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自宅駐車場からの「はみ出し駐車」、1cmでも違反? 意外と知らない法律の境界線

掲載 37
自宅駐車場からの「はみ出し駐車」、1cmでも違反? 意外と知らない法律の境界線

■「ちょっとくらい」が命取り? はみ出し駐車の危険性

 自宅の駐車場からクルマが少しはみ出している状態は、日常的によく見られます。

【画像】「これはアウトー!?」これが駐車違反に該当する「ダメなとめ方」です!

 しかし、この「少し」が法律違反となり、罰則の対象になる可能性があるようです。

 たとえわずかなはみ出しであっても、法律上の問題やご近所トラブル、さらには交通事故の原因になりかねません。

 本記事では、はみ出し駐車に関する法的な基準と、その背景にある車庫証明のルール、そして未然にトラブルを防ぐための注意点を解説します。

 住宅街を歩いていると、自宅の駐車場に停められたクルマの先端や後部が、公道に少しだけ突き出している光景を目にすることがあります。

「駐車スペースが少し狭いから仕方ない」「これくらいなら通行の邪魔にならないだろう」といった考えからか、ドライバー自身もあまり気にしていないケースが多いかもしれません。

 実際にSNSなどでは、「近所のはみ出し駐車のせいで、道の見通しが悪くて危ない」「対向車とのすれ違いが困難になる」といった、迷惑行為に対する切実な声が数多く投稿されています。

 多くの人が日常的に遭遇するこの「はみ出し駐車」ですが、単なるマナーの問題で済まされる話ではないのです。

 この「ちょっとしたはみ出し」、一体どこからが法的に許されないラインなのでしょうか。

「一体、何センチ道路にはみ出したら違反になるのか?」という疑問を持つ人も多いでしょう。

 しかし、法律の条文には「〇センチ以上は違反」といった具体的な数値は記されていません。

 ただし、たとえ数センチであっても、車体の一部が道路に出ていれば、法律的に違反と見なされる可能性も 。その根拠は、主に2つの法律にあります。

 一つ目は「自動車の保管場所の確保等に関する法律」(通称:車庫法)です。

 この法律の第11条では、何人も道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならないと、明確に定められています。

 つまり、公道はあくまで通行するための場所であり、クルマを保管する車庫代わりにしてはいけない、というのが大原則です。

 同法ではさらに、日中(日出時から日没時まで)に12時間以上、または夜間(日没時から日出時まで)に8時間以上、道路上の同じ場所に駐車し続ける行為を禁止しています。

 自宅の駐車場から常態的にはみ出して停めている場合、この「道路を保管場所として使用している」と判断され、違反に問われる可能性があるのです。

 違反した場合は「3カ月以下の懲役または20万円以下の罰金」という罰則が科されることもあります。

 二つ目は「道路交通法」です。駐車方法に関する法律も、はみ出し駐車に関連します。

 例えば、駐車した際に車両の右側の道路上に3.5メートル以上の余地が確保できなければ、駐車してはならないと定められています。

 はみ出すことによってこの余地がなくなれば、違反に該当する可能性があります。

 また、交差点の端や道路の曲がり角から5メートル以内の場所は駐停車が禁止されており 、車体の一部がこの範囲にかかっていれば、当然違反となります。

 さらに、駐車する際は他の交通の妨げにならないようにすることも義務付けられており、はみ出した部分が歩行者や他の車両の通行を妨げていると判断されれば、これも違反行為となり得ます。

■原因は車庫にあり? はみ出しを生む根本的な問題とは

 そもそも、なぜ所有するクルマが駐車スペースに収まりきらないという事態が起こるのでしょうか。

 その背景には「車庫証明」の制度が深く関わっています。

 自動車を新たに購入したり、住所変更をしたりする際には、原則として警察署に自動車の保管場所を届け出て、車庫証明書を取得しなければなりません。

 この車庫証明を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

 その中でも特に重要なのが、「自動車の全体を収容できること」という条件です。

 つまり、車体が道路などの敷地外にはみ出してしまうようなスペースでは、本来、車庫証明は交付されないのです。

 しかし実際には、車庫証明を取得した後に、駐車スペースに物置や自転車、植木鉢などを置いたことで、有効なスペースが狭くなってしまうケースが見受けられます。

 その結果、日常的にクルマをはみ出させて停めざるを得ない状況が生まれてしまうのです。

「わずかなはみ出しですぐに警察が取り締まることはないだろう」と軽く考えてしまうかもしれません。

 確かに、ただちに取り締まりの対象となるケースは少ないかもしれませんが、悪質な場合には近隣住民からの通報によって警察が状況確認に訪れ、指導を受ける可能性は十分に考えられます。

 何よりも重要なのは、はみ出し駐車が交通事故を誘発する危険な行為であるという認識を持つことです。

 見通しの悪い道路では、死角を生み出す原因となり、歩行者や自転車の飛び出しに対応できなくなる恐れがあります。

 狭い道では、他の車両の通行を物理的に妨害し、緊急車両の進入を阻むことにもなりかねません。(くるまのニュース編集部)

文:くるまのニュース くるまのニュース編集部

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みんなのコメント

37件
  • まさーや
    近所で数ヶ月前にコンパクトカーからミニバンに乗り換えた家族がおるけど、頭からで車体を斜めにしか自宅に停めれず、しかもケツは道路ギリギリ。
    トランクの荷物を取るために開けるともちろん車道にガッツリ出ます。家の前の道は車1台がギリギリ通れる道なのでトランク開けたまま荷物を自宅に入れる作業をされると通れません。
    そのタイミングで通ろうとすると嫌そうな顔をされます。
    いやいやご近所なんやから頭ペコっと下げて一瞬だけトランク閉めろよって思ってしまう。
  • ko2********
    車が道路にはみ出していても気にならないというのは、自分が極度の自己中であると近所に宣伝しているようなものだからね。
    そもそも敷地が狭いならおとなしく小さい車に乗ってればいいのよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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