「才能はひけらかすものでなく、滲み出るもの」。う~ん、カッチョいい。本来あまり期待されない部分でも「意外といいね!」というものを持っているクルマはあるもの。ここでは、装備面・内装面でそんな「隠れた才能」を持つ意外性あるクルマたちを取り上げてみたい。
※本稿は2021年9月のものです
文/渡辺陽一郎、片岡英明、大音安弘 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年10月10日号
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■隠れた「装備面の才能」
快適なドライブを楽しむにはいい装備が不可欠。そんな装備を密かに充実させたクルマは何だ?
●軽自動車の装備は、意外と侮れないのです!
装備の隠れた才能に驚かされるのは軽自動車が多い。ボディは小さく、価格も安いため、軽く考えているからだろう。
一番驚かされたのはアルトの後席だ。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕がある。
カローラツーリングやマツダ3は、3ナンバー車でも握りコブシ1つ半分だ。アルトなら大人4名がゆったりと乗車できる。
居住空間なら普通車にも負けない! スズキ アルト…アルトのリアの居住空間はセダンにも負けていない。拳が2つも入る余裕から車内でもゆったり
ミラトコットも装備が充実する。
116万2700円のLSAIIIにも、バイアングルLEDヘッドランプ、サイド&カーテンエアバッグ、衝突被害軽減ブレーキなどを標準装着した。
タフトGは148万5000円だが、アダプティブドライビングビームを標準装着する。
ハイビームで走行中に対向車などを検知すると、部分的にLEDを遮光して相手方の眩惑を防ぐ。
軽自動車だけど、装備面は普通車クラス! ダイハツ タフト…タフトGなら、普通車では350万円級のグレードと同等の装備が150万円で手に入れられる!
ちなみにシビックでは、同様の装備が319万円のLXには採用されず、350万円を超えるEXを選ぶ必要がある。
デイズのプレミアムコンビネーションインテリア、eKクロスのプレミアムインテリアパッケージでは、インパネにソフトパッドと、本物の糸を使った上質なステッチ(縫い目)が採用される。
価格が400万円を超えるCR-Vでも、ステッチは模造品だから、両車の質感は軽自動車ではかなり高い。
本格的ステッチで普通車に対抗! 日産 デイズ/三菱eKクロス(写真は日産 デイズ)…デイズやeKではメーカーオプションの内装パッケージを付けると内装レベルがグンと上がる
軽商用車のN-VANでは6速MTに感心した。
ベースのユニットはS660と同じだからシフトレバーの操作感も優れ、軽商用車でも運転の楽しさを満喫できる。
商用だけどS660譲りのシフトフィールに驚き! ホンダ N-VAN…N-VANのシフトはS660譲り。走りの楽しさは商用でも生きているぞ!
コンパクトカーではフィットの後席に隠れた才能がある。
足元空間はLサイズセダン並みに広く、後席を小さく畳めるから、大容量の荷室として使える。燃料タンクを前席の下に搭載した効果だ。
大容量の荷室で「実はいっぱい積めます」 ホンダ フィット…フィットは後席を小さく畳めるおかげで荷室容量を大きく稼げる。コンパクトだけど積載性は抜群だ
■自給自足で走らせる隠れた才能
ミニバンの3列目シートでは、グランエースを除くと、アルファード&ヴェルファイアが最も快適といわれる。
ところが実際はオデッセイだ。アルファード&ヴェルファイアは左右に跳ね上げて格納するから、シートが薄い。床と座面の間隔も乏しく、足を前側へ投げ出す座り方になる。
ホンダ オデッセイ
その点でオデッセイは床下格納だから、シートが厚く、床と座面の間隔も適度なので着座姿勢もちょうどよい。
プリウスPHVのソーラー充電システムでは、晴天の日に1日充電すると、6~7kmを走行できる。充電や給油をせずに、クルマを自給自足で走らせられる魅力は大きい。
