より賢く、より安全に、よりサステナブルに
10月31日、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)と日本電信電話株式会社(以下、NTT)は交通事故ゼロ社会の実現に向けて、モビリティ分野におけるAI・通信の共同取り組みに合意した。
【画像】トヨタ自動車とNTTの交通事故ゼロ社会の実現に向けた取り組み 全23枚
クルマの未来を変えていくためには、まず『より賢く、より安全に』が重要なポイントになる。それには、
・クルマ/ドライバー/インフラの情報を絶えず収集しAI学習に活用する
・先読みした運転支援による危機回避
・シーンに応じた安心安全で自由な移動
といったことが求められる。
さらに、『よりサステナブルに』も重要だ。そのためには、
・エネルギー効率の良いデータ収集/学習
・分散型DC(データセンター)で再生可能エネルギーの地産地消
・低消費電力のネットワークとAI基盤
も重要になってくる。
トヨタとNTTは、これまでも2017年にはコネクテッドカーのデータ処理の基盤作り、2020年にはクルマから街へ範囲を広げたスマートシティ(ウーブンシティ)の開発などで協業を行ってきた。
両社はこれまでの協業を通じて、技術や産業の発展を通じた社会貢献や、人中心の考え方、日本を起点としたグローバルへの貢献といった共通の価値観を有していることを確認してきた。今回、安全と自由が調和した豊かなモビリティ社会の実現に向けた第一歩としての『交通事故ゼロ社会』を目指し、協業をさらに深化させていく。
事故率の減少はサチュレート傾向
2013年には約63万件あった交通事故発生件数は、2022年には30万件までに減少した。とはいえ、最近では事故率の減少はサチュレート傾向にあり、また追突/出会いがしら/右左折といった事故発生パターンの割合はほとんど変わっていない。
交通事故ゼロ社会の実現には、
・死角のある交差点における出会いがしらの接触防止など『三位一体型インフラ協調』
・大量の走行データに基づき、AI自らが学習するデータドリブンな『高度運転支援/将来的な自動運転システムの開発』
・事故に繋がりうる危険行動を避けることを促す『AIエージェントの開発』
といった取り組みから、クルマ側でのデータドリブンによる運転支援技術の高度化や、将来的な自動運転技術の開発が進められている。だが、ヒト、モビリティ、インフラが『三位一体』で絶えず繋がるインフラ協調型の取り組みも必要となる。
技術の開発とインフラ協調型の取り組み。双方を実現するために、トヨタは安全安心を第一優先としたSDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)の開発を進めている。そしてSDVの進化と並行して、高速、高品質な通信基盤と、膨大な情報を収集し賢く処理するAI基盤や計算基盤といったインフラの構築がより重要になる。
そこで、通信に強みを持つNTTとトヨタは、切れ目のない通信基盤と、大量のデータを賢く処理するAI基盤や計算基盤を組み合わせた『モビリティAI基盤』を共同で構築する。それにより、ヒト、モビリティ、インフラを繋げ、交通事故のない安全安心でサステナブルなモビリティ社会の実現を目指していく。
2030年までに5000億円規模の投資
モビリティAI基盤は、1:分散型計算基盤、2:インテリジェント通信基盤、3:AI基盤により構成されている。
データや通信量の変化はすさまじく、SVDの台数が増加していく2030年には、現在より必要な計算能力は150倍、通信量は22倍になると予測されている。
これに対応すべく、NTTの革新的なネットワークである『IOWN』を活用し、大容量で高品質かつ低消費電力のモビリティAI基盤を作り上げていく。
このモビリティAI基盤はモビリティ分野での標準化を目指し、両社だけでなく交通事故ゼロ社会の実現という大義に共感する、産官学のパートナーに広く活用してもらうことを想定している。クルマや通信だけでなく、サプライヤー、テクノロジー、コンテンツエンターテインメント、生活サービス、モビリティサービス、エネルギーなど、さまざまなパートナーにはたらきかけていく。
この取り組みにおいて、今後両社で2030年までに5000億円規模の投資を見込んでいる。2025年以降、モビリティAI基盤の開発をスタートさせ、2028年頃からさまざまなパートナーと、三位一体でのインフラ協調による社会実装を開始。そして2030年以降の普及拡大を目指していく。
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