水素自動車とは何なのか
ここ数年のバッテリーEVの台頭により、水素自動車は市場の片隅に追いやられている。
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比較的最近まで、英国では2台の水素モデルが新車として販売されていた。水素燃料電池車は徐々に台頭してきており、将来的には、一部の用途で現実的な選択肢となる可能性がある。
しかし、水素自動車とは実際にどのようなもので、ガソリン車、ディーゼル車、EVと比べてどのような位置づけにあるのだろうか? 今回は水素自動車の長所と短所、そして将来の展望を含め、水素自動車について知っておきたいことをまとめた。
水素燃料電池車(FCEV)について
水素燃料電池車とは何か?
水素自動車、または水素燃料電池車(しばしばFCEV、FCVなどと略される)は、水素で走るクルマだ。700気圧のタンクに貯蔵された水素から電気を生成し、小型バッテリーに蓄え、その電気の力で車輪を動かす。
多くの人々が水素を「未来の燃料」として宣伝しているが、実は水素自動車は何十年も前から存在していた。メルセデス・ベンツは1998年、初の公道走行可能なFCEV として、AクラスをベースにしたNecarを開発した。
水素燃料電池車の仕組み
燃料電池スタックを使って酸素と水素を反応させて発電し、そのエネルギーを電気モーターに送る。つまり、EVと同じように走ることができる。
マフラーから有害なガスを出さないため、少なくともドライバーの視点からは、ガソリン車やディーゼル車よりもはるかにクリーンな乗り物と言える。
水素はどうやって補給するのか?
水素自動車は、水素ステーションで水素を充填することができる。水素ステーションは、通常のガソリン車やディーゼル車の給油所とよく似ている。
水素の充填は簡単で、フューエル・フィラー・キャップ(給油口)を開けてノズルを差し込むだけだ。通常、満タンにするには5分ほどかかる。
最も難しいのは、水素ステーションを見つけることだ。英国を例に挙げると、一般のドライバーが利用できる水素ステーションは英国内にわずか6か所しかない(UK H2 Mobility調べ)。
今後、英国では政府支援も得て水素ステーションが徐々に増えていく見込みだ。新興企業のエレメント2は、2024年内に4か所のステーションをオープンし、さらなるポンプ増設を目指している。
水素自動車の最新の情勢は?
水素自動車の世界ではさまざまなことが起きており、現在は韓国のヒョンデがペースを握っている。
同社は最近、ネッソFCEVの後継車を予告するイニシウム(Initium)というコンセプトカーを公開した。現行型ネッソより強力な最高出力204psの電気モーターを1基搭載し、航続距離650kmを目標としている。
イニシウム・コンセプトは、来年夏までに量産モデルが発表される予定だ。しかし、ネッソの販売に苦戦している(英国では5年間で合計50台程度)ことを考えると、どれだけの市場に導入されるかは不明だ。
トヨタ・ミライ
英国では比較的最近まで2台の水素自動車が新車として販売されており、一部の自動車メーカーもまた将来の製品計画に水素自動車を盛り込んでいる。
トヨタ・ミライは2015年に初登場し、2021年に第2世代に移行するまでに1万台の世界販売を達成した。最新のミライは、5.6kgの水素を貯蔵できる燃料スタックを装備し、WLTP航続距離は最長640kmである。
第1世代よりも重量が増し、サイズも大きくなったにもかかわらず、0-100km/h加速にかかる時間はわずか8.7秒、0-160km/h加速は25.5秒とされている。これは、最高出力182ps、最大トルク30.5kg-mを発生するパワートレインのおかげだ。
しかし、2021年に発売されたミライは決して安くはなかった。英国向けの価格は6万4995ポンド(約1270万円)で、現在トヨタから直接注文することはできない。
ヒョンデ・ネッソ
ヒョンデは1990年代から燃料電池技術を開発しており、ネッソは同社初の量産水素自動車である。
英国価格はミライとほぼ同じ6万5995ポンド(約1290万円)で、パワートレインは最高出力163psと最大トルク40.2kg-mを発生する。0-100km加速は9.6秒。
ネッソは最大6.33kgの水素を貯蔵でき、1.56kWhのバッテリーに電力を供給する。航続距離は約610km。AUTOCARの英国記者が試乗したところ、その安定したドライビング・ダイナミクスと洗練された走行性能に感銘を受けた。
現在、英国の道路を走っているネッソは30台未満で、ミライと同様、現在は注文できない。
BMW iX5ハイドロジェン
BMWは水素技術を軸にトヨタとパートナーシップを結び、2030年までに何らかの形でiX5ハイドロジェンを市場投入する計画だ。
パワートレインは最高出力400psと最大トルク72.4kg-mを発生し、トヨタやヒョンデよりもはるかに強力だ。航続距離は約500km。
AUTOCARがプロトタイプに試乗したところ、快適で性能が高く、ほとんど量産モデルに近い状態であることがわかった。iX5ハイドロジェンは、BMWが水素の世界に参入する道を確実に開いている。
水素自動車のメリット/デメリット
水素自動車の長所
水素自動車に乗る最大のメリットの1つは、マフラーから水以外の排出ガスをゼロにできることだ。つまり、ガソリン車やディーゼル車よりもずっと環境負荷が低いということであり、厳しい排出ガス規制が導入されている都市部では特に歓迎されるだろう。
水素自動車はバッテリーEVよりも大幅に速く水素補給ができる。水素は地球上で最も豊富な元素でもある。
他のパワートレインよりも「燃費」が良いと考える人もいる。水素自動車は、水素に含まれるエネルギーの40~60%を使用でき、燃料消費を50%削減できる。1回の水素補給で約640km走行することも珍しくない。
また、EVとは異なり、水素自動車の航続距離は外気温の影響を受けない。
水素自動車の短所
水素自動車はドライバー視点では高効率で環境に優しいが、いくつかの欠点もある。
マフラーからの排出ガスはゼロかもしれないが、産業規模で水素を製造するには大きな環境上の課題がある。
大規模に水素を製造するには、かなりの量の化石燃料が必要だ。タイヤメーカー大手のピレリによると、水素1kgあたり10kgものCO2が発生するという。
再生可能エネルギーを利用した製造方法もあるが、現在のところ非常に高価である。例えば、デンマークは風力発電で、アイスランドは地熱発電で水素を製造している。
また、水素自動車は構造が複雑なために購入コストが高く、水素ステーションの数が少ないことも大きなデメリットとなっている。
水素自動車の未来
現在のところ、水素自動車は一般に広く普及するには至っていない。水素ステーションの数が少なすぎるし、水素自体もまだ商業的・環境的に大量生産が可能とは言えないからだ。
しかし、英国のように水素自動車の導入加速を目的とした投資を行う国もあるため、今後数年のうちに水素技術に力を入れる自動車メーカーが増えるかもしれない。
水素自動車の推進を望んでいる企業の1つが、英国のウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング社で、2023年にFCEV用のプラットフォームを発表した。このプラットフォームは「最先端」の水素燃料電池システムと水冷バッテリーを備え、最高出力585psを発生できるという。
他にもアルピーヌは、アルペングローと呼ばれる先鋭的なV6水素エンジン車の量産化の可能性を示唆している。これは内燃機関技術と水素を組み合わせたものだ。
しかし、一般消費者にとっては、インフラと水素製造方法がもっと現実的なものになるまで、(少なくとも)英国における自動車の未来はEVのままであるように思われる。
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みんなのコメント
車体のタンクも燃料ステーションのタンクも寿命が短いし高い