7:15 電気技術者として働き始めた創業者
ロンドンの南、テムズ川のほとりには、バタシー火力発電が存在した。現在は、特徴的な4本の煙突を残しつつリノベーションされ、商業施設へ生まれ変わっている。だが、初の電動ロールス・ロイスへ試乗するスタート地点として、望ましい場所だろう。
【画像】知るほど感慨深い ロールス・ロイス・スペクター 内燃エンジンのレイスとドーン 先代ファントムも 全113枚
2023年の最も壮観な電動グランドツアラーで、グレートブリテン島を巡る小旅行に出たいと思う。ロンドンでも再開発は盛んで、スカイラインは高く伸び続けている。そこへ屈むように残るこの建物は、英国が発電を開始した時代を象徴する産業遺産だ。
電気が新しかった時代、世界に革命をもたらす可能性へ若きエンジニアは期待を膨らませた。ロールス・ロイスを創業した、若きフレデリック・ヘンリー・ロイス氏も、その1人だったに違いない。
ロイスは、自動車や航空機のエンジン開発を得意としたと考えられている。しかし、電気技術者として自身のキャリアをスタートさせている。その経歴がなければ、後に誕生する高級モデルへの見識は、違ったものになっていたかもしれない。
1870年代の混沌としたロンドンで発起し、20世紀の英国を代表する技術者の1人へ登り詰めた彼の生涯は、他に例がないような壮大なものだ。最高級の自動車ブランドを創出し、ロールス・ロイス・マリーン・エンジンを開発したのだから。
働きながら学び、電気への理解を深めた
幼い頃のロイスは生活が苦しく、9歳で電報配達の仕事を始めた。14歳を向かえるまでに、学校教育を1年しか受けていなかった。その後、歴史に刻まれる人物になると、誰が想像しただろう。
1980年代初頭、彼はロンドンの発電会社へ就職。働きながら、夜間には電球の発明者とされるハイラム・マキシム氏と、ウィリアム・アイルトン氏へ学び、電気に対する理解を深めていった。
そんな歴史を静かに回想しながら、スペクターでロンドンの北を目指す。テムズ川を越えるサザーク橋を渡り少し進むと、英国の技能認定組織、シティ&ギルズによる技術学校の跡地がある。若きロイスが、未来への階段を登っていた場所だ。
今でも沢山の学生が通りを急ぎ、授業へ向かっている。彼らが乗る大半は自転車だ。1人が、「電動のロールス・ロイスがいる」。と友人へ伝える。それでも、関心を示す人はかなり少ない。
スペクターはスルスルと市街地を抜け、ブルームズベリー地区を通過し、高速道路のM1号線へ合流。102kWhの駆動用バッテリーをフル充電すれば、400km以上の距離を走れるという。今回の旅程なら、余裕でこなせるだろう。
11:35 見事な快適性を高速道路で確認
堂々とした容姿のスペクターが、洗練されたマナーでM1号線を北上する。ベッドフォードシャーを過ぎ、ロイスが生まれたハンティンドンシャーも既に後方だ。リニアモーターカーのように、滑らかに突き進む。
エアサスペンションは、鋭い隆起部分を低速で通過すると、減衰力が足りず振動を残すことがある。しかし高速域になると、宙へ浮いたようにスムーズ。風切り音や、タイヤからの転がり音は殆ど聞こえない。
静けさに飽きたら、「ロールス・ロイス・ノイズ」をオンにできる。その人工音は説明が難しいのだが、何匹もの大きなハイイログマが、優しく低い唸り声を発しているような、そんな響きだ。
ロールス・ロイスのグランドツアラーとして、卓越した上質さは健在。ファントムより加速は僅かに鋭く、姿勢制御はシームレス。ステアリングホイールの重み付けは理想的で、自然な敏捷性も備えている。
一般道では、満たされるほど速く平静。ボディはワイドで大きさを常に感じるが、四輪操舵システムを実装し、印象的に正確で機敏。ドライバーズカーの1台だといっていい。
同時に、眼を見張るほど優しく穏やか。外界と見事に隔離された快適性こそ、ブランドの強みでもある。以前のロールス・ロイスと同様に、しっかり備わっている。
ロールス・ロイス初の生産工場跡地へ
最初の目的地は、グレートブリテン島中部、ダービーにあるナイチンゲール・ロード。ここには、ロイスが初めて建設した自動車工場が存在した。今でも、ロールス・ロイスの航空部門が付近へ拠点を構えている。トヨタやJBL、ボンバルディアの工場もある。
1908年に創業を始め、2008年に閉鎖された。敷地の大半が宅地へ転用されつつあるが、通りへ面した建物の一部は残り、会議室やイベント空間として一般へ開放されている。「ROLLS-ROYCE LIMITED」のロゴを背景に、自撮りするのも悪くない。
住宅の建築が進む跡地でスペクターを撮影していると、早めの昼食を取っていた数名が歩いてくる。「道に迷ったんですか?」と、親切な女性が声をかけてくれた。ロールス・ロイスは別の場所ですよ、と。
この続きは、最新スペクターへ試乗 創業者の聖地を巡礼(2)にて。
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