英国に存在する2600 ベルリーナは1台のみ
アルファ・ロメオ1900を一般道で走らせれば、現代の交通にも充分ついていける。4気筒ツインカム・エンジンは滑らかに回転し、2速で引っ張れば80km近くまで加速できる。3速なら110km/hに届く。
【画像】4気筒の1900 スーパーと6気筒の2600 ベルリーナ 戦前と戦後のアルファ ジュリア GTAmも 全133枚
ステアリングコラムから伸びるシフトレバーは、19本ものリンクで繋がっており、遊びが大きい。慣れれば、悪くないペースで変速できるようになる。
ブレーキはドラムで、充分にペダルへ力を込めないと期待した制動力は得られない。ステアリングホイールも、低速域ではかなりの腕力を要する。ある程度予測的な運転が求められる。70年以上前に設計・生産されたクルマだと、気遣う必要がある。
乗り心地は印象的なほどにしなやか。スピードが乗ってくると、ステアリングホイールが軽くなり、ダイレクトな反応を楽しめる。アルファ・ロメオらしく、カーブを小気味よく縫える。
対して、ホワイトの2600 ベルリーナはジェレミー・ウィルソン氏が2016年に購入したアルファ・ロメオ。500台足らずが生産された右ハンドル車で、南アフリカで発見したという。
「家族と一緒の長距離旅行に耐えられる、4シーターのクラシックカーを探していたんです。もともとイタリア車が好きで、ランチア・フラミニアと悩みましたが、最終的に2600を選びました」
南アフリカからの輸入には苦労したと彼は振り返るが、現在はボディのサビと格闘中。英国に存在する2600 ベルリーナは1台のみ。欧州全土に範囲を広げて探しても、3・4台ほどしか売りには出ていないようだ。
明らかに速い6気筒 制動力も強い
前期型ではベンチシートにコラムシフトという組み合わせだったが、ウィルソンのクルマのように、後期型ではセパレートシートにフロアシフトへ変更されている。メーターパネルには、リボン式のスピードメーターとタコメーターが備わる。
1960年代のイタリア車らしく、警告灯も並んでいる。ガラスの曇りを取り除く、ファンも備わる。ペダルはフロアヒンジで、荷室は1900と同じく広い。シャシーには、4000km毎にグリスアップが求められる部分が16か所もある。
ボンネットに収まるのは、1900が搭載する4気筒エンジンと見た目が似ている、ツインカムの直列6気筒。ウィルソンの2600 ベルリーナには、ウェーバー・キャブレターが2基載っているが、本来ならソレックスのツインキャブが見えるはずだ。
とはいえ、吸気サウンドが気持いい。いつ交換されたのか定かではないというが、彼は特に気にかけていないそうだ。
ステアリングホイールを握ってみると、6気筒エンジンの方が明らかに速い。窓の面積が大きいため、車内は明るく、視認性も優れている。フロントブレーキはディスクで、サーボアシストも備わり制動力は充分強い。
1900の4速に対し、5速マニュアルという点もアドバンテージになるが、ギア比は良くない。1速が非常に低く、すぐに2速へシフトアップが必要。1000rpm当たりのスピードは、5速では28.9km/hになる計算で、1900と一致する。
アルファ・ロメオの技術的な雛形を構築
6気筒エンジンは甘美に回り、6000rpmまで心地いい音色を放つ。トルクが太く、普通に運転していれば4速と5速の往復で足りる。実際より速く感じられることは事実だが、2速と3速での加速は確かに鋭い。4速や5速でも、充分にスピードを高めていける。
ステアリングホイールは、1900と同じく低速域で重い。しかし、5km/hも出せば軽く転じる。
カーブの連続する区間を意欲的に走らせると、優れた安定性に感心する。タイヤは細いものの、しっかり路面を掴み乗り心地はしなやか。完成度の高さを物語る。
希少性も相まって、筆者は2600 ベルリーナへ特別な気持ちを抱いてしまう。しかし新車時は、優れた4気筒エンジンの1900の後で、満足できる評価を集めることができなかった。高めの価格も足を引っ張った。
21世紀にはスタイリッシュに見える直線基調のスタイリングも、当時はフラッグシップ・サルーンに相応しいとは受け止められなかった。1980年代のアルファ・ロメオ・アルファ6も、同様な結果を招いているが。
1900の時代は、新しいモデル自体が少なく、売れやすい環境にあったことも事実ではある。だが同時に、その後20年間のアルファ・ロメオの技術的な雛形を、構築したといっても過言ではない。
それは、4気筒のツインカム・エンジンを搭載し、シンプルなコンセプトでありながら、細部まで洗練されたドライバーズカーだということ。かくして、70年後に体験しても印象的なほどだった。
※この記事のオリジナルは2017年7月に執筆されました。
1900 スーパーと2600 ベルリーナ 2台のスペック
アルファ・ロメオ1900 スーパー(1950~1959年/欧州仕様)
英国価格:1300ポンド(新車時)
販売台数:1万7390台
全長:4419mm
全幅:1600mm
全高:1473mm
最高速度:164km/h
0-97km/h加速:17.1秒
燃費:6.4-8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1169kg
パワートレイン:直列4気筒1975cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:94ps/5400rpm
最大トルク:13.2kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル/後輪駆動
アルファ・ロメオ2600 ベルリーナ(1962~1968年/欧州仕様)
英国価格:2300ポンド(新車時)
販売台数:2092台
全長:4724mm
全幅:1702mm
全高:1473mm
最高速度:173km/h
0-97km/h加速:13.0秒
燃費:6.4-8.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1406kg
パワートレイン:直列6気筒2582cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:131ps/5900rpm
最大トルク:20.4kg-m/3400rpm
ギアボックス:5速マニュアル/後輪駆動
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