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最新のプジョー 308に乗りながら、いにしえの「300シリーズ」を振りかえる【プジョー今昔ストーリー/その1】

掲載 更新 5
最新のプジョー 308に乗りながら、いにしえの「300シリーズ」を振りかえる【プジョー今昔ストーリー/その1】

「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。連載第1回となる今回は、プジョー 308から歴代の「300シリーズ」を振りかえってみよう。(タイトル写真上は現行型308、下は306)

最新型の日本デビューは間近だが、熟成を極めた現行308
プジョーの現行ラインナップの中で、308は最古参になる。すでに本国で新型が発表されたものの欧州での販売開始は2021年秋なので、まずは現行型を再確認しておこう。最古参とはいえ、EMP2プラットフォームは現行の3008や508などにも採用されている最新のものだし、プジョーの中核的モデルとして、今も実力的に申し分ないという印象だ。

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筆者は今までに、3気筒モデル(シエロ)で1000km、GTi by プジョースポールで1500kmと、計2500kmは走っているので、自分の中では308は、それなりに付き合ってきたクルマだ。

発売された当初は、外観デザインがそれまでの初代308からがらりと変わって、オーソドックスになったことにまず興味津々だったが、そのほか軽量さが際立つEMP2プラットフォームの採用、小径ハンドルを中心に構成されるi-コクピット、3気筒エンジンの採用などが目新しかった。

走りは、最新のシャシなのでしっかりしている。もちろん、グレードやタイヤによってしなやかさは変わるが、とくに308SWなどはソフトな乗り心地が目立って、いかにもプジョーらしい印象がある。SWでない通常の308は、当初はやや硬さがある感じも受けていたのだが、最新のモデルに乗ってみると、まさに熟成したしなやかさで、同時に乗った他の最新プジョー車と比べても良好に思えた。

そんな熟成された308に乗りながら、かつてはモデルチェンジのたびに車名が変わっていった「300シリーズ」を思い起こしていた。そう、プジョーの車名は末尾の数字を、300シリーズなら、301→302→303とモデルチェンジごとに増やしていた。だが2012年に、末尾が8のままモデルチェンジをする方針に切り替えられた。したがって現行の308は2代目になる。

ライバルのゴルフより歴史の古い300シリーズ
300シリーズは、フォルクスワーゲン ゴルフのライバルにあたり、現行308はスタイリングもゴルフのようなスタンダード感のある2BOX ハッチバックだ。ただ、ゴルフは1974年の初代モデルから2BOX ボディを現在まで連綿と進化させ続けているが、プジョーの300シリーズは時代によって姿かたちを変えてきている点が興味深い。

実は300シリーズの歴史はゴルフよりずっと古く、1930年代の301までさかのぼる。もっとも第2次大戦を挟んで長く中断し、戦後は1969年の304で再スタートしている。

304は、3BOXのセダンだった。当時はこのクラスでもそれが一般的で、むしろ戦後の新しいスタイルだった。ただ同国のルノーやシトロエンが早くから2BOXやファストバックを採用していたこともあり、「フランス車としては保守的」と説明されがちだった。とはいえプジョーは、堅実で思慮深いクルマづくりをするメーカーとして名を馳せていたので、「保守的」というのも、むしろ褒め言葉だったといえる。

そもそも、304はエンジンを横置した前輪駆動方式を採用しており、この点は先進的だった。304は、クラスのひとつ下の204をベースとしていて、204が出たのは1965年のこと。4気筒横置エンジンFFをBMCミニが初採用したのは1959年で、プジョーは世界を変えたその設計スタイルを、メジャーブランドとして世界で2番目に採用したのである。

ピニンファリーナから離れてデザインが変わる
次の305は304の発展型で、2BOX ハッチバックを採用したのは1993年登場の306からだ。306は、スタイルの良さが目立った。戦後のプジョーはピニンファリーナとのコラボレーションが通例で、306はカブリオレ以外は自社デザインともいわれる。しかし、イタリア工房の影響がないとはちょっと思いにくいくらい、歴代300シリーズとして抜群のスマートさが魅力だった。

その次の307でまた、デザインの流儀がガラリと変わった。この頃からインハウスでのデザインへと切り替わり、そこで影響力を発揮したのがデザイン部門のボス、ジェラール・ヴェルテールだ。彼は205開発のときから手腕を発揮していたが、ピニンファリーナとの契約が終了したことで、彼の趣向性が今まで以上に出たようだ。ヴェルテールはモータースポーツ界でも名の知れた情熱家で、自らチームを率いてル・マン24時間耐久レースで長年活躍していた。そのスポーツ志向が、プジョー デザインにも反映されたように思えてならない。

307はスラントノーズとなり、そのノーズは後期型でより長く伸び、さらにモデルチェンジした2007年の初代308では、いっそうとんがったものになった。この308は307の基本的ボディ構造を継承していたので、ノーズだけが極端に伸びたように見え、それはそれで精悍で、間違いなく印象的だったのだが、いささかアンバランスに見えたのも事実。やはりスポーティさを表現したかったのだろう。

そこから現行308でデザインが一転したのは、偉大なボスの引退が背景にあるといってよさそうである。(文:武田 隆)

[ アルバム : プジョー 308と300シリーズ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

5件
  • 306のデザインが1番好きだな。
  • どこのどんな記事やレビューを見ても308の2011モデルは存在すらしなかったかのように取り上げられませんね。
    デザインもトランスミッションも変わって初代308とは別物なんだけど、そんな事を知ってる人ほとんどいない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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