この記事をまとめると
■日本の自動車生産方式をを代表するのが大量生産しながら高品質を保持するトヨタ生産方式だ
ルノー4CV・オースチンA40・VWサンタナを日本で生産!? メーカーにとって諸刃の剣だった「ノックダウン生産」とは
■トヨタはフォードの大量生産方式を取り入れながら独自の工夫を施してトヨタ生産方式を作り上げた
■クルマをよくするという開発現場における思想がトヨタのクルマを魅力的な商品にしてきた
大量生産と高品質保持を実現するトヨタ生産方式
日本の自動車生産方式を代表するのが、トヨタ生産方式だろう。大量生産しながら高い品質を保持することが、日本車全体にいえる世界的な価値である。トヨタの生産方式を導入することで、ドイツのポルシェも適正価格を保持しながら品質が高められ、限られた販売台数であったスポーツカーを広く海外へ販売した。
自動車の量産を世界で最初に手がけたのは米国のフォードだ。それまで、ドイツではじまった自動車生産は、欧州では一台一台順番に完成車まで職人が作り上げる手法であり、量産することが難しかった。したがって車両価格も高かった。まさに富裕層のための乗り物だった。
ヘンリー・フォードは、自動車がゆくゆくは庶民にも買えるものになることを目指し、またそれによって販売台数を伸ばすことで業績を高められると考えた。そこで、熟練技術を持たない工員でも、簡単な作業を繰り返し、それを順に次の工程へ手渡ししていくことで大量生産する手法を考えた。これが、世界へ波及することになる。
トヨタも、第二次世界大戦の前から米国へ視察に行き、大量生産を学んだという。しかし、まだ創業期の日本の自動車産業にそのまま採り入れることは難しく、独自の工夫が凝らされた。それが、トヨタ生産方式だ。
社員全員の意識共有がトヨタのクルマを魅力的な商品にした
そしてトヨタ生産方式の代表がジャストインタイムである。製造工程において、そこで必要とする部品を間違いなく適切に準備することで、無駄や装着間違いを防ぎ、流れ作業を順調に進める手法である。これによって、無駄な在庫を省くこともでき、部品倉庫などの施設も限定的で済む。ここで活躍したのが、カンバンと呼ばれる板状の指示書だ。
カンバンには、部品の仕入れ先や部品の種類などが記載されており、これにしたがって取り付け部品を準備すれば、間違いなく装着できる。車両に装着し終えたら、このカンバンを手前の行程へ戻すことにより、次の作業に必要な部品などが整えられる。
アナログ的な手法だが、センサーやコンピュータによる管理を導入しなくても、間違いなく適切に完成車をつくることができる。
次に知られるのが、カイゼンだろう。これは、作業をする現場の工員自ら、より作業のしやすい手順や組付け方法を編み出し、さらに的確で手早い組み立て作業を行えるよう、生産現場を進化させる考え方だ。
欧米では、工場に限らず職場では役割分担が明確で、自分の成すべき仕事以外は関与しない傾向がある。一方でカイゼンは、役割や地位に関係なく、よりよい製品をつくることを関わるすべての社員が共有・意識し、改良の提案を行うことができ、その案を検証して現場に活かす生産方法だ。
ほかにも、各作業工程の終盤に正しく部品が装着されているか検査をし、不都合があればその場で一旦作業を停止して修理するという品質検査も行われている。これによって、完成車検査を必ずしも行わなくても不具合を減らすことができる。完成車検査はそれがあることによって、二重の確認作業となり、より間違いのない製品を出荷することにつながる。
豊田章男社長が開発現場に提唱した「もっといいクルマをつくろうよ」も、製造現場でのカイゼンに通じる取り組みではないだろうか。部品の改良だけでなく、クルマを以前よりよくするという開発現場における思想が、トヨタの新車をさらに魅力的な商品にしてきたといえる。
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みんなのコメント
しかも部品の値下げ要請が当たり前であり、低品質なクルマを高い価格で売りつけるトヨタはウハウハだよねw
ジャストインタイムとか響きはいいけど結局は下請け孫請けが在庫を抱えていないとダメなワケで自分のとこで持つべき負債を下流に付け替えただけのやり方