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【都市伝説!? 事実!?】レギュラーガソリン指定車にハイオクを入れると燃費向上やパワーアップするって本当?

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【都市伝説!? 事実!?】レギュラーガソリン指定車にハイオクを入れると燃費向上やパワーアップするって本当?

 ガソリンには、ハイオクガソリンとレギュラーガソリンの2種類がありますが、当然、自分のクルマはどちらのガソリンが指定されているのか、わかっていると思います。

 でもレギュラーガソリン指定車に乗っている人のなかには、「ハイオク入れたらパワーが上がったり、燃費がよくなったりするんじゃないか?」という疑問をお持ちになった人も多いのではないでしょうか。

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 またその逆も然り。「ハイオク仕様だけど、レギュラーガソリンを入れても大丈夫?」と思う人もいるだろう。

 ということで、ここで改めて、ガソリンにまつわる噂を、自動車テクノロジーライターの高根英幸氏が解説していこう。

文/高根英幸(自動車テクノロジーライター)
写真/ベストカーWEB編集部

■なぜ、ハイオクガソリンがいいのか?

レギュラーガソリン仕様車にハイオクガソリン、ハイオクガソリン指定車にレギュラーガソリンを入れてたらどうなるのか? ちなみにガソリンは軽油と灯油と区別するためにJIS規格で決められオレンジ色(本来は無職透明)に着色されているが、レギュラーとハイオクの区別はつかない

 ガソリンエンジンは空気とガソリンを吸い込み、圧縮してスパークプラグによる点火によって爆発し、ピストンを押し下げてクランクを回すことによりクルマを前に進ませる力を得ている。

 直噴エンジンは空気だけを吸い込み、燃焼室内で燃料を噴射しているが、最終的には圧縮された混合気をプラグ点火により燃焼させているのは同じことだ。

 ガソリンの「自然発火はし難いが引火しやすい」という特性を利用して、点火時期を微妙に制御することにより、エンジン回転数や負荷に応じた最適な燃焼を行なっている。

 しかし、自然発火しにくいといっても揮発油だけに、あくまで軽油と比べて、というくらいの意味で、一定以上の温度や圧力になれば自然発火を起こす。

 ガソリンエンジンでは、点火による狙ったタイミング以外で燃焼を起こしてしまう状態をノッキングと呼び、異常燃焼の一種で最悪の場合エンジンが壊れてしまうこともある。

 ノッキングは通常の燃焼より早いタイミングで何かの原因によって起こる燃焼で、燃焼室内に堆積したデポジットが火種となったり、燃焼室自体の高温化などで起こることもある。

 レギュラーガソリンと比べ、ノッキングし難い特性のガソリンがハイオクガソリンだ。

 ハイオクとは高オクタン価ということ。ガソリンはオクタン価が高い方が燃えにくい、つまりノッキングしにくいのである。

 燃えにくいガソリンがどうして良いのか、不思議に思う人もいるだろう。燃えにくければ、混合気を大きく圧縮してもノッキングしにくく、狙った点火タイミングで燃焼ができる。つまり、ガソリンのもつエネルギーをより引き出せることになる。

■レギュラー仕様でもハイオクの方がエンジンにいい訳

写真のカローラスポーツi-MTやスイフトRS-t、フィット1.5RS、アルトワークスなどは、スポーティなモデルにも関わらず、レギュラーガソリン仕様。ハイオクガソリンを入れたらもっと速くなるのではないかと思いませんか?

 ということは、レギュラー仕様のエンジンにハイオクガソリンを入れても意味がないんじゃないか、と思われる方もいることだろう。

 ハイオク仕様のエンジンとは、よりパワーを引き出すために圧縮比やブースト圧、点火時期などが最適化されているもので、ハイオクガソリンを使うことを前提にセッティングされている。

 理論的に考えるとそうなのだが、実際にはハイオクを入れることでエンジンの性能がより引き出せる場合がある。

 エンジンにはノックセンサーというノッキング特有の周波数を検知するセンサーが組み込まれていて、ノッキング初期にその衝撃を検知すると点火時期を遅らせて本格的なノッキングを回避している。

