現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 新型クラウンも見習った!? 20年前の名車大改革!! 「ゼロクラウン」が変えたクラウンの歴史

ここから本文です

新型クラウンも見習った!? 20年前の名車大改革!! 「ゼロクラウン」が変えたクラウンの歴史

掲載 22
新型クラウンも見習った!? 20年前の名車大改革!! 「ゼロクラウン」が変えたクラウンの歴史

 4つのボディバリエーションや、これまでのFR(FRベースの4WD)から、全車FFベースのAWDにするなど、67年に渡るクラウン史上においても大革新となった、16代目新型「クラウン」。

 新型クラウンの衝撃はかなりのものだったが、実はクラウンは以前にも大改革を行っている。それが12代目となる180系クラウン、いわゆる「ゼロクラウン」だ。

新型クラウンも見習った!? 20年前の名車大改革!! 「ゼロクラウン」が変えたクラウンの歴史

 今回はクラウンの歴史上で大きく時代を動かした、12代目「ゼロクラウン」について振り返りつつ、新型クラウンの今後について考えてみよう。

文/吉川賢一、写真/TOYOTA、ベストカー編集部

■「これまでのクラウン」を覆したゼロクラウン

2003年に登場した12代目トヨタ クラウン。広告のキャッチコピーから「ゼロクラウン」の通称で親しまれ、いまだ中古車人気も高い

 2003年から2008年まで販売されていた12代目クラウン、通称「ゼロクラウン」。2003年12月~2005年10月の前期型と、2005年10月~2008年2月の後期型に大別され、ラインアップは、伝統的なラグジュアリーサルーンの「ロイヤル」と、先代から復活設定されたスポーティグレード「アスリート」の2つ。

 ロイヤルとアスリートの大きな違いは、フロントグリル(ロイヤルは伝統の横基調のルーバー)と、テールランプ(アスリートは丸目4灯)、インテリア(ロイヤルはウッド調、アスリートはブラックを基調)のデザインなどだ。

 プラットフォームを先代から一新し、ボディ剛性を向上したほか、サスも4輪ダブルウィッシュボーンからリアをマルチリンク式へ変更。クラウンとして初めて電動パワーステアリングを採用したのもこのモデルだ。そのおかげもあり、ハンドリングはずいぶんと軽やか、かつシャープになった。

 また、クラウンへ伝統的に搭載されていた直列6気筒エンジンは、V型6気筒エンジンに。ロイヤルとアスリート共通で、V6の2.5L(4GR-FSE型)と、3.0L(3GR-FSE)の2種類。

 トランスミッションは前者が5速AT、後者は6速シーケンシャルシフト付きATだ。後期型では、3.0L・V6エンジンが、3.5L・V6エンジン(GR-FSE型)へと変更、さらにパワフルで切れのある加速が可能となった。

 デザインもスポーティで若々しいスタイリングへと生まれ変わり、これまでのクラウンのイメージを一新させるものに。

 筆者は2005年ごろ、当時最新の180系クラウンをベースとしたパトカーに、恥ずかしながら取り締まりを受けたことがある。当時筆者は、20代。切符を切られている最中、この180系クラウンのパトカーを目の前にして、不謹慎ではあるが、「かっこいいなぁ」と見とれてしまうほど、かっこよかった。

■100%成功とはならなかったがクラウンのイメージを変えた

若い世代に訴えかけるスポーティーグレードとして先代で復活したアスリートは12代目でも継承(写真右)

 「ゼロクラウン」のキャッチフレーズは、「ZERO CROWN――かつて、このクルマはゴールだった。今、このクルマはスタートになる」(このキャッチフレーズから「ゼロクラウン」と呼ばれるようになった)。

 このキャッチコピーには、日本人の価値観が変わってきたことに対する、トヨタの「危機感」が現れているように思う。

 ゼロクラウンが登場した2000年代前半といえば、職業や働き方、ライフスタイルなどが多様化し始めたころ。若くして成功する者も増え、様々な年齢層で、好きなクルマを手に入れるようになった時代。

 1980年代や1990年代のように、カローラ、マークIIとクルマをステップアップしながら乗り継ぎ、ようやく頂点にあるクラウンに乗るという、「いつかはクラウン」のシナリオが受け入れられなくなりつつあった。

 トヨタとしては、確固たる地位を築いていた「クラウン」ブランドの未来に、「危機感」を覚えたのだろう。

 デザインをスポーティに見せたり、3.5Lのハイパワーエンジンを投入したりと、これまでのまったり高級クラウン像とは決別するかのような「アスリート」グレードを用意(もちろんそれまでのクラウンを望む方にはロイヤルは残している)するなど、顧客を若返りさせたいというトヨタの思惑は、残念ながら100%成功とはならなかった。

 しかし、確固たるブランドを崩そうと、チャレンジをした180系クラウンの姿は、今回の新型16代目クラウンにも通じるものがある。

 セダンが受け入れられず、FRの価値も求められなくなり、また、急速に進む技術の進化や、環境性能が高い次元で必要となっているいま、クルマにおいて、これまでの「価値」は通用しなくなっている。

 「セダン」であることやFRであること、そして伝統をもつモデルであることを武器にして生き抜いてきたクラウンにとって、この変化は特に厳しい。

 この多様性の時代に、トヨタは、クロスオーバーやスポーツSUV、エステート、セダンと、多様な選択肢を用意することで、クラウンの可能性を探ろうとしているのだろう。

■新型ではパワートレインのバリエーションも豊富となるはず!!

2022年登場のトヨタ クラウンクロスオーバー。これまでのクラウンのイメージを一新させたゼロクラウンから、さらにもう一度生まれ変わろうとしている、クラウンの二度目のイノベーションだ

 いよいよこの秋から、クラウンクロスオーバーが販売開始となる。続いてスポーツ、エステート、セダンが、1年半の間に続々と登場する計画だ。

 この3車種はクラウンクロスオーバーと同じく、ハイブリッドのパワーユニットとなるのか、プラグインハイブリッドも出すのか、バッテリーEVになるのか、はたまた水素燃料車となるのか、現在全貌はわかっていないが、「選択肢を増やす」ため、極力バリエーションを増やしてくるだろう。

 ここまでは、盛り上げることに成功している新型クラウンだが、本番はこれからだ。しかも、グローバルに広げていくという世界戦略車でもある。新たなステージに突入したクラウン。今回の「革命」は成功するのか、今後に注目だ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
ベストカーWeb
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
AUTOSPORT web
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
AUTOSPORT web
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
ベストカーWeb
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
AUTOSPORT web
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
Auto Messe Web
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
AUTOSPORT web
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
AUTOSPORT web
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
AUTOCAR JAPAN
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
Auto Messe Web
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
AUTOSPORT web
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

22件
  • ゼロクラの方が、まだ、クラウンらしさがありカッコよかった。
  • 確かにゼロクラでクラウンのイメージが一新しましたね。
    それまでのクラウンは、オジサンの乗り物でしたから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

48.0890.0万円

中古車を検索
クラウンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

48.0890.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村