6月17~18日に静岡県の富士スピードウェイで開催されたファナテックGTワールドチャレンジ・アジア・パワード・バイAWSの2023年第2ラウンド。このGTワールドチャレンジ・アジアは、中国や香港、オーストラリアなどアジア近辺の国籍を持つチームが多く参戦するシリーズとなり、国内レースとは一味違った雰囲気を持っています。今回は『写真アラカルト番外編』として、初の海外シリーズレース取材を行った新人編集部員が感じた海外シリーズならではの雰囲気や様子を、写真を交えながらお伝えします。レース本戦とはあまり関係ない内容かもしれませんので、ごゆるりとお楽しみいただけると幸いです。
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現行マシンを抑えてコルベットC7 GT3-Rが優勝。笹原右京“監督”デビューウィンに華を添える
やってきました富士スピードウェイ。これまでスーパーGTや全日本スーパーフォーミュラ選手権、スーパー耐久富士24時間レースなどの国内カテゴリーでは何度か取材に来ておりますが、GTWCアジアは初めてです。まず金曜日に見られたのは恒例の集合写真撮影! 1台が参加できず39台での撮影となってしまったようですが、GT3とGT4車両がこれだけ揃うと、スーパーGTとは違った迫力がありますね。
続いては土曜日午前の予選終了後からパドックの光景をお届け。予選を終えてパルクフェルメ(車両保管)状態になったマシンたちが並べられています。もちろん予選直後ということもあり、スタッフの皆さんが作業をしているのでパイロン内に入ったりすることはできませんが、先ほどまで全開走行していたマシンを間近に見られるとあり、多くのファンの皆さんも足を止めて写真を撮影していました。個人的には、今回の富士ラウンドには今年のニュルブルクリンク24時間レースで総合優勝を飾ったフェラーリ 296 GT3が出場することもあり、かなり楽しみにしていたのですが、早くも土曜日午前中にこんな近くで見られてしまうとは、なんとも嬉しい誤算でした。
予選に続いて開催されたピットウォークでは、各チームがマシンをピットガレージ前に整列させて行われていました。驚いたのは、このピットウォークではマシンを囲むパーテーション(接触防止の仕切り)の設置がないことです。もちろん予選直後のパルクフェルメ状態ということもあってマシンに触れることはダメですが『触れなければどこでも写真を撮っていい』と言わんばかりに接近し放題。自分も、「こんなに近づいていいんですか!?」と聞きたくなってしまうほどのオープンさに『これが海外レースか』と感じました。
ピットウォークを終えてパドック裏に戻ってみると、予選で使用したタイヤのカスを落とすAMACモータースポーツのメカニックの姿がありました。自分はスーパー耐久シリーズに参戦するとあるチームに帯同させてもらったことがありますけど、そのチームにも“タイヤカスを落とす名人”がいたことを思い出しました。どのチームにもこうしてタイヤを繕うメカニックが居てくれるものなのです。
こちらにはホイールを洗っているハブオート・レーシングのメカニックの姿。通りかかったファンの皆さんも、慣れた手つきでどんどんと進む作業に思わず足を止めて眺めていました。この週末に何本ものホイールを洗うということを考えると、この回転式の台の活躍も侮れませんね。
トリプルエイトJMRのピット裏には移動用のバギーが準備されていました。しっかりとチームロゴとカーナンバーも入っていて、海外チームならでの雰囲気を醸し出しています。バギー後部にはおそらくダミーですが、ワイルドスピードなどでおなじみの方も多い“NOS(ニトロ)”を搭載しているという徹底っぷり(笑)。
GTワールドチャレンジ・アジアはタイ、日本、マレーシアを転戦するシリーズということもあり、各チームのピット裏には輸送用のコンテナがそのまま置かれていました。ただ、このコンテナたちはサーキットでのトランスポーター(トランポ)にもなるようで、部品やタイヤなどが収められているものに加えて、モニターや空調といった設備が整えられているチームもありました。さらに一部のチームは大きなコンテナにチームロゴやマシンが描かれた布を被していて、遠目から見るとまるでコンテナということを感じさせないセンスの良さが光ります。
