ドア開閉音は「上質さのバロメーター」
一般的に高級車や輸入車のドアは重く、閉まる音も重厚感があるのに対し、日本の大衆車のドアは比較的薄く、閉まる音も軽い、といった評価も聞かれます。確かに昔の軽自動車などでは、ドアを閉めるときに「バタンッ」という、重厚な感じがしない音がするものもありました。
しかし現在、自動車メーカーはドアの開閉音にも気を配っています。ホンダは、「いいクルマはドアの閉まる音が違う、といわれているように、その音は上質さのバロメーターでもあるでしょう」といい、たとえば軽自動車「N-ONE」について報道用資料で、「ドアの開閉音まで上質感を追求するなど、細部まで気を配りました」と紹介しています。
「数値では表せないものの、軽自動車でも、ドアの音はお客様の満足度にかかわるポイントのひとつです」とホンダは話します。
もちろん、こうした傾向は軽自動車以外でも同様です。マツダでは、人間が感じる「快」「不快」をそれぞれ分析するなかで、心地よいドア開閉音についても追求を重ねているそうです。
「重いからいい音がするわけではない」ドア開閉音の工夫
ただホンダもマツダも、「ドアの開閉音を改善するために、特段何かをしたわけではない」と口を揃えます。
ホンダは、「ドアの構造に起因する走行中の共振音をなくしたり、車内の気密性を高めたりすることで、ドアの開閉音も変わってきます」と話します。「N-ONE」や「N-BOX」などでは、車内の静粛性を高めるためボディの各部に防音材を配置しており、それらがトータルでドア開閉音にも影響しているとのこと。マツダも同様のことを指摘し、次のように話します。
「耳に届く音は、物体が直に発するものだけでなく、クルマの各部へ反射して聞こえているものも多いです。たとえば『CX-5』では天井の内張りに吸音材を挿入したり、ドア開閉時に車室内の空気を外へ逃がすリアバンパー裏の『エキストラクター』と呼ばれる弁を改良したりして、それらがドア開閉音の静粛性向上にも寄与しています」(マツダ)
近年、衝突安全基準が厳しくなるなどして、日本車のドアも昔より重くなっているそうですが、「重ければ開閉音が良くなるというわけでもありませんし、燃費や走行性を考えれば、なるべく軽量化したほうがよいわけです」とマツダは話します。それらのバランスを満たしつつ、適度な力で開けられ、かつ心地よい開閉音がするドアを追求しているそうです。
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