm 体重:62kg
上半身は完全に直立し、垂れ角/絞り角の少ないハンドル形状とあわせて積極的な操作がしやすい。
シート高は795mmと高めだが、シート側面が絞り込まれていて足を降ろしやすく、足着き性は数値から想像するよりはるかに良好。膝回り、足元の窮屈さも全くない。
ホンダ「ADV150」カラーバリエーション
カラーは3色。ソリッド系のマットブラックとブラウン、アフリカツインを連想させるグラフィックを採用したレッドだ。
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ホンダ「ADV150」アクセサリーパーツ装着車(1)
ホンダ「ADV150」アクセサリーパーツ装着車(2)
[ アルバム : ホンダ「ADV150」の写真をまとめて見る! はオリジナルサイトでご覧ください ]
文:太田安治、梅本まどか/写真:柴田直行
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[ 表が省略されました。オリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
後方まで伸ばしたら良いのに。