トヨタ プリウスPHV
(TEXT/渡辺陽一郎)
■クラスを超えた内装の質感
クラスを超えた質感に驚かされたのはマツダCX-30だ。ヘッドアップディスプレイも重宝する。
最近のマツダ車のインテリアは質感が高いが、コンパクトSUVのなかでCX-30はダントツに質感が高い。
マツダ CX-30
マツダ CX-30の内装
MX-30も上質ムードだが、親しみやすさは今一歩と感じる。ナビ画面がもう少し大きくて見やすければ、さらに魅力を増すはずだ。
スバルレヴォーグも新型になり、質感をアップした。ちょっとゴテゴテとした印象はあるが、シルバーメッキやピアノブラックの加飾パネルの使い方など見栄えがいい。STIスポーツは洒落っ気も好印象だ。
スバル レヴォーグ
走り味もいいが内装やインパネの質感も先代よりかなり向上し、個性も放つ。ナビも斬新だ
同じ価格帯のトヨタハリアーも上質ムードが際立っている、都会派SUVだ。兄貴分のレクサスのモデルやプレミアムクラスに迫る上質感があり、色使いもうまい。
さらに誕生間もない日産ノートオーラは、コンパクトクラスとは思えない仕上がりを見せている。
インパネは樹脂だが、アームレストやドア内側などにツイード調織物とレザーをあしらい、木目調パネルもいい雰囲気。
日産 ノートオーラ
標準ノートよりプレミアム感があるとはいえツイード調織物などがあしらわれ、いい雰囲気!
フーガと同じ厚みのあるスラブウレタン素材も高級感がある。内装はいいが、ホールド性がもう少しよければ、さらにスポーティな走りを楽しめるはず。そう感じる。
軽自動車も最新モデルは質感に気を遣っている。私が気に入っているのは日産ルークスと三菱eKスペース系のインテリア。
それほど高級感はないが、コストをかけないで質感高い仕上がりになっている。
日産ルークス/三菱eKスペース系
クラス超えの質感が多く見られる軽のなかで、片岡氏が推すのはコチラ! 写真はルークス
(TEXT/片岡英明)
【番外コラム】「もっと才能を発揮してほしかった」残念な旧車たち
才能を発揮せずに消えた国産車として、最も印象的なのが、スズキ キザシだ。スズキ初の上級セダンとなる意欲作でありながら、主戦場ではない日本では受注生産のみ。さらに晩年は、捜査用覆面車として多く採用されたため、警察車両のイメージが強い。
スズキ キザシ
しかしながら、警察関係者が愛車として購入することも少なくなかったとも聞く。世間が食わず嫌いで終わった残念な一台といえよう。
小さな高級車トヨタ プログレは、セルシオに迫る質感と5ナンバーサイズを合わせたアイデアはよかったが、爺むさいキャラが受けず、一世代で終了。
もう少し洒落っけを備え、和製バンプラを目指してほしかった。惜しいモデルだ。
トヨタ プログレ
リムジンシートが売りのRV日産ルネッサ。しかし、後席足元だけが広く、全高のわりに乗車位置も高いので、居住性と乗降性はイマイチだった。
これはEV化を前提としていたことが理由。技術開発の意味は大きかったが、EV化の制約で、ユーザーメリットが薄かったのは残念。
RV日産ルネッサ
2列目の快適性を高めた6人乗り新3列シート車として登場したホンダ ジェイドは、3列目の頭上空間の狭さと2人しか座れない2列目キャプテンシートが不評に。
立駐に収まるワゴンと完全独立式の2列目シートの視点はよかったが、結果的に中途半端なクルマになってしまった感がある。
ホンダ ジェイド
どれも意欲作だが残念ながら空振りに終わったクルマたち。なかには生い立ちゆえに背負ったハンデが大きかったクルマもあるのも事実。
(TEXT/大音安弘)
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みんなのコメント
必ず発狂する奴がいて草
このライター、自説に役立つ情報だけピックアップして不都合な情報は隠避してるように見える、、、なんか陽一郎さんっぽい