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こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】広さの追求から解き放たれた個性際立つ上質ミニカー[スバルR2]

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こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】広さの追求から解き放たれた個性際立つ上質ミニカー[スバルR2]

 これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。

 当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、スモールモデルでありながら上質さとデザインの自由度を追求した、スバルR2を取り上げる。

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】広さの追求から解き放たれた個性際立つ上質ミニカー[スバルR2]

文/フォッケウルフ、写真/スバル

■デザインとパッケージングで新しいミニカーのカタチを提案

 2003年12月、「アールツー」というシンプルで響きのいい記号的な名称を冠した軽自動車がスバルから発売された。

 「R2」は、小さいながらも個性的で美しいデザイン、合理的なパッケージング、優れた燃費性能と衝突安全性能、使いやすくキビキビとした走りを特徴としていることに加え、1969年に発売された名車「R-2」の名前を再び採用したことで、脈々と受け継がれているスバルのモノづくりへの想いを込めたモデルとして注目を集めた。

2003年の第37回東京モーターショーに参考出品され、同年10月に発売された。同社のR1より1年以上早くデビューしている

 当時の軽自動車は、現在のようにファミリーユースに適したスーパーハイト系がまだ主流になっておらず、車両価格が安く、維持費が抑えられることが主な購入動機とされ、小さくて取りまわしがよくて経済的な、日常のアシとして重宝されていた。

 R2もエントリーモデルの価格を86万円(デビュー当時)に設定し、軽自動車らしい経済性をアピールしつつ、既存の軽自動車とは違う作りが随所になされたことで「新しいミニカーのカタチ」を提案していた。

 見どころは多岐にわたるが、やはり個性的な内外装デザインはR2の特徴をクローズアップするうえではずせない。デザインを手掛けたのはかつてアルファロメオに在籍していた経歴を持つアンドレアス・ザパティナスである。

 イタリア人デザイナーの美的感覚、さらに「広さの追求」から解き放たれたデザインは、軽自動車クラスのトレンドにとらわれないもので、箱型のフォルムによってスペース効率を追求したスズキ・ワゴンRやダイハツ・ムーヴといったハイトワゴンとは明らかに異なっていた。

 ボディサイズは軽自動車規格の範疇だが、シンプルなワンモーションフォルムを基本に、張りのあるボディサイドやグッと張り出したフェンダーを盛り込むことでメリハリのあるスタイルとしている。フロントにはスバル車の象徴である「六連星」のエンブレムをあしらったスプレッドウィンググリルを装着。航空機メーカーを起源とするスバルらしさを表現している。



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■独自性と質感を徹底して追求

スバル車の象徴である「六連星」のエンブレムをあしらったスプレッドウィンググリルが特徴

 見た目は既存の軽自動車とは一線を画すものだが、内装はさらにクラスの常識を超越する作りがなされていた。広さこそハイトワゴンに及ばないものの、運転席まわりの立体的な造形で絶妙な奥行きが表現されており、細部の作り込みも軽自動車とは到底思えないクオリティの高さが感じられる。

 ダッシュパネルやドアトリム、各種スイッチといった手が触れる部分については、当時のスバルがラインアップしていた車種からの流用したものはなく、樹脂のひとつひとつをR2のために新設計されるという凝りようだ。

 車両価格を安く設定してユーザーに買い得感を提供することを第一とするべく、コストにひときわ厳しい軽自動車では稀なことと言っていい。

 質感を高める一方で、小物を収納するスペースは他車に比べて少なく、荷室についても後席が50対50の分割可倒式としているだけで、スペースを確保するためのアイディアはほとんど見ることができない。

 しかし、ボディカラーとコーディネイトされた2タイプのインテリアカラーが用意されていたり、他車では見ることができない完璧なオリジナリティを表現した作り込みは、オーナーの所有満足感を大いに刺激する要素と言っていい。

フロントフードからリアルーフへと伸びやかに流れる特徴的なルエットや、張りのあるボディ面形状によって小さいながらもスポーティでエレガントなフォルムを実現している

■4気筒ならではのスムースかつパワフルな特性

2005年11月の一部改良でスプレッドウィンググリルが消滅した

 全車に4気筒エンジンを搭載しているのもR2のトピックだ。新開発となる自然吸気DOHCエンジンをはじめ、エントリーグレードには自然吸気のSOHCエンジンをラインアップ。さらに上級グレードには、エンジン本体が軽量化されたスーパーチャージャー付きエンジンも用意された。

 トランスミッションは、ダイレクトでキビキビとした運転感覚と、滑らかな変速感を実現するi-CVTが組み合わされた。スーパーチャージャー付きエンジンにはマニュアルモードを備えた7速スポーツシフト機能が備わり、さらに自然吸気エンジン車を搭載する一部グレードでは5速MTも選択できた。

 スーパーチャージャー付きエンジンは、4気筒ならではのスムースさと、過給器によるパワフルな特性を持ち味としながら18.8km/Lの燃費を達成。主力となるDOHCエンジンなら、電子制御スロットルや可変バルブタイミング機構のAVCS(アクティブバルブコントロールシステム)の採用によって、24.0km/Lというクラストップレベルの性能を発揮するなど、走りのよさと軽自動車に必須となる経済性についても高い水準の能力を有していた。

 サスペンションはフロントにマクファーソンストラット式、リアがストラット式の4輪独立懸架とした。サスペンション形式はプレオと同様だが、フロントロアアームやリアラテラルリンクを延長するといった改良によって、安定性と快適性の向上が図られている。これにより、高い剛性感がもたらす安心感としなやかな走りを実現し、上質なミニカーに相応しい走りが味わえた。

運転席まわりは明るい色使いを基本としながら、手が触れる部分の質感にこだわった作り込みがなされている

 当時の軽乗用車が重視していた「広さの追求」から解き放たれ、個性的なスタイリングを特徴としたR2は、軽自動車クラスで新たな魅力を提案した。スポーティ&エレガントなスタイルだけでなく優れた安全性や環境性能、走行性能など、スバル車ならではのパフォーマンスを実現していたことも高く評価され、2005年のRJCカーオブザイヤー特別賞ベスト軽乗用車賞を受賞した。

 2003年10月に発売され、2010年までに約13万台が生産されたR2。数を売る必要がある軽自動車としては決して多くない数字だが、スペース効率こそが正義という軽自動車クラスのトレンドに抗ったスバルのチャレンジは、軽自動車クラスに一石を投じたことは間違いない。

【画像ギャラリー】クラスのトレンドに抗って記録より記憶に残る名車となったR2の写真をもっと見る!(10枚)

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みんなのコメント

12件
  • DMP81Z_DW7
    よくこんなクルマ、といわれるようなクルマではなかったと思いますけどね。
    たまたまハイト系、スライドドア車が流行ってきつつあったのと、スペース優先ではなかったから売れ行きが芳しくなかっただけなのでは。
    軽唯一の4気筒でCVTとの相性も良く、スペシャルティ的な外観で良かったと思いますけど。
    私はR1に乗っていましたが、いいクルマでしたよ。
  • van********
    別にそこまで尖がった車でもなかったよ。
    スプレッドウィングスグリルの評判が悪かったけど、後期型にはもう当たり障りのないグリルに変更してて信念ねーなって思った記憶が。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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