パドックにはワンメイクタイヤを供給するピレリのタイヤサービスももちろん開設されています。ただ、タイヤサービスのテントがあることは国内レースでも当たり前の光景なのですが、GTWCアジア富士戦ではコンテナの上にピレリロゴが描かれた巨大なバルーンが設置されており、ひと目でこの場所がタイヤサービスだということが分かるようにされていました。
さらにパドックにはこんなクルマも。おそらくシリーズを主催するSROモータースポーツ・グループの移動車なのですが、日本戦用に入れられた『VIP専用』の文字に海外っぽさを感じてしまいました(笑)。
そしてこの週末のパドックでは、あまり見る機会のないであろうスーパーカーたちの展示も行われていました。
展示されているスーパーカーのなかでも一番の注目を集めていたのが黒と紫の2台のパガーニ・ウアイラ。近くにいた子どもが喜びながら覗き込んでいたので、ちゃっかりと横に並んでウアイラを覗き込みました。実は以前からパガーニのクルマを見てみたかったのですが、まさかこの場で見ることができるとは思わず、横に先輩編集部員がいるにも関わらず100枚以上の写真を撮影してしまいました。エクステリア、インテリア、マフラーすべてに見とれてしまいましたが、なかでも細いエアインテークグリルの幾何学模様に、花びらのように膨らみつつ後方で反り返るリヤセクションの形状にうっとりしてしまいました。
パガーニ・ウアイラに癒されている間に気づけばレースのスタートが近づき、ホームストレートにマシンが整列を開始していた。このGTWCアジアには、各メーカーのワークスドライバーが参戦することがあり、今回の富士ラウンドにはメルセデスワークスドライバーたちの姿を見ることができた。先述のフェラーリ296 GT3に続いて、ニュルブルクリンク24時間レース優勝者やDTMドイツ・ツーリングカー選手権チャンピオンなど、錚々たるドライバーを実際に目にすることができたので、驚きと感激が入り交じりながらグリッドを歩きました。一部をご紹介すると、こちらは2021年DTMドイツ・ツーリングカー選手権王者のマキシミリアン・ゲーツ。
さらにレース2のポールポジションを獲得し、DTMや海外GT3レースを見ているファンならおなじみの存在と言えるメルセデスワークスドライバーのダニエル・ジュンカデラの姿も。
そしてこちらは、2019年のIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ王者であり、ポルシェ育成ドライバーのデニス・オルセン。
■グリッドにはレースクイーンに加え、あの前澤友作氏の姿も。やはり時代はTikTokなのか!?
このグリッドウォークにも各チームのパーテーションなどはなく、マシンに近づいて写真を撮影することも可能です。こちらはマクラーレン720S GT3のコックピット。
クライマックス・レーシングの3号車メルセデスAMG GT3のリヤには“初心者マーク”が貼り付けられていました。
グリッドには、今回の富士ラウンドがデビューレースとなったマエザワ・レーシングのチームオーナー兼総監督を務める前澤友作氏の姿もありました。マエザワ・レーシングは第3戦で10位入賞、第4戦は15位完走を果たし、まずまずといった初戦になったのではないでしょうか。
日曜日の第4戦前にグリッドを歩いていると、なにやら多くのドライバーたちが1コーナー方向に急ぎめに歩いていく姿を発見しました。後を付いていくと、レース直前ですがドライバー全員の集合写真撮影をこのタイミングで行うようなので、横からパシャリ。
その集合写真撮影は、ドライバーが集まると、海外カメラマンが「ハイそこに並んで! じゃあ撮るよ!」といった感じでほんの数分で終了(早っ!)し、嵐のように過ぎ去っていきました。その後はピレリのスタッフが記念撮影を行っており、SROモータースポーツ・グループ・アジアを率いるベンジャミン・フラナソビッキ(左)とともに写真を撮影していました。ちなみにこのフラナソビッキ、その見た目とは裏腹にとても親切な人で、日本メディアにも優しく接してくれたうえ、初めて挨拶をした際にはフラナソビッキから名刺を取り出すというビジネスマンっぷりも垣間見えました。
