ボルボ初EV C40リチャージ
2030年までに、全ての新車をEV化すると表明したボルボが、初めてのEV車ボルボC40リチャージの国内発売開始を昨年11月18日に発表した。
【画像】635kmのテスト走行 すべての写真をみる【詳細】 全25枚
既にこのクルマの詳細なインプレッションや解析については、本国、英国のAUTOCAR編集部のロードテストで行っており、それを日本でも公開しているので、ここでは、実際に日本国内の現在の充電環境においての使用レポートを中心に報告をしたい。
まずは、試乗を行ったC40リチャージ・ツインの仕様を紹介しよう。
外観の写真からもわかるように、クーペスタイルのSUVで、ボディサイズは全長:4440×全幅:1875×全高:1595mmで、XC40とほぼ同等のサイズである。
ところが、クーペでリア部分が傾斜していることと、フロントグリルが無いので、かなりイメ―ジは異なり、全体にスタイリッシュな印象だ。
EV化のため大きく異なるのは車重で、嵩張るバッテリーを搭載しているため2160kgにもなり、通常のXC40よりも500kgあまりも重い。
しかし、前後に2基搭載されたモーターの出力は300kW(408PS)、67.3kg-m(660Nm)、定格出力は160kWと強力であり、この重量増をカバーして余りある。
バッテリー容量は78kwhでこのクラスとしては大きい。因みに理論上の一充電走行距離は485kmとうたわれているので、電費は6.22km/kWhという事になる。
車両本体価格は719万円であり、試乗車はメタリック・ペイントとドライブレコーダーをオプションで装着していたので、その価格8万9650円が加わり、総計736万4650円(税込み)となる。
この価格はコンパクトSUVとしてはかなり高額で、あえてこのクルマを購入しようとするには、それなりの動機付けが必要だと思う。
無論、これに国の補助金65万円が支給され、追加で各自治体の補助金もあるので、実際はかなりディスカウントされるが、それぞれの自治体により数値は異なっている。
試乗車の塗色は、いかにも北欧らしいフィヨルドブルー・メタリックであり、これに組み合わせられる内装はチャコール・グレーで、ダッシュ部分は、夜間の光で木目調の茶色が浮き出てくる仕掛けになっている。
また、最近のお決まりで、シートの素材はレザーフリー、カーペットも再生材を使用している。
635km 1回の急速 4回の普通充電
さて、C40リチャージ・ツインが編集部にやってきたのは、連休前の4月28日の事である。この日から2週間にわたり、日常の足として使用をしてみた。
走行距離の合計は635kmとなり、この間1回の急速充電と4回の普通充電を行っている。
スペック表には普通充電でAC200V、11kWまで対応、急速充電で150kWまで対応可能と書いてあるが、カタログなどで推奨する自宅の充電装置は3kWと6kWしかなく、また、急速充電も50kWが一般的で、150kWの充電器は現状の日本では無いに等しいから、現実はカタログよりもずっと厳しいと思われた。
5月4日までは、都内を少し走っただけであったが、ドアを開けて乗り込んだだけでオンとなり、シフトをDかRにすれば、すぐに走り出せるキーレスシステムは、慣れるととても便利だ。
クーペボディのため、ルームミラーの視認性は良くないが、その分、ドアミラーとコンソールのバードアイ・ビューが有効で、狭いところの駐車などは、非常に楽である。
操舵力の軽いステアリングは、路面のフィードバックがやや少ないが、取り回しに苦はない。
5月4日に初めての充電を行ってみた。この時の走行距離は54km、バッテリー残量73%であったが、自宅にあるポルシェ・タイカンのために設置した8kWの充電器をセットしてみると、全く問題なく充電可能で、3時間32分で充電完了となった。この時の走行可能距離は380kmであった。
カタログ上の走行可能距離は485kmなので、かなり少ない。実際、ダッシュに表示される100kmあたりの消費電力も23-25kwhであるから、スペック表に出ている高速道路での平均20.5kWhよりも多く、エアコンなどの消費電力はかなり負担になっている訳だ。
このC40リチャージ・ツインは、都内或いは近郊で、毎日40-50km程度を繰り返し使用するには、ストレスもなく操作もシンプルで、EVの新しい世界を実現できていると思う。
インフラ整備をするべきだと思う
5月5日には、川崎の自宅から仕事場のある甲府に向かう。
多摩丘陵界隈の中速域では、都内とはやや異なった印象が感じられた。古い舗装で、整備が行き届いていない路面では、路面の段差や凹凸を全て拾うサスペンションの渋さが気になった。
ストロークが少ないのか動き自体がボディとマッチしていないのかわからないが、とにかく突っ張ったようで吸収されない。
それゆえ、高速道路でも、姿勢を作りづらいので、コーナーに入りにくく普段のスピードで走る気になれない。
最近まで所有していたレンジローバー・イヴォークなら、何の抵抗もなく入っていったコーナーに神経を使うのはつらいものである。
