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タイヤの使用上限が25周に制限されるF1カタールGP、各車の戦略はどうなる? 初日にはグラベルによりタイヤに傷という事例も確認……レースに影響の可能性も

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タイヤの使用上限が25周に制限されるF1カタールGP、各車の戦略はどうなる? 初日にはグラベルによりタイヤに傷という事例も確認……レースに影響の可能性も

 2025年のF1カタールGPは、摩耗に対する懸念により、各タイヤセット数の最大周回数が25周に制限されている。これがこの先の各チームの戦略を分けることになるかもしれない。

 ピレリは2024年の決勝レースで使われたタイヤを分析した結果、複数のタイヤの摩耗レベルが最大に達していたことを明らかにした。カタールGPの舞台であるルサイル・インターナショナル・サーキットは、高速の右コーナーが多いため、特に左フロントタイヤの摩耗レベルは激しかったという。 そのため2025年のカタールGPでは、各タイヤセットの最大周回数が25周に制限されることになった。

■F1カタールGP、摩耗への懸念でタイヤ1セット25周までに制限。レースは実質2ストップが義務に

 なお2023年のカタールGPでも、各タイヤセットの最大周回数が18周に制限された。この時は「トッピングコンパウンドとカーカスコードの間に微細な亀裂」が生じていたことが発覚したことが原因だったが、今季の制限とは別の問題であるようだ。

 なお25周の制限にカウントされるのは、フリー走行、スプリント予選、スプリントレース、予選、決勝レースのすべてのラップであり、セーフティカーやバーチャル・セーフティカー先導のラップも含まれる。スターティンググリッドに向かうレコノサンスラップやフォーメーションラップ、F1スプリントと決勝のチェッカー後のクールダウンラップはここに含まれない。

 決勝レースは57周であるため、最低でも3セットのタイヤを決勝レースで使うことになるが、各チームはここをどう選択するか、判断が分かれてくるだろう。

 まずはこの後行なわれるF1スプリントでどのタイヤを使うかという点だ。このF1スプリントは19周であり、おそらくハードタイヤもしくはミディアムタイヤを使うということになろう。

 いずれのドライバーも、ハード1セットとミディアム2セットを新品のまま残しており、スプリント予選Q1で脱落した5人のドライバーは、ミディアム3セットが新品のまま残っている。

 3セットのミディアムが残っているドライバーは、躊躇なくこのミディアムタイヤを使えばいいだろう。しかし他のドライバーには、いくつかの選択肢があるかもしれない。

 ひとつはミディアムの新品を使ってしまうということだ。決勝と比べると配点が少ないF1スプリントとはいえ、1ポイントでも多く獲得したいドライバーは、この戦略を採るということになるだろう。

 この選択をした場合、F1スプリントを終えた時点でのミディアムタイヤの残りは1セットということになり、決勝ではハード新品とミディアム新品、そしてミディアムもしくはソフトの中古を使うということになるはずだ。そうなると、必然的にハードとミディアムの新品タイヤは上限の25周付近まで使い切る必要があり、決勝での戦略の幅が狭まってしまう可能性がある。

 ふたつ目の戦略は、ミディアムタイヤの中古でF1スプリントを戦うということだ。前述の通りF1スプリントは19周。つまりタイヤの使用履歴が6周までの中古ミディアムタイヤであれば、フィニッシュまで走り切れることになる。

 予選Q2まで進んだいずれのドライバーも、5~6周だけ使ったミディアムタイヤを最低1セットは残しているため、これを使う可能性は十分に考えられるはずだ。そうすれば、決勝に新品のミディアムタイヤを2セット残すことができるため、戦略的には余裕が出る。例えば新品ハードで25周を走り、残りの32周を新品ミディアムで2スティントに分けるということも可能だろう。

 ハードタイヤでF1スプリントを走ってしまうということも選択肢になるだろう。通常のグランプリでは、ハード1セットとミディアム1セットは、決勝前には返却できない。しかしスプリントフォーマットの週末にはその規定は記載されていないため、ハードタイヤを使い切ってしまっても問題ないはず。

 そうすれば決勝レースをミディアムタイヤ2セットと、ソフトタイヤ1セットで走り切ることも可能だ。戦略的には狭まってしまうが、よりペースの良いタイヤで走り切れるという点はメリットになろう。ただピレリによれば、ハードとミディアムの差はあまり大きくないため、それほど大きなメリットということにはならないかもしれない。

 F1スプリントでどのタイヤを履くかということにご注目いただくと、決勝以降の戦略が見えてくるだろう。

 なおそれ以外にひとつ気になることがある。それは、タイヤのトレッド面に傷が生じている事例が確認されていることだ。

 ピレリのチーフエンジニアであるシモーネ・ベッラは予選後、次のようなコメントを発表している。

「セッションの終盤には、一部のタイヤのトレッド面(設地面)に切れ込みが確認された。これは、コース脇に新設されたグラベルトラップにはみ出してしまったマシンによって、コース上にグラベルが持ち込まれてしまったからだ」

「この損傷は、タイヤの空気圧に影響するほどではなかった。しかし明日(土曜日)の走行中も、タイヤの状態を注意深く監視していく予定だ」

 ベッラによれば、今回グラベルトラップに使われている砂利は、非常に鋭利なのだという。

「グラベルは非常に鋭い。そのため、この傷は非常に簡単に発生してしまった。他のサーキットのモノよりも鋭いように見える」

「かなり深い切り込みもあった。そのうちいくつかは、タイヤの構造部分にまで達していた」

「幸いにもコードが切れることはなかった。しかし構造部分が露出してグラベルの上を走り続ければ、パンクする危険性があるのは明らだ」

「予選やスプリント予選では、ドライバーたちF1スプリントやレース中よりもはるかに限界を攻める。しかしレース中はもう少しコース上に留まろうとするだろうから、F1スプリントや日曜日のレースでは、それほど心配する必要はないかもしれない。しかし我々は、この問題にも目を光らせておきたい」

 さらにベッラは、次のように続けた。

「現時点では、我々は懸念していない」

「しかし状況によっては、タイヤに何かを問題が発生したり、パンクが発生する可能性がある場合には、スプリントやレースで起こり得る影響を考慮する必要がある」

「FIAはコース上のグラベルの状況を監視している。コースを清掃するために、赤旗やセーフティカーを出動させる可能性もある」

文:motorsport.com 日本版 田中 健一

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みんなのコメント

6件
  • sam********
    昔のようにタイヤメーカー同士の競争も見たい。
  • そにー製パスタ
    去年のWEC第1戦でもほぼ同じ事象で騒がれていた。
    ミシュランの耐久用タイヤでも発生していたとなると、やはりカタールはとにかくタイヤに優しくないグラベルなんだな、と。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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