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ソーラーパネル搭載EV ライトイヤー0 試作車へ試乗 インホイール・モーターで624km

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ソーラーパネル搭載EV ライトイヤー0 試作車へ試乗 インホイール・モーターで624km

機能性重視のボディはCd値0.19

巨大な駆動用バッテリーを搭載したバッテリーEV(BEV)に、出力の低いソーラーパネルを搭載しても、あまり意味はなさそうに思える。だが、ライトイヤー社の考えは違う。

【画像】近未来感半端ナシ ライトイヤー0 デザインも見どころ 開発が進む新バッテリーEV 全109枚

同社は、オランダのアイントホーフェン工科大学で、ソーラーカー・チャレンジに取り組んだチームが設立したスタートアップ企業。10年間に及ぶ研究開発の集大成として生まれたのが、今回試乗した「0」と名付けられたBEVだ。

ただし、大手自動車メーカーのような量産は考えられておらず、964台のみの限定。1台21万5230ポンド(約3594万円)という、高額が予定されている。ちなみにこの生産台数は、1光年(ライトイヤー)の速さが、964兆kmであることに由来する。

0のスタイリングは、かなり目立つ。あまり褒め言葉ではないが、圧縮し引き伸ばしたトヨタ・プリウスのようにも見えるし、飛来した宇宙船のようにも見える。フォルムよりも機能性が重視されているため、明らかに既存モデルとは雰囲気が異なる。

エネルギー効率を追求し、空気抵抗を示すCd値は0.19と低い。リアタイヤはスパッツで覆われ、フロントグリルにはアクティブ・シャッターが付き、滑らかなボディの全長は5057mmと長い。すべては、空気をスムーズに受け流すため。

サイドミラーはなく、カメラがその機能を担う。ダッシュボードの両端に、モニターが付いている。ルーフの後端はソーラーパネルで覆われており、バックミラーもモニター式となる。

728枚のソーラーセルで最大1kWを発電

まだプロトタイプながら、製造品質はとても高い。内装は、ほぼ完成状態だという。インテリアデザインには、ポールスター2のように北欧の雰囲気が漂う。

ダッシュボードはクロスで覆われており、センターにインフォテインメント用、ドライバー正面にメーター用のモニターが据えられている。実装されるソフトウエアは未完成ということで、エネルギー消費に関する情報は数字のみが映し出されていた。

ルーフのソーラーパネルで得られる、電力量も確認できた。理想的な天気なら、728枚のソーラーセルが最大1kWの電気を発生させるという。試乗時は0.65kWまでだったが、正午に向けて、太陽の角度とともに増えていたのが印象的だった。

駆動用バッテリーの容量は60kWhで、基本的には一般的な充電器で電気を蓄える。ソーラーパネルは充電を補う機能に過ぎないが、有効なことは間違いないだろう。

ドライブフィールに関しては、まだ試作段階の範囲を超えていない。ステアリングホイールは重く扱いにくいし、ブレーキペダルの感触も正しいとは思えなかった。今回の最高速度は、99km/hに制限されていた。

それでも、すべての開発は順調だという。ライトイヤーの技術者は、スケジュール通りに仕上がる予定だと自信を見せる。

インホイール・モーターで航続距離は624km

少なくとも発進加速は、ほとんどのドライバーが不満を感じないほど活発。ローンチコントロールは備わらないが、効率を最大化することが目指されている。電費効率は9.3km/kWhだといい、現在のBEVとしてはずば抜けて優秀だ。

航続距離は、WLTP値で624kmが見込まれている。高速道路を110km/hで巡航すれば、560kmを走行可能だという。

筆者はこれまで多くの自動車メーカーの新モデルを試乗してきたが、BEVで高速道路での航続距離を教えてくれたのは、ライトイヤーが初めて。敬意を払いたいと思うし、それだけ自負もあるのだろう。

この電費効率を生んでいる理由は、ボディの他にもある。なかでも高効率な駆動用モーターは、スロバキアのTK社と共同開発されており、インホイール構造が採用されている。多くの既存のBEVのように、シャシー側ではない。

通常のブレーキディスクと並ぶカかたちで、幅の細いホイールの内側に組み込まれている。モーターは軽くなく、バネ下重量を37kg増やしてしまうそうだが、細身のタイヤとホイールである程度は相殺している。

トランスミッションやドライブシャフト、ディファレンシャル・ギアなどが不要になるため、クルマ全体では軽量化にも一役買っている。実際、0の車重は1575kgで、BEVとしては軽量といえる。

BEV化に向けた近未来へ新しい方向性

0で自動車メーカーとしての出発を果たしたライトイヤーだが、今後、順調に加速できるかどうかは不透明。1、2と順にモデルを開発していき、テスラのようになれるだろうか。2024年頃に英国へやって来るモデル3は、3万ポンド(約501万円)もしない。

人材確保に積極的で、開発にも意欲的だとはいえ、量産車を実際に販売するということは、想像以上に手間や費用を必要とする。BEVへ多額の投資額を集めることも、数年前より難しい条件だといえる。

少なくとも筆者は、ライトイヤーには勝ち残って欲しいと考えている。優れた技術力による可能性を、0で確かめることができた。

極めて効率に優れた設計によって、天気が良ければ1日に最大70km走れるだけの電気を、ソーラーパネルが生み出してくれる。BEV化に向けた近未来へ、新しい方向性を示してくれている。

若い技術者だからこそ創出できる、斬新なアイデアに期待したい。数年後にライトイヤーのクルマを市街地で見かけることができれば、より道路は面白いに違いない。

ライトイヤー0 プロトタイプ(欧州仕様)のスペック

英国価格:21万5230ポンド(約3594万円/予定)
全長:5057mm
全幅:1972mm
全高:1445mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:10.0秒
航続距離:624km
電費:9.3km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1575kg
パワートレイン:クワッド永久磁石ラジアルフラックス・モーター
バッテリー:60kWh
最高出力:190ps
最大トルク:175.1kg-m
ギアボックス:−

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みんなのコメント

8件
  • プリウスでもソーラールーフあったけど、換気の為だけとかだったもんなぁ。
    ルーフからリアウインドもソーラーにして、多少は充電出来るようにしたらええのに。
  • 9兆4600億km
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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