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見た目と相場のギャップが意外と面白い! 200万円の初代MIRAIで年収1500万円を装う? 年収偽装計画16選

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見た目と相場のギャップが意外と面白い! 200万円の初代MIRAIで年収1500万円を装う? 年収偽装計画16選

「貧乏人に見られるよりは、金持ちに見られたい」「他人からナメられたくない」。人の心はそれぞれであるため、そのようなことをまったく思わない人もいるだろう。それはそれで、もちろん構わない。

 だが一部には必ず(思いの強度はそれぞれだとしても)そのようなことを思う人間はいる。なぜならば、それは人間という社会的な生き物が『後天的に獲得した本能』に近いものであるからだ。

見た目と相場のギャップが意外と面白い! 200万円の初代MIRAIで年収1500万円を装う? 年収偽装計画16選

 で、周囲に「あいつ、けっこうカネ持ってるな……」と思わせることができる、てっとり早い方法のひとつは「高いクルマ」に乗ることだ。極端な話としては、数億円のブガッティに乗っている人間は、どこからどう見ても金持ちにしか見えない。

 だが……、普通に考えてブガッティを買うことなどできない。いや、たとえブガッティでなく、それが「ベンツのGクラス」であったとしても、実際に入手するのはなかなか難しい。

 ならばどうすればいいか。答えは極めてカンタンで、「高そうに見える、実はそんなに高くない中古車」を買えばいいのだ。

 カーマニアは中古車の相場にも詳しいため、マニアからはすぐに見破られるだろう。だが、中古車相場にも詳しいカーマニアなど、全日本人の5%ぐらいしかいないので(筆者独自調査)、まったく問題はないのだ。

 さぁ、今すぐ「高そうに見える、実はそんなに高くない中古車」を買い、己の年収を『偽装』しようじゃないか!

※本稿は2021年12月のものです
文/伊達軍曹、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年1月10日号

■まずは偽装の方向性を決める

「クルマで年収を偽装する」としても、ただやみくもに行っても成功は難しい。大きくわけると2種類ある「偽装の方向性」をまずは知り、そのどちらが自分の嗜好やライフスタイルに合うかをまずは検討しなければならないのだ。

 さらに、どちらの方向性を選ぶにせよ、「細かい詰めの作業」もきっちり行わないことには、単なる物笑いのタネで終わる可能性が高い。というわけで、まずはお勉強だ。

●認知差型

比較的安価な997型ポルシェ911前期型も、大多数の人からすれば「超高級スポーツカー」に見えるのだ

 車両価格に対するカーマニアの『センサー』は非常に発達しているため、例えば2世代前のBMW・X5あたりを見ても「金持ちが乗ってるプレミアムSUV」などとは感じない。

 「中古車屋に行けば安く買えるドイツ車」くらいにしか思わないものだ。そして偽装を行おうとする本人もカーマニアである場合が多いため、2世代前のX5で年収を偽装することなど「不可能でしょ?」と考えがちだ。

 だがそこが盲点なのだ。

 カーマニアは、先々代BMW・X5の中古車が総額100万円くらいから買えることを知っているが、世の中の9割がたの人はそんな事実を知らず、「ビーエムの大きなSUV=たぶん高いんだろうな」くらいの認知しかしていない。この「認知の差」を上手に使えば、クルマによる年収偽装など比較的カンタンに遂行できるものだ。

 とはいえ車種選択に細心の注意を払う必要はあり、内外装コンディションや洗車の頻度などにも気を遣わないと、認知差型の年収偽装計画はあっけなく失敗する。そのあたりの詳細については次ページ以降で詳述する。

●地主型

都内のお屋敷街を散歩していると「豪邸+カローラ」という組み合わせは意外と多く目にする

 年収偽装というと「とにかく高そうに見えるクルマを買えばいいんでしょ?」と思いがちだが、その真逆の「高そうに見えないクルマをあえて選ぶ」というやり方もある。それが「地主型」と呼ばれる手法だ。

 地主さんというのはフロー型ではなくストック型のお金持ちであるため、基本的には「倹約の精神」が発達しており、むやみに華美な洋服やクルマなどを買って散財しまくることはない。

 また強盗被害などに遭わないようにするため、あえて地味めな服を着て、地味めなクルマ(でも乗るといいクルマ)を、長年の付き合いがあるディーラーの完全おまかせで整備してもらいながら長く乗る─という生活様式を採用している場合が多いのだ。

 そんな地主系のライフスタイルを参考にするというか装うことで、「あいつ、もしかして大地主の4代目か何かか?」と錯覚させるのが、地主型年収偽装である。

 この場合も車種選択や内外装コンディション、洗車の頻度は重要なポイントであることは変わりなく、さらには「服装」も、念入りに偽装する必要がある。

■「認知差型」で年収1500万円超を装う

●トヨタ MIRAI(初代)…見た目年収:1800万円/実際の中古車相場:180万円~

トヨタ MIRAI(初代)。巷では2代目MIRAIが登場しているわけだが、年収偽装的には初代の中古車で充分。周囲の人に「あの人、水素のなんか凄いやつに乗ってるな」というイメージが伝われば、それでいいのだ。もちろん、初代MIRAIは乗り味にも高級感と重厚感があるいいクルマだが

