日産の軽バッテリーEV「サクラ」が絶好調だ。2022年5月20日に発表、6月16日より発売開始となったサクラは、発表から3週間で1万1000台を受注、2ヵ月目で2万2000台を突破。
驚いたことに、8月の軽自動車販売台数では、同社の軽トールワゴン「デイズ」を抜く販売台数を記録している。使う人によっては、使い勝手の面でわずらわしさも考えられるバッテリーEVのサクラが、これほど売れている理由とは!??
10月で補助金終了か? 軽×EV相性抜群!!「日産サクラ」が大ヒットしてる理由とは
文/吉川賢一
写真/NISSAN、佐藤正勝、平野 学
2022年8月度は月販3523台を達成したサクラ
販売台数でベース車のデイズを上回り、売れ行きが好調なサクラ
全軽自協(全国軽自動車協会連合会)によると、サクラ(目標台数は未公表)の販売台数は、発売当月である2022年6月が1675台、7月が3319台。そして8月には3523台を記録し、初めてTOP10にランクインした。
これは、日産の軽自動車の中では、ルークス(6位、4926台)に次ぐ2番手であり、デイズ(14位、2203台)よりも売れていることになる。サクラの姉妹車である三菱「eKクロスEV」(目標台数850台)も、6月426台、7月552台、8月597台と、順調な滑り出しだ。
某日産ディーラーによると、自治体からの補助金が手厚い東京都や、神奈川県の県西部で多く売れている傾向にあるという。気になる納期については、9月中旬時点にオーダーをすると、納車は2023年5月ごろとのこと(状況により前後する可能性あり)。現在は、6月の発売開始直後にオーダーを入れた購入者への納車が始まったところだという。また、政府補助金(追加補正予算含む)の状況や、納車日程を確認する問い合わせが、毎日のようにあるそうだ。
たしかに、55万円(2022年度の予算枠)にもなる政府補助金があれば、通常の軽自動車よりも安く購入できる大きなメリットがあり、バッテリーEV前提のカーライフに順応できる方であれば、絶好のチャンスに違いない。とはいえ、「航続距離が足りない」と長年たたかれ続けた日産としては、リーフの半分にも満たない航続距離のサクラが、これほどにヒットするとは考えていなかったのではないだろうか。
サクラの購入者は勉強熱心な方が多い
ガソリン車の軽とは比べものにならない走りの良さや、(走行時は)ゼロエミッション、ボディサイズが小さくて小回り性能に優れる、湾曲した一枚板の上にレイアウトされているツインモニターがカッコよい、バッテリーEVにしては安い、など魅力の多いサクラではあるが、バッテリーEVは、使い方によっては不便な部分も多く、ここまで売れているとなると、「バッテリーEVだけど大丈夫か!??」と他人事ながら心配になる。
「いい面だけをみて、安易に購入していることはないのか」と、前出の日産ディーラーへ取材したが、そんな心配は無用のようだった。サクラの航続距離は180km(カタログ値)だが、実質は0.7掛けの130km程度。お客様へはそうした実情を案内したうえで、購入されるかの意思を確認するそうだが、ディーラーに訪れる多くの方は、バッテリーEVについて事前に下調べをしているので、航続距離を聞いて購入を諦める方はほとんどいないそう。
通勤の足にと購入した方は、毎日往復20km未満なので問題ない、とし、主に週末の買い物にのみクルマを使うような方は長距離移動をしても100km未満だから大丈夫、というように、ご自身の使い方をよく考えているという。
また充電についても、家庭用充電設備だけでなく、V to H(Vehicle to Home)についても調査済みで、なかには説明すら不要、という方もいるとのことで、ディーラー営業担当も驚いているそう。購入者は、バッテリーEV導入によるライフスタイルの変化を事前に想定したうえで、軽バッテリーEVの力強い走りやデザインを最終確認しにサクラを見に来ているため、あとは補助金前提での価格次第で、即決する方が多いとのこと。
もちろんセカンドカーとしての需要が高いが、ファーストカーとして迎える方も意外と多く、経済性についてシビアな購入者が多いそうだ。
ただし、2022年度の政府補助金は10月半ばで終了となる見込みだ。新車登録から1カ月以内に申請を出すことで補助金が得られるため、タイミングが重要となる。目下ディーラーでは、お客様と相談の上、追加補正予算のタイミングに合わせて、未登録のまま「待機」するような調整も検討しているという。次の補正予算がいつから用意され、いつまでもちそうなのか、そして、次年度の補助金がどの程度の金額になるのか、販売の現場では、目下、悩んでいるそうだ。
次は「キューブ」でバッテリーEVを!!
2019年に生産終了となった「キューブ」。バッテリーEVでの復活に期待したい
目下、絶好調のサクラだが、取材したディーラーの店舗には展示車が一台もなかった。売れ筋のクルマならば1台は展示されていてもおかしくないはずだが、担当者へ確認すると、展示車でいいから即販売してほしいという要望が入るそうで、展示車に回すほどの余裕がないらしい。サクラの展示車は、近隣の大きめの店舗に一台しかないそうで、実車を見たい場合には他の店舗を案内したり、場合によっては、社員が乗っている私用車を見せることもしているそうだ。
数年前まで苦しんでいた国内日産販売店だが、ここ数年でノートやオーラ、アリア、サクラ、そしてエクストレイルと、一気に元気をとり戻しつつあるようだ。
個人的には、ここでかつての「キューブ」のようなBセグメントサイズのバッテリーEVを税込300万円未満で登場させ、バッテリーEV攻勢をかけてほしいと思うが、次の日産の新型車は、2023年の登場が予定されているミドルサイズミニバンの「セレナ」だ。
不遇の時代に国内日産の販売を支えてくれていたセレナの次期型を、日産はどのような姿に仕上げているのか。大いに期待して待ちたいと思う。
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みんなのコメント
補助金催促の記事書くな
基本補助金は予算内でするもの
特にむしろ一部の高所得者の趣味的要素の多い物に
しかも200万円台の物に55万円以上の補助金なんてあり得ない
国民を馬鹿にしてる
当初予算内でやめるのが筋という物だ