 レギュラーガソリン仕様のエンジンでノックセンサーによる制御が入っている状態であれば、ハイオクガソリンにすることで、エンジン本来のパフォーマンスを取り戻せるのだ。

 ほかにもハイオクを入れるメリットはある。エンジンは走行を続けていると吸気ポートを中心に燃焼室周辺にデポジットやカーボンが堆積していく。

 レギュラーガソリンでは増える一方だが、ハイオクガソリンには清浄剤が添加されているので、この堆積物が少しずつ解消されていくのだ。

 この効果だけを考えるなら、カー用品店で販売されているガソリン用の添加剤を追加してもいい。

 ともかく、こうして堆積物が徐々になくなっていくことでエンジンは本来の性能に近付いていくのである。

 エンジンの制御系が古い、少し前のスポーツエンジンはレギュラー仕様でもハイオクを入れた方が、確実にエンジンのためにはいい。

 燃焼室にカーボンが蓄積されて圧縮比が上がってしまっている場合もあるし、水温が上昇気味になったりしてノッキングしやすくなっているクルマもあるからだ。

■ハイオク仕様にレギュラーガソリンがダメなワケ

 ハイオク仕様のエンジンにも、当然ノックセンサーは組み込まれているから、レギュラーガソリンを入れてもノッキングを起こしてエンジンにダメージがおよぶことはない。

 しかし、加速にはより多くアクセルを踏む必要があり、燃費は悪くなるのでレギュラーガソリンを入れるメリットはまったくないと言える。

 輸入車の場合はまた少し事情が違ってくる。日本でハイオク指定となっている欧州車の多くは、実は欧州ではレギュラーガソリン仕様なのだ。

 実はガソリンの規格が日本と欧米では異なっている。これが主な原因と言っていい。

日本の規格ではレギュラーがオクタン価=89以上、ハイオク=96以上と決められているが、実際に流通しているガソリンは、レギュラーがオクタン価=91程度、ハイオクが98以上と言われている

 欧州ではレギュラーガソリンのオクタン価は95以上となっているのに対し、日本はオクタン価89以上となっており90が一般的で、欧州車に日本のレギュラーガソリンを給油することは想定されていないのだ。

 ちなみに日本のハイオクガソリンは96オクタン以上という規格で、98が一般的な数値である。

 もちろん前述のノックセンサーなど、ガソリンのオクタン価に応じて添加時期などを調整してくれるが、少し前の輸入車では日本のレギュラーガソリンには合わせ切れず、確実にエンジンの調子が悪くなるクルマもあった。

 また日本のガソリンは全国で安定した品質を誇っているが、そのクオリティが世界でもトップレベルと思っているよなら、それは少々古い認識と言わざるを得ない。

 というのもひと昔前と比べ、日本のガソリンは劣化が早まった傾向にあるからだ。その原因の一つと考えられているのがETBE(メチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)の添加だ。

 これは10年ほど前は添加されたモノがバイオガソリンとして販売されていたが、今はほとんどのガソリンにオクタン価向上剤として普通に添加されている。

 欧州のエンジニアの間では、昔と比べて日本のガソリンの質が悪くなったという話もあり、原因は新たに添加されたこのETBE以外は考えにくい。

ガソリンスタンドでもよくみかけるようになってきたバイオETBEを配合したバイオガソリン。通常のハイオクまたはレギュラーガソリンで JIS及び品質確保法の規格に合致しており、価格も通常のハイオク、レギュラーガソリンと同じだ

 ただし、欧州でもETBEは普通にガソリンなどに用いられている(日本もフランスから輸入)から、日本だけが特殊な状況、という訳ではない。

 燃費が良くなり、ガソリンスタンドが減ったこともあって、給油の回数は減る傾向にあるが、燃料ポンプの冷却のためにもタンク半分以上をキープして、月に2回くらいは給油してガソリンの鮮度を保った方がエンジンには良さそうだ。

■結論/ レギュラー仕様にハイオクガソリンを入れるのは限定的だが効果はある

 結論として、レギュラーガソリン仕様のクルマにハイオクガソリンを給油することは、限定的ではあるが効果があると言える。

 トルクやレスポンスが向上し、乗り方を工夫すれば(加速が良くなった分、早く定速走行に移るなど)燃費も向上する。

 しかし、ハイオク仕様のクルマにレギュラーガソリンを給油するのは、メリットはない。

 クルマを大事にしたいオーナーは、レギュラー仕様であってもハイオクガソリンをしばらく試して、効果があるか体感してみることをお薦めする。

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