■織機から始まり、バイク、自動車へと広がったスズキ
スズキの最初期は、1887年に静岡県の織機製作から始まっています。その後、1909年10月に鈴木織機製作所として創業しました。
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1920年に資本金50万円で「鈴木式織機株式会社」として法人化し、初代社長として鈴木道雄氏が就任します。ここから、いまでいう「スズキ」の歴史が始まりましたが、当時のスズキは、自動車メーカーでも、バイクメーカーでもありませんでした。
まず、1952年6月に、鈴木式織機株式会社は輸送用機器の分野に進出し、スズキ初のバイクモーター「パワーフリー号」を発売します。
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「パワーフリー号」は、自転車に補助動力として、排気量36ccの2スト空冷単気筒エンジンを装着したものです。いまの電動アシスト付き自転車のように、人力をエンジンの力で補う乗り物でした。
そして1954年6月には、社名を「鈴木自動車工業株式会社」に変更し、本格的なバイクメーカーとしてスタートを切ります。また、翌年1955年3月には、排気量125ccの4ストエンジンを搭載した「コレダ号COX型」を発売しました。
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さらに同年10月には、排気量360ccの2ストエンジンを搭載した、軽四輪自動車「スズライト」を発売します。これが日本で初めてのFF(前輪駆動)方式を採用したクルマで、スズキが自動車メーカーとして歩みはじめた年となりました。
1958年10月には、社章マークを制定します。現在のスズキのバイク、クルマのロゴマークになっているアルファベットの「S」を象ったシンボルマークは、この時に作られたものです。
そして1962年6月、バイクレースで有名なイギリスのマン島TTレースの50cc部門で優勝し、バイクメーカーとして技術力を国内外にアピールしました。
1970年代に入ると、日本各地に新しく自動車・バイク工場を建設し、同時に開発を進めることで、徐々にスズキブランドを確立していきます。
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この年に、現在でも生産されている名車「ジムニー」を発売しました。初代のジムニーは、いわゆる「ジープ」の軽自動車バージョンで、屋根はなく、フロントガラスを畳める仕様でした。
1971年9月当時は、大型バイクでは排気量750ccエンジンを搭載したモデルが代名詞でしたが、スズキ初の750ccモデル「GT750」を発売します。
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GT750は、最高出力67馬力、最大トルク7.7kgmを誇る2スト水冷3気筒エンジンを搭載しており、低速から高速まで優れた加速性能を発揮する高性能エンジンでした。50年経った今でも旧車として、一部の販売店では取り扱いがある名車です。
また、1976年11月には、排気量が400cc・550cc・750ccと3種類の「GSシリーズ」を発表します。その中でも「GS400」は、当時の400ccで唯一のDOHCエンジンを搭載したモデルでした。
当時のスズキは、2ストエンジンをメインにしており、新しく開発した4ストエンジンに心血を注いでいました。GS400は、4ストエンジンを搭載した最初のモデルであり、その姿は現在でも通用する、当時としては先進的なデザインでした。
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そして会社創設から60年が経った1980年に、財団法人を設立したほか、同年1月には「GSXシリーズ(250cc・400cc・750cc)」を発売しました。このGSXシリーズが、スズキバイクの代名詞というべき「カタナ」の名称を生み出す土台となります。
後期型の「GSX250」と「GSX400E」のサブネームに「カタナ」と付けられ、翌年10月には、海外市場向けに「GSX1100S カタナ」を発売しました。国内向けではありませんでしたが、そのデザインは脚光を浴び、一大センセーションを起こしました。
さらに、1990年10月に社名を「スズキ株式会社」へ変更し、3年後の1993年9月には、新型軽自動車「ワゴンR」を発売しました。それまでの軽自動車は車高が低く、車内の居住性は狭苦しいのが当たり前でした。そこに、新しい常識を作ったといえるのがワゴンRです。
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ワゴンRは、乗る人を快適にする車高の高さと大きなドアで「軽トールワゴン」という新しいジャンルをつくり、大ヒットしました。
1996年2月には、新型スクーター「レッツ」を発売しました。これは、現在でも現行モデルとしてラインナップされている、レッツや「レッツバスケット」の初代モデルです。この頃はビッグスクーターブームが盛り上がっていたため、バイクメーカー各社が次々とビッグスクーターを開発し、競争が激化していました。
スズキも、1998年2月に同社初のビッグスクーターである「スカイウェイブ」を発売し、ブームの一躍を担います。
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また、1999年1月には、海外向けの大型バイクとして「GSX1300R 隼」を発売したほか、海外から逆輸入した「隼」が、最速のバイクとしてライダーの間で注目されるようになります。さらに同年8月には、二輪車の累計生産台数が4000万台を突破しました。
21世紀になると、ガソリンエンジンから、次世代の動力源の模索と開発が本格化しただけでなく、ユーザーが求める性能に低燃費加わったことにより、2001年10月には、スズキとGMは燃料電池技術分野で相互協力しました。
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2003年2月には、当時非常に珍しいスタイルのスクーターである、「チョイノリ」を発売し、注目を集めます。そして2011年3月には、世界で初めて燃料電池スクーターで「欧州統一型式認証」を取得し、次世代の内燃機関を搭載したバイクの可能性を世界にアピールしました。
そんな栄光ある歴史を紡いできたスズキは、2020年3月に創立100周年を迎えました。今後のモビリティ業界では、EV化が進められていく見込みです。そうした時代の変化にともなって、スズキからも新たなクルマやバイクが誕生するかもしれません。
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織機製作から始まったスズキが、バイクとクルマの分野に進出しなければ、今のスズキは存在しなかったといえます。スズキは、クルマでは軽自動車メーカーとして地位を確立しつつも、バイクメーカーとして最速といわれる「Hayabusa」や、ユニークな二輪を開発する珍しい企業といえるかもしれません。
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