この@DIMEでは、今、大注目の国産新型SUV、ホンダZR-Vの試乗記として、ハイブリッドのe:HEV 4WD、およびFF、ガソリンターボの4WDを紹介してきた。そして最後の1台となったのが、ZR-VガソリンターボFF Xグレードである。価格は294万9100円と、ZR-Vとしてもっともリーズナブルなモデルであり、e:HEV Xが329万8900円だから、ハイブリッドとガソリンターボの価格差は約35万円ということになる。
Xグレードでもチープさは感じられない
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Zグレードの下に位置するXグレードは、いわゆるエントリーグレードながら、そもそもZR-Vそのものが、CR-Vに代わるホンダSUVの上級モデルであり、装備類などがいきなりチープになるわけでは決してない。先進運転支援機能のホンダセンシングが全グレードに標準装備されるほか、電子パーキングブレーキ&オートブレーキホールド機能、そしてXグレードでもフルLEDヘッドライト、ヒルディセントコントロール、ヒルスタートアシスト、ドライブモ―ド、パワーテールゲート、シートヒーター(4WDのみ)などまで備わり、このZR-V FF Zグレードでも、11.4インチのホンダコネクトナビのオプション(約31万円)が装着された状態では、欧州プレミアムSUVに迫る内外装、文句なしの使い勝手の良さが手に入るのである。
さて、ZR-Vでもっともリーズナブルな価格となる1.5LガソリンターボFF、Xグレードの走行性能と言えば(タイヤは全グレード225/55R18)、ズバリ、シリーズでもっとも軽快感があり、動力性能(178ps、24.5kg-m)にも余裕があるグレードだった。その印象の最大の理由は、車重である。ガソリンターボFF XグレードはZR-Vの中でもっとも軽い1460kg。e:HEV FF Xグレードが1560kg、ガソリンターボ4WD Xグレード1520kgと、それぞれ100kg、60kgも軽いのである。
スポーティと言っても過言ではない軽やかな走り
ZR-Vの乗り心地に関して説明すれば、4WDは車重が効いたしっとり系、FFはスポーティで硬めのタッチを示すのが基本だが、このガソリンターボFF Xグレードはとにかく出足、アクセルペダルを踏んだ瞬間にエンジンが気持ち良くレスポンスし、ガソリンターボならではのトルクが沸き上がり、実に軽快、今、乗っているのがミッドサイズSUVとはとても思えない、ベース車両のシビックを思わせる、スポーティと言っても過言ではない軽やかな走り、ドライブフィールを味わせてくれるのだからびっくり。
もちろん、カーブ、山道の安定感は文句なく、重心感をほとんど感じないままカーブ、クネクネした山道をスポーティに駆け抜けることが可能。クルマの基本性能は車重に大きく影響される・・・という言葉を思い出させてくれたのである。
で、乗り心地はどうかと言えば、e:HEVモデル同様、FFのほうが硬めに感じられる傾向は、このZR-VガソリンターボFFでも変わらない。が、しかし、おそらくZR-Vの中でもっともスポーティに感じられる走りっぷりから、それがむしろスポーティにテイストと受け入れることができ、スポーティなクルマを望むドライバーにとっては好印象にもつながるのである。
車体が軽いということは実燃費性能でも有利に働く(ガソリンターボとして)のは当然だが、ホンダのエコモード=ECONモードで走っても動力性能に不満なく走れるあたりにも、その効果が表れている。
もし、ミッドサイズSUVにホンダ車らしいスポーティな走りを望みたいというなら、ガソリンターボの選択は正しく、また、もっともリーズナブルな価格で手に入るFF Xグレードの存在も、なかなかということになる。
もちろん、売れ筋はハイブリッドのe:HEVモデルのはずだが、ここはe:HEVとガソリンターボの両車を乗り比べて(できればFFと4WDも乗り比べたい)、好みにあうパワーユニット、駆動方式を探り、自身にとって最良のZR-Vを選択してほしいところ。e:HEV、ガソリンターボ、それぞれの4WD、FFのすべてを試乗した筆者なら、両極端ながら、最上級のe:HEV 4WD Zグレードと、このガソリンターボFF Xグレードで悩むかもしれない。
ホンダZR-V
文・写真/青山尚暉
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