残念ながら、都内の低速域の印象とは大きく異なった感触となってしまった。また、回生ブレーキの選択は、オン/オフの2つしかなく、切り替えも、画面を探し出すのが面倒で辛い。
ワンペダルは慣れれば便利だが、複数台を乗っている人にはお勧めできない。せめて、もう一段階欲しいと思う。
甲府に到着した時には、オドメーターは3447km、従って113kmを走行したことになる。バッテリーの電力残量は66%であった。
甲府の常磐ホテルには、3kWの充電器が2基、ポルシェの8kWが2基用意されている。これは現在、国内の普通充電器では、最強の組み合わせであろう。
まず、3kWでセットしてみると満充電まで9時間30分かかると表示された。その後、すぐに8kWに変えると、4時間30分という結果がでた。
計算上も、このクルマの78kwhのバッテリーを3kWでゼロから満充電するには、26時間かかり、それを8kWなら9.75時間で済む訳で、この事実だけでも如何にインフラの強化が必要かをお分かりいただけると思う。
現在、ボルボやメルセデス・ベンツの推奨する6kWでも13時間かかるのだから、まだ足りないと思う。
初期の日産リーフの時代ならともかく、高性能なEVを作るのなら、国に頼るだけでなく、ポルシェのように、メーカーとしても連携してインフラ整備をするべきだと思う。
試しに地方の、或るボルボのディ―ラーに問い合わせをしてみたところ、3kWの普通充電器と50kWの急速充電器は装備されていたが、EV先進メーカーを謡うのなら、せめて、ディーラーに6kWの普通充電器と90-150kWの急速充電器はほしいものだ。
ワインディングでは強烈なパワー
5月6日には甲府から川崎の自宅へ移動。この時は、川崎で充電をせず、8日の帰りに中央道の談合坂サービスエリアで急速充電を行ってみた。
この時のオドメーターは3620km。従って173kmを走行して、残電力は47%であった。
談合坂の急速充電器は恐らく50kWのはずであったが、データを見ると、出力電圧398-407V、出力電流85Aと記述されていたから、35kWなのかもしれない。
事実、30分の終了後は、17.5kwh充電されたことを示していて、車輌の残量は67%まで回復していた。
しかし、これが150kWであれば、ゆとりで満充電になるはずで、将来、全国のサービスエリアに150kWの充電器が配置されるようになれば、本当のEVの時代が来るのだろうと思う。
なぜなら、現在、もし仮にこのボルボで1日に600km(東京~神戸程度)を走るとすれば、恐らく3回充電しなければならず、その度に30分以上の充電時間のロスを考えると苦痛である。
しかし、150kWの急速充電器で80%の充電が可能なら、1回の充電で更に遠くまでゆくことができるであろう。
5月11日には、甲府の仕事の合間を縫って、ワインディングに出かけた。ここで一番驚いたのは強烈なパワーで、アクセルを踏み込んだ途端、猛烈な加速が体を襲ってくる。
しかし、サスペンションはそれに追随する動きをしてくれないので、コーナーではかなり気を遣ってしまう。
確かにパワーは有り余るほどあるが、はたしてこのボルボに必要なのか、いつこのパワーを使うのか、疑問が湧いてきた。
本来、ボルボは、際立って優れてはいないものの、あらゆる点で平均点より上で、しかも安全第一であり、安心して乗ることのできるブランドではないかと思う。
そう考えると、このC40リチャージは、意欲は買うものの、まだEVとしての「ボルボらしさ」という意味でのバランスは取れていないように思う。
おそらく、今後、更に改良を重ね、より優れたEVに仕上がってゆくはずで、このことは何の心配もいらないが、やはり、インフラを早くどうにかしなければと思う。
偶々、現在、私の環境はとても恵まれているが、これが当たり前にならないとEVの普及は無いだろう。
さて、5月12日には、普通の3kWの充電器で充電をしてみる。バッテリー残は72%から充電を開始して、満充電まで7時間34分掛かったが、夜間なので、何の問題もない。この時のオドメーターは3765kmであった。
そして5月13日の最終日は甲府から川崎まで走り、自宅のガレージで8kWの充電を行った。
この時のオドメーターは3915kmを指しており、トータル635kmの試乗は終わりとなった。
ボルボC40リチャージ・ツインは、デザインも優れ、取り回しも楽で、EVの良さを前面に押し出したクルマだと思う。
もう少し、中高速域の走りを煮詰めれば、パワーに見合った更に良いEVとなるのは間違いない。
残された問題は充電インフラである。
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みんなのコメント
安全性も多方面から考えられていて安心感ありますね
インフラが整えば乗りたいSUVです
このボディカラーはフィヨルドブルーと言うそうで、落ち着いた色なのに街中ではかなり鮮やかな印象がある存在感がある色でした。
自宅に充電機器があれば、走りもよく安全で最高の相棒になりそうです。
ただ、デザインはXC40の方が好みだから少し待ちます。