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不動の人気を誇るルノー「カングー」の対抗馬!細部までアイデアが詰まったシトロエンのMPV「ベルランゴ」

掲載 更新 17
不動の人気を誇るルノー「カングー」の対抗馬!細部までアイデアが詰まったシトロエンのMPV「ベルランゴ」

もとは商用車だったルノーの『カングー』が日本でも若者の間で根強い人気を誇っている。その牙城を崩すべく上陸したのが同じくフランスのシトロエン『ベルランゴ』。今回は2台の違いを徹底検証する。

 クルマを道具として使うライフスタイルは日本だけでなく、アメリカやヨーロッパにも存在する。

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 しかし、道具として果たす役割が地域によって異なることはあまり知られていない。例えば、日本だと部屋代わりとして使われることが多く、アメリカ的な使い方に近い。そのため、カラフルなBOX系のミニバンやSUVなど室内空間に広さや快適性が求められる。

 ところがドイツではアウトバーンを飛ばして長い距離を走る人が多いことから運転性能が重視され、セダンがベースのステーションワゴンが人気。またイタリアの場合、小型車が中心なので2BOXのハッチバックが主流だ。

 一方、フランスはというと、庶民の生活の道具として使われることが多いため、室内の広さ、実用性、経済性をバランスよく満たしてないと受け入れられない。また、フランスもドイツに負けないぐらい高速道路中心の交通事情なので、当然クルマには運動性能が求められる。それがたとえ大衆車であったとしてもフランス人はアクティブに走る。排気量や出力の低さは気にしない。

 そしてボディーも排気量に対して大きめで、1BOXやSUVのように着座位置は高くない。〈乗用車×ステーションワゴン×広い空間〉という形状が好まれた結果だ。日本の軽ハイトワゴンもこれにかなり影響を受けている。

 フレンチハイトワゴンは、1960年代にルノーが発売したのが最初で、当時は貨物用だった。それを乗用車として造り替えたのが1997年にデビューしたルノー『カングー』だ。このクルマがヒットしたことでヨーロッパではシトロエンやプジョーをはじめ、フィアットやVWも類似車を発売した。だが日本には2002年になってようやく上陸。現行モデルは2007年に登場した2代目で初代より大きくなり、室内も広くなった。

 一方のシトロエン『ベルランゴ』は1996年に商用車として登場。現行モデルは2018年のジュネーブショーで公開された3代目にあたる。今回、ルノー『カングー』の人気の高さ(※ユーザーの半分以上が30代)に注目し若年層のファン拡大を狙い、日本に投入された。ちなみに姉妹車のプジョー『リフター』もまもなく発売されるが、スタイリング以外はほぼ同じ。

 人気不動の『カングー』にどこまで迫れるか。フランス車のバトルが楽しみだ。

家族や仲間がひとつになれるクルマ

シトロエン『ベルランゴ』

Specification
■全長×全幅×全高:4405×1855×1840mm
■ホイールベース:2785mm
■車両重量:1590kg
■排気量:1498cc
■エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
■最高出力:130PS/3750rpm
■最大トルク:300Nm/1750rpm
■変速機:8速AT
■燃費:非公表
■車両本体価格:325万円
※「デビューエディション」

ボンネット上部にエンブレムとポジションランプを配し、その下にヘッドライトをレイアウト。これがシトロエンの新世代デザインの特徴。フロントとサイドの白枠デザインもユニークだ。

ボディーサイド下にある黒い部分はゴム製でエアダンプと名づけられており、歩行者保護の機能を備えている。これもシトロエンの新世代コンパクトカーの特徴。ボディーカラーは3色。

全幅は1855mm、全高は1840mmもあるので大きく見えるが、運転してみると取り回しはラク。運転席からの見切りも良好。リアゲートは跳ね上げ式だがウインドウ部分の開閉ができる。

エンジンルーム

横置きされたエンジンは1.5Lディーゼルターボ。2000回転から音が高まるが1500回転からのトルクは太い。燃費は12~18km/L程度。

運転席と各種装備

広くてフラットなインパネ。8インチモニターは標準装備。助手席前にも大きな収納を用意。助手席のエアバッグはルーフ部分から展開。

シートスペース

前席の着座位置は車体に対して低めだがウインドウが大きいので死角は少ない。後席の床面はフラットだが3つの座席はスライドしない。

ラゲージスペース

跳ね上げ式でゲートは大きく開く。床板はしっかりしており、中間位置で仕切ることができる。スペアタイヤはスペースセーバー。

【ココがポイント!】小物類はすべて天井に収納!位置が確認できるので便利

外板のエアダンプもユニークだが、インテリアはもっと斬新なデザインを採用。ルーフ内側の中央には前後に走る幅30cm程度のロングトレイが設けられており、バッグや小物類など置ける。

【ココがポイント!】後席を倒せば大容量スペースに!たくさん積めて使い勝手も◎

車体後部のスペースは広い。後席は均等に3分割された3人掛け。それぞれスライドダウンで前倒しでき、広いフラットスペースを作ることができる。荷室手前の天井部にも荷物入れがある。

細部までアイデアが詰まったワクワク感で『ベルランゴ』の勝ち

[運転性能]プジョー・シトロエングループの新世代プラットフォームを採用してハンドリング性能が向上。コーナーも楽しめる。18点

[居住性]広さだけでなくインテリアのデザインや収納スペースの造りもユニーク。リアゲートのウインドウの開閉も便利。18点

[装備の充実度]試乗車はデビューエディションだったため装備も充実していたが、車両価格も高め。ただこの価格で自動駐車機能付き。19点

[デザイン]最近のシトロエン車特有のユニークなデザインは好き嫌いが分かれるが、個性と実用性をしっかり両立している。18点

[爽快感]1.5Lディーゼルターボ+8速AT+新世代プラットフォームの組み合わせで、街中から高速道路までしなやかに走れる。18点

[評価点数]91点

文/石川真禧照 撮影/望月浩彦

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みんなのコメント

17件
  • カングーもそろそろフルモデルチェンジでしょ。
    それ次第かな。
  • リフターだと思っていたが、この雰囲気の出まくりには悩んでしまう。
    商売のイメージ作りに一役買ってもらうか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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