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2021年の最高を選出 シンプルなケータハム 見事な統合のフェラーリ BBDC 2021(3)

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2021年の最高を選出 シンプルなケータハム 見事な統合のフェラーリ BBDC 2021(3)

ジュリア GTAmの公道を飲み込むような走り

プジョー508 PSEはバランスに優れた操縦性を持ち、ドライバーとの一体感が高いことを伺わせる。だが、「完全にはオフにできない、電子制御システムの管理下にある印象を拭えません。シャシーの方向性は良いのですが」。とフランケルが漏らす。

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筆者、ソーンダースは、物足りないトルクやレスポンスが気になった。操縦性は、もっと直感的で自由度が高くて良いと思ったし、MTが選べないのも残念というのが本音だ。

508 PSEのドライビング体験には、ナチュラルで従来的な訴求力が足りなかった。パワーを弾けさせる、活気に溢れたアルファ・ロメオ・ジュリア GTAmが、その感覚を一層強めていたように思う。

ジュリア GTAmのステアリングは、穏やかなドライブモードを選んでいる時は、驚くほど軽い。レース・モードを選ぶと、少し重みが増す。だが常時ダイレクトで、正確で繊細で滑らか。往年のDTMレーシングカーのような見た目とは、裏腹なほど。

公道では、審査員4名の全員がジュリア GTAmの圧倒するような走りに夢中になった。サーキットでは、ターボ加給される2.9L V6エンジンが強大なパワーをすべて解放。ブレーキがそれをしっかり受け止めてくれた。

サスペンションも、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ・タイヤも、すべてが一丸。なんとエネルギッシュなクルマことか。

その反面、弱点は耐久性のようだ。クラッチベースのリアデフは、サーキットを攻め込むと数周でオーバーヒート。当初は自在にアングルを決められていたドリフトも、制御が難しくなってしまった。白煙を立てながらの脱出加速も。

心を揺さぶるウラカン STOの音響

その最大のライバル、BMW M3 コンペティションは、繊細さや感覚の濃さ、エネルギッシュな個性という点でジュリア GTAmには及ばない。だが、サーキットでの落ち着きや耐久性という点では勝る。

ディスデイルは、「ドライバーの邪心を甘やかすように、必要ならテールスライドもきれいに決められます」。と笑顔で話す。

アナログでオールドスクールな個性と、デジタルでモダンな能力が融合した、興味深い4ドア・スーパーサルーンだといえる。M3は素晴らしく表現力豊かで、自在に楽しむことを許してくれた。

アナログで表現力豊かなモデルとしては、さらに極上のノミネートがある。ポルシェ911 GT3と、アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディション、ランボルギーニ・ウラカン STOという3台だ。

アングルシー・サーキットとその周辺のワインディングでの3日間、内燃エンジンが生むドラマを満喫させてくれた。壮大なサウンドとともに。

特にランボルギーニ・ウラカン STOは、その存在自体に賛辞を贈りたい。放たれる音響は類まれなほどに壮大。自然吸気V型10気筒エンジンの奏でるハーモニーが、心を強く揺さぶる。

日曜日の朝6時に隣家から聞こえてきたら迷惑なだけだが、人影のないスノードニア周辺の昼間なら、最高のサウンドトラックになる。400mほど離れた道を走っていても。

サーキットへ持ち込めば、その場を支配するような咆哮を響かせる。このエグゾーストノートが、どうやって欧州の騒音規定をパスできているのか、疑問ではあるけれど。

一貫性の高い操縦性のヴァンテージ

グリップ力はランボルギーニだけでなく、ポルシェやアストン マーティンも、いうまでもなく世界最高水準。サーキットでは見事なまでな操縦性のバランスと、ライン調整のしやすさを両立させていた。

面白いことに、この3台はそれぞれエンジンの搭載位置が異なる。ゆえにドライビング・スタイルも異なるのだが、互いにとても魅力的な体験を与えてくれた。

ウラカン STOで感心させられたのが、2014年のウラカン登場以来、驚くほど進化した動的能力。エンジニアの努力の積み重ねに違いない。

ヴァンテージ F1エディションも、アストン マーティンが施した特別仕様のシャシー・チューニングによって、素晴らしいドライバーズカーへと高められている。質量を見事に制御し、一貫性の高い操縦性を獲得。パワースライドも完璧といえるほど自在だ。

だが、ランボルギーニもアストン マーティンも、ポルシェ911 GT3の備える完全性には迫れなかったことも事実。ポルシェのドリフトアングルを問わないコーナリング、眼を見張るほどのクリップ力、正確で濃密なステアリングを超えてはいない。

ディスデイルは、「仰天するほど卓越しています。燃料タンクが空になるまで、サーキットを走っていたいと思わせます」。と表現。プライヤーは実際にガソリンが尽きるまで走り込み、「楽しく繊細で、愛おしい」。と笑顔で降りてきた。

AUTOCARを定期的にお読みいただいている方なら、911 GT3が2021年のBBDCトップ3にランクインしても驚かないだろう。評価の高さはいつものことだ。

忘れられない体験のミニ・リマスタード

クラシカルな見た目の、デビッド・ブラウン・ミニ・リマスタード・オセリ・エディションも、2021年のノミネート車両に選ばれた。レストモッド・モデルがBBDCに参加したことは過去になかったが、メーカーは初事例として快くクルマを提供してくれた。

小さなミニを1度運転すれば、忘れられない体験になる。エンジンはAシリーズと呼ばれるユニットで、ツインキャブレターの1450cc。空気の吸入と4本のシリンダーの燃焼が、素晴らしいサウンドを放つ。回転数は関係ない。

非常に個性的でもある。アイドリングは荒っぽいし、シフトフィールは曖昧。操縦性は、オリジナル・ミニのベストとはいえない。路面の起伏やワダチに敏感で、意図した位置を走らせ続けることも難しい。

コーナーでは、ボディロールに伴うオーバーステアも生じる。右旋回より、左旋回の方が顕著だった。ディスデイルは、「このミニをもっと好きになりたかった」。とつぶやいた。デビッド・ブラウンのチューニングには、まだ余地がありそうだ。

「路上での限界領域は、危険にすら感じました。左コーナーでは驚くほどテールが動きます。でも、右コーナーでは安定している。出口目掛けてパワーをかけて、オーバーステアに持ち込めるほど」

BBDCでの得点は伸び悩んだが、パワーやグリップが向上していたことは事実。クラシカルなミニの操縦性が現代化され、サーキットを許容できる能力を獲得している。

果たして上位3台に選ばれ、最終決戦に進むモデルは? この続きは(4)にて、経験豊かなフランケルにまとめていただこう。

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