快適かつ安全に楽しめる欧州の名車たち
1990年代が、つい昨日のことのように思い出される方も多いだろう。今よりもずっとシンプルな時代だ。クルマも実に素晴らしかった。
【画像】今こそ買いたい90年代の名車【アルファ156、E39型5シリーズなどを写真で見る】 全100枚
当時のクルマの多くは、個性的で楽しいだけでなく、以前と比べて安全性も高まっていた。ABSやクランプルゾーン、パワーステアリング、エアコンなどが広く採用されたことで、誰にでも使いやすい道具になった。また、今日のような半導体ベースのデジタルな生命体ではなく、非常に修理しやすい「機械」でもある。
しかし、街中をぶらぶら歩いているとき、90年代の生き残りを何台見つけることができるだろうか?かつてわたし達の生活を支えたクルマは急速に姿を消し、今では一部の変わり者くらいしか所有していないようだ。
これは日本に限った話ではなく、欧州でも似たような状況にある。SMMT(英国自動車製造者販売者協会)の統計によると、2015年に廃車になったクルマの車齢の中央値は13.9年であった。事故による損失もあるだろうが、法定点検に通らなくなったことで買い替えが進むなど、まだまだ走行可能な個体もたくさん潰された。
レギュラーガソリンにエタノールを10%含んだ「E10」燃料の登場も大きく影響している。これに対応していない古いクルマ(主に2000年代以前に製造されたモデル)は、高価な無鉛ガソリンを購入するか、新しいクルマに買い替えるしかない。
もし、多少のコストはかけてもいいと思えるなら、どの90年代モデルを後世に残すべきだろうか?今回は欧州車をメインに振り返る。
ロータス・エリーゼ
ロータスの「軽量化」の原点に立ち返った、基本に忠実な高性能オープンカーの最高峰。コクピットに乗り込むときの感覚は、レーシングカーのそれに近い。それほど走りに焦点が当てられているのだ。
MG製1.8Lエンジンは、最高出力120psの平凡なパワートレインだが、エリーゼはそれだけのパワーで多くのことを成し遂げている。設計コンセプトがいかに優れていたかは、数え切れないほどの派生モデルが証明している。
ポルシェ・ボクスター
比較的手頃な価格のオープンカーだが、911のDNAを多く受け継いでいる。機械的なトラブルもよく知られている一方で、センセーショナルな外観と素晴らしい走りを備えた、妥協のないスポーツカーである。
本格的なスポーツカーを所有したいなら、ボクスターは最良の選択肢の1つと言えるだろう。初期は2.5Lエンジンで、後に2.7L、3.2LのボクスターSも用意されている。
プジョー106 GTi
欧州の小型車といえばフランス。106 GTiは、その中でもベストの1台。小さくて軽くてスポーツ意識が高い。「ラリー」は今となっては高値だが、「GTi」は比較的リーズナブルな価格帯のホットハッチだ。
「XSi」も検討に値する。このモデルは1996年に改良された。ハンドリング、ステアリング、ギアシフトが素晴らしく、グリップも十分で、フロントシートもそこそこ良い。
セアト・イビサGTI
スペインの自動車メーカー、セアトの名車。フォルクスワーゲン・ゴルフGTIがまだイマイチだった頃、より軽く、より速いポロベースのホットハッチが兄弟ブランドから生まれていた。
装備の充実した、ワイドボディのクプラ仕様もある。現在では絶滅寸前。欧州では過剰に改造されたものが多い。
ルノー・クリオ・ウィリアムズ
クリオ16Vに、パワーアップとF1チーム(ウィリアムズ)のバッジを与えたところ、大変意義のある特別なモデルが出来上がった。
オリジナルは390台作られた。同じ2台を買っても面白さは損なわれない。称賛に値する。
プジョー406ブレーク
406セダンは素晴らしい働き者だが、楽しむにはブレーク(ワゴン)が一番。この上なく快適で、乗り心地も最高だ。後部座席をたためば、広大なリアスペースも確保できる。1.9Lターボディーゼルは、非常にベーシックだが、優秀で信頼性の高いエンジンだ。
それ以外では、より現代的な2.0 HDiディーゼルが優れている。ラジエーターの腐食、ブレーキディスクの錆び、サスペンションブッシュの摩耗などに注意しよう。
フォード・モンデオ
モンデオは、20世紀最高のフォードだ。欧州では営業車としても使われ、高速道路を縦横無尽に駆け回り、素晴らしい活躍をした。そして、週末には大切な家族のために働いてくれた。
ほとんどの個体が壊れるまで走り続けた。ハンドリングは素晴らしく、1.8Lガソリンエンジンは経済的でありながら生き生きとしている。V6もなかなか楽しい。
シトロエン・エバシオン(シナジー)
ユーロバンとしても知られるミニバンで、フィアットとプジョーからも販売されていた。スライドドア、ディーゼルエンジン、そして8人まで乗れるスペースを備えている。オイル漏れやクラッチの不具合には注意が必要だ。
フォードKa
90年代らしい、内外装ともにファッショナブルでエッジの効いたスタイリングが特徴的だ。一番良かったのは、アングリア由来のエンジンとシャープなシャシー。そのため、運転するのはいつも楽しいものだった。小さくてもあなどれない、究極のセカンドカーと言える。
シトロエンAX
シンプルな良さが凝縮されたフェザー級の買い物グルマ。特に、25km/lの燃費を誇るディーゼルは素晴らしいエンジンだ。91年以降に改良されたモデルもある。インテリアは明るく、風通しが良い。しかし、ボディの錆びと電気系統は大敵だ。
ルノー・トゥインゴ
都市型コンパクトカーの原型とも言える初代トゥインゴ。小さくて、かわいくて、経済的で、とても馴染みやすい。1998年にマイナーチェンジ。8Vと16Vのエンジンがあるが、後者は正規輸入されていない。
BMW 5シリーズ
1996年は、BMWが完璧な高速サルーンを作り上げた年である。E39世代は5シリーズの中でも最高のモデルであり、さまざまなエンジンが搭載されていた。
質素なディーゼルと滑らかで強力なガソリンが用意された6気筒、さらに滑らかで筋肉質なV8もある。
アルファ・ロメオ156
素晴らしいエンジンを積んだ、美麗なイタリアン・サルーンがここにある。クライメートコントロールをはじめ、必要なものはすべて備えている。もちろん、問題がないわけではないが。
オイルポンプ、エアフローセンサー、セレスピードトランスミッションなど、さまざまな不具合との上手な付き合い方が求められる。それを克服すれば、日本車やドイツ車とは異なる、非常にスタイリッシュな個性を手に入れられる。
アウディA4
BMW 3シリーズに突然、強力なライバルが現れた。コンパクトなセダン、ワゴンタイプのアバント、そしてカブリオレを揃えたアウディA4である。製造品質の基準も、成層圏レベルに引き上げてしまった。
ディーゼルやV6、そして非常にハードコアなRS4など、さまざまなモデルが用意されていた。欧州では社用車としても愛され、企業の重役は誰もが欲しがった。
ホンダ・インテグラ・タイプR
かつて自動車メーカーは、軽い(1140kg)ことがとても重要だと知っていた。DC2はVTECを改良し、フロントガラスを薄くし、快適性を排除。欧州車ではないが、すべてをパフォーマンスのために捧げた90年代の名車だ。
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みんなのコメント
軽自動車よりお買い得
ボクスターは今まで抱いていたポルシェの概念を覆してくれたし、E39のしっとりとした走り心地は今では味わえないですね。