■トーヨータイヤが欧州初となる生産拠点を東欧セルビアに開所
TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は12月14日、東ヨーロッパに位置するセルビア共和国に、欧州では同社初となる生産拠点を新たに開所しました。
開所式にはセルビア共和国大統領のアレクサンダル・ヴチッチ氏も出席しておこなわれるなど、国をあげて応援してくれているとのことです。
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「セルビア」と聞いてパッと位置を思い出す方はそう多くはないかもしれません。
セルビア共和国は旧ユーゴスラビアから独立した国で、東ヨーロッパのバルカン半島にあり、中心都市はベオグラードです。
日本から行くにはトルコ・イスタンブールを経由してセルビアに入国するのが一般的だそうです。
トーヨータイヤの新しい生産拠点は、ベオグラードからクルマで1時間ほど走ったインジア市に開設されました。
一面真っ平な畑が広がるなかに建設されたセルビア工場は白を基調として、事務所棟は黒を基調とするスタイリッシュな建物になっています。玄関前に設置された「TOYO TIRES」の看板も誇らしげに見えます。
敷地面積は約60万平方メートル(約150エーカー)。工場に隣接したところには直線距離720m、周回距離は1690mとなるテストコースを敷設。
このテストコースではヨーロッパの法規制に対応するために、法規に則った製品を製造しているのかの品質チェックはもちろん、次の製品に向けたテストも行っていく場所にもなります。
また、工場敷地内には開所時点でセルビア国内最大規模となる太陽光発電システム(発電電力容量8.4MW)、年間10.15GWhの電力を賄い、年間7100トンのCO2削減にも寄与します。事務所棟に入ったところには発電量を見られるモニターも設置されています。
このセルビア工場では、主に乗用車用、そしてトーヨータイヤの人気を押し上げているライトトラック用のタイヤを生産し、フル生産では年間約500万本のタイヤを生産できる能力を持っています。
ヨーロッパ地域で使用するのはもちろん、トーヨータイヤの主力市場である北米地域にも送っていくそうです。
2022年7月から先行完成した生産ラインを使って実際に操業をおこなっており、順次生産ラインを増やして、2023年下期には年間500万本の生産能力になるようにしていくといいます。
■開所式は政府関係者も出席 「日本的」な演出も?
2022年12月14日、トーヨータイヤの新セルビア工場の開所式がおこなわれました。
開所式にはトーヨータイヤ代表の清水隆史社長を始め、セルビア工場を運営するToyo Tire Serbia d.o.o.(トーヨータイヤセルビア)の井村洋次社長、勝亦孝彦駐セルビア特命全権大使、アレクサンダル・ヴチッチ大統領といった日本とセルビアの政府関係者も出席しました。
清水社長は新しい工場について、「日本とセルビアは国交樹立140周年の記念の年に開所できるとあり、両国発展の礎となり、両国の将来の架け橋になるようにしていく」と熱く語りました。さらに以下のように続けます。
「自動車産業は次世代モビリティへの変革が始まっており、EV化の波とともにタイヤに期待される役割も難易度も高まっています。
2019年、ドイツに新設したR&Dセンターはセルビア工場との連携によって付加価値の高い事業構造を実現していく、技術戦略上の重要拠点として位置付けています。
ヨーロッパ各地での地産地消を進めながらも主力のアメリカ市場に向けた戦略的供給拠点としての機能をフルに発揮していきます」
トーヨータイヤは今後、ヨーロッパにおける同社のブランド価値アップを狙い、主力のアメリカ市場での消費に向けて、アメリカ工場でまかないきれない分をセルビアから送り出していくとのことです。
また、政府機関との連携や質の高い労働力創出プログラムを打ち出し、セルビア国内の大学や研究機関との連携も高めていくとして、トーヨータイヤとセルビアの協力体制が整いつつあることも語られました。
締めには赤いだるまに目玉を入れて、鏡開きを行うなど日本的な開所式となりました。
その日の夜に行われたレセプションパーティーでは、アナ・ブルナビッチ首相が出席してスピーチをおこなったあと、今度は青いだるまに目玉を入れられ、赤いだるまと青いだるまがセルビア工場を見守ります。
主な市場がアメリカであり、アメリカ、日本、マレーシア、中国に工場があるなかでトーヨータイヤはヨーロッパに生産拠点を持っていませんでした。今回の開所により世界的に商品を届けられるようになっていくとのことです。
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