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【角田裕毅F1分析】“感情のコントロール”が鍵を握った前半戦。落ち着いた走りがコミュニケーションの改善と戦略に繋がる

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【角田裕毅F1分析】“感情のコントロール”が鍵を握った前半戦。落ち着いた走りがコミュニケーションの改善と戦略に繋がる

 2024年シーズン前半戦を終えた段階での決勝レースでの入賞7回、獲得ポイント22点は4年目の角田裕毅(RB)にとって、いずれもキャリアハイとなる成績である。

 今シーズン、角田が過去3年を上回る活躍を披露できている要因となっているのが、感情のコントロールだ。昨年までの角田は、走行中に何かあると無線で担当のレースエンジニアに感情を抑えることなく、叫んでいた。昨年までチーム代表を務めていたフランツ・トストも角田の無線をキャラクターの一部として黙認し、角田も感情を吐き出すことで気分転換になると、改めることはしなかった。

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 昨年限りでトストがチームを勇退し、ローラン・メキースが新たなチーム代表となった今年、角田に転機が訪れる。開幕戦バーレーンGPのレースでチームメイトのダニエル・リカルドとポジションを入れ替えるようチームオーダーを指示された角田は、無線で叫びながらポジションを譲ると、チェッカーフラッグを受けた後にチームメイトを強引に追い抜いた。

 レース後、角田は自分がとった行動を大いに反省。感情をコントロールする第一歩として、第2戦サウジアラビアGPから無線でのコミュニケーションを真剣に見直すことにした。そうすることで、感情をコントロールできただけでなく、エンジニアとのコミュニケーションが安定し、より多くの情報をピットと共有できるという副産物も得た。

 こうして迎えた4月の日本GPで、角田は予選でQ3に進出するとともに、レースでも10位に入賞した。日本人ドライバーが母国グランプリで入賞するのは2012年の小林可夢偉以来、12年ぶりのことだった。角田も「母国グランプリでの初めての入賞だったので、とてもうれしかったし、一番思い出に残っています」と、前半戦のベストレースに日本GPを挙げている。

 この感情のコントロールの変化によって、角田とエンジニアとの距離は1戦ごとに縮まり、第13戦ハンガリーGPでは、本人も驚く1ストップ作戦を成功させた。

 真夏のハンガロリンクはタイヤに厳しく、角田以外のドライバーは2回以上ピットインしてタイヤを交換しながらチェッカーフラッグを目指した。だが、角田はレースエンジニアからのコーナーごとにどれくらいタイヤが滑っているかの情報を聞きながら、自分でタイヤをマネージメントしつつ、ペースを落とすことなく、2ストップ勢を逆転することに成功した。

「レース中、エンジニアたちとうまくコミュニケーションを取って、1ストップをやり遂げることができ、自信につながりました」

 その走りは4年目とは思えないほど、落ち着いていた。

 ただし、反省すべき点もある。それは肝心なところで、ミスしてしまうことだ。たとえば、入賞圏内を走行しながら、自らスピンを喫して無得点に終わったカナダGPだ。1ストップ作戦を成功させたハンガリーGPも予選でクラッシュしていなければ、もう少し上位でフィニッシュできただろうし、パワーユニットにダメージを与えることもなかった。

 さらに言えば、このふたつのミスがなければ、もしかしたら、夏休み後にセルジオ・ペレスに代わってレッドブルへ移籍していたかもしれない。

 2025年にレッドブルに移籍したいのであれば、後半戦はこうしたミスを絶対に繰り返してはならない。さらにチームメイトのリカルドに対して9勝5敗という予選での対戦成績と、22点対12点というポイント争いでも、後半戦は逆転を許してはならない。

 プレッシャーがかかるなかでも、いかに感情をコントロールして、ミスなく、最高のパフォーマンスを披露できるのか。トップチームのシートを狙うには、これまで以上の質の高い走りが要求されるだろう。

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