さらにグリッドウォークでは、日本ならではと言える和太鼓パフォーマンスも行われていました。海外チームの人たちからは大きな歓声も上がっていて『これが日本だぞ』と、太鼓を叩いていない自分も誇らしくなってしまったのは内緒にしておきたいです。
そしてレースといえば忘れてはいけないのがレースクイーンの皆さん。高勢ゆなさん、葵成美さん、南真琴さんの3名がレースクイーンを務めるマエザワ・レーシングは、フェラーリ488 GT3のカラーリングとコスチュームが『祭』をイメージしているということです。和の雰囲気がいいですねぇ~。
こちらはジ・スピリット・オブ・FFFレーシングのレースクイーンを努めた藤井マリーさん。レーシングスーツのインナーのようなコスチュームで、首元に“MARY”の文字が入っています。
ABSSAモータースポーツのレースクイーンはさかいゆりやさん。こちらは王道のレースクイーンコスチュームといったところでしょうか。
こちらはD'stationフレッシュエンジェルズの林紗久羅さん、前田星奈さん、木村楓さん。ピットガレージに戻ったときにふと撮影した1枚ですが、こちらに気づくとすぐに横を向いて笑顔を見せてくれました。さすがプロフェッショナルです。
お姉さんと言えば、カメラマンさんの写真を見ていて気になったのがこの一枚。スーパーGTファンならおなじみの“BMWStudieのオネーサン”なのですが、今回は何やら長い棒のカメラでいろいろと撮影をしている様子でした。
後日改めてオネーサンのTikTokを見てみると、カッコよく編集された動画がアップロードされていました。そういえばビンゴ・レーシングのコルベットC7 GT3-RのカラーリングもTikTokアーティストとのコラボということで、そろそろ編集部員もTikTokを学ばないといけないなと感じた次第です。 @team_studie ♬ Tokyo Drift
話は変わって、普段の国内レース取材時にはあまり行くことのできない(行きたいけどいろいろと忙しく……)グランドスタンド裏にも足を運んでみました。パドックからのトンネルを出ると広がっていたのは『MZDAO CAMP 2023』というイベント会場。勉強不足の編集部員は最初何のイベントか分からなかったのですが、どうやら前澤友作(MZ)さんと一緒に、みんなで会社や事業(DAO)を作るためのオンラインコミュニティのようで、今回が記念すべき初のオフラインイベント開催ということです。
ステージの横には“名刺交換エリア”なるものも用意されており、この場所でメンバー同士が名刺を交換し合うことができるようです。ちなみに撮影禁止だったので写真は掲載できませんが、ステージを見ているときにちょうどイベントが始まり、芸人の小島よしおさんが登壇。サーキットで人生初の生『そんなの関係ねぇ』と生『おっぱっぴー』を見ることができました(笑)。
そんなこんなでレースが終了したワケなのですが、モータースポーツメディアなのでマシンのことにも一応触れておこうと思います。編集部員がおしゃれに感じたのは、ポルシェ911 GT3Rのデイライト色がチームとマシンによって変えられていたことです。海外レースならではこだわりポイントに感じますね。
こちらはレース終了後のパルクフェルメ。このときもマシンは基本的にピットガレージの前に出されますし、富士大会では海外戦のようにファンの皆さんが表彰式の下にも入ることができたので、直前までレースを戦った車両を間近で見ることができていました。
やはり海外シリーズ戦は日本人メカニックの気分も高まるようで(違う?)レース終了後にカメラを受けると笑顔でサムズアップしてくれました。
今大会は日本戦のみで争われる『ジャパンカップ』の初戦とあって、多くの日本チームが参戦しており、エントリー台数はシリーズ最多タイの40台を記録しました。レースは2戦とも大接戦のバトルが繰り広げられ、スーパーGTにも負けない迫力を感じました。初の海外レースシリーズ取材となった新人編集部員は、パドックやピットウォークで見ることのできたマシンとの距離や、海外チームの機材や設備に驚きながら、国内レースとは異なるGTWCアジアを存分に楽しみました。次回があるかどうかは分かりませんが、これからもモータースポーツの魅力を届けていきたいと思います!
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