 では認知差型(人々が「思う価格」と「実際の価格」の差で勝負するタイプ)の具体例を見ていこう。

 きわめて破壊力が強いと思われるのが初代トヨタ・MIRAIだ。初代MIRAIは新車価格700万円超の高額車だったわけだが、もちろんそんなことを知ってるのはカーマニアだけで、一般の人は価格など知らないはず。だが「水素のなんか凄いやつ」という認知は確実にしている。

 しかし実際の初代MIRAI中古車は、走行1万km台のものでも総額180万円くらいからなのだ。認知差型としては最高の一台である。ただ、「自宅近くに水素ステーションがないと維持がキツい」というのがネックではある。

 トヨタ・アルファードの現行前期型やレクサス・SCなども格安で買える中古車だが、世の一般層からすれば「高そうなクルマ」なので、細かい心配はしなくていい。

 だがそれ以上に素晴らしいのはマツダ・アテンザワゴンの後期型だろうか。形もオーラもほぼ現行マツダ6ワゴンと同じで少々セレブ風味だが、アテンザ名義であるがゆえに、中古車相場は150万円から。そのオーラからすれば激安と言っていいだろう。

●ポルシェ 911(996型)…見た目年収:2000万円/実際の中古車相場:240万円~

ポルシェ 911(996型)。写真のカレラ4Sは400万円以上が相場だが、前期型カレラであれば約240万円が底値で、状態のよい個体でも300万円台前半から見つけることが可能。マニア観点では「激安ポルシェ」だが、一般目線では「ほぼスーパーカー」だ!

 輸入車では、やはり996型のポルシェ・911こそが最強だろうか。

 カーマニアの間ではそもそも人気薄で、さらにインターミディエイトシャフトの不具合などで中古車相場は壊滅的になっているが、素人衆には996型も現行992型も区別なんてつかない─というのは言い過ぎとしても、まぁ我々マニアが思っているほどには区別がついていない。

 だから激安996型でも「ポルシェ! 凄い!」ということになるのだ。インターミディエイトシャフトの問題にしても、サービスキャンペーンによる対策整備済みの個体を買えばいいだけの話である。ビバ、ポルシェ!

 996型911と同世代の初代ポルシェ・ボクスターも、キレイにさえしておけば一般層からは「お金持ちのスポーツカー」に見え、先代BMW・X5や先々代メルセデス・ベンツのSクラスも悪くない選択だ。

 だが、より破壊力が強いのは現行型のアウディ・A4だろうか。欧州Dセグのバリバリ現行モデルでありながら、中古車は150万円くらいから探せる。

 カーマニアは「でも2018年12月のマイナーチェンジが!」などと細かいことを言うが、普通の人はそんなところなどいっさい見ないしわからないものなので、気にする必要はまったくない。

■「地主型」で資産10億円超を装う

●トヨタ セルシオ(3代目)…見た目保有資産:12億円?/実際の中古車相場:30万円~

トヨタ セルシオ(3代目)。カスタムされた個体だとまったく地主に見えないが、ドノーマルのキレイな個体であれば「世田谷の深沢あたりにかなりの土地を持ってる人」に見える。くれぐれもノーマルで!

 地主型の具体例にまいろう。ただ、地味めなクルマが主体となる地主型の場合は、そのまま乗っていては「単に地味で古いクルマに乗ってるおっさん」に見えてしまうおそれも。そのため、地主型で勝負をかける場合は「衣服あるいは持ち物に、1点だけ高級ブランドを混ぜる」というテクニックも必要になる。

 1点だけ高級ブランドの品を混ぜることで、初めて「古いクルマを大事に乗り続けている地主」に見えるのだ。

 さて、そのようなテクを使ったうえで最終型のトヨタ・セルシオを中古で購入し、キレイなドノーマル車を安全運転していれば、あなたはもうどこからどう見ても地主だ。同じ最終型セルシオでも、派手なホイール+ネガティブキャンバーを付けている場合と比べ、見た目上の保有資産額は1000倍ほどにはなる。

 これと同様の効果は歴代のクラウンでも得ることができ、「鎌倉ベンツ」と言われたプログレでも「湘南あたりの大地主の4代目かな?」と錯覚させることができるはずだ。

●日産 シルフィ(絶版)…見た目保有資産:100億円?/実際の中古車相場:40万円~

日産 シルフィ(絶版)。筆者のフィールド調査によれば、道幅が狭いからか、東京・世田谷あたりの大地主さんはこの手のセダンに乗っているケースが多い。ボディカラーも淡い地味なものが大半

 さらなる超高等テクとしては、日産シルフィなどの「地味な5ナンバーセダンにあえて乗る」という作戦もある。

 が、これは本当に難しく、一歩でも間違うと「ただの地味な人」にしか見えないため、己の偽装力に自信がある人以外には、お薦めしない。

 また、このガソリン価格高騰時代に、あえてユーノスコスモを乗り回し、「コスモのガス代を払えるとはタダ者じゃねえ」とカーマニアをもビビらせる高等テクもあるが、自分の財布も確実に傷つける諸刃の剣ではある。

 まぁユーノスコスモはさておき「さすがにもう少し派手めなクルマのほうが好き」という場合は、ランクル100系や先代のベンツCクラス(地主さんはセダンが好きなのでワゴンではなくセダン推奨)あたりがいいだろう。

 また先代フォルクスワーゲン・パサート(セダン推奨)も、いかにも「物のわかった地主さん」が長く乗っていそうな、偽装に最適なセダンだ。

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