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【試乗】新型トヨタ・アクアG 先代との大きな違い 浮かぶトヨタの想い

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【試乗】新型トヨタ・アクアG 先代との大きな違い 浮かぶトヨタの想い

「なんだか違う。けっこう違う」

あれ? なんだか違う。けっこう違う。

【画像】真っ赤なアクア 内外装はモデルチェンジでどう変化?【ディテール】 全60枚

フルモデルチェンジした「アクア」に触れてまず感じたのは、パッケージングの変化だ。具体的にいえば、後席居住性である。

トヨタ・アクアの初代デビューは2011年12月。だから歴史としてはわずか10年しかないのだが、にもかかわらず知名度が抜群な理由がそのキャラクターにあるのは間違いない。

当時はまだハイブリッドカーが今ほど一般的ではなかったのだが、そのなかで「ハイブリッド専用のコンパクトカーで燃費は世界トップ。なのに価格は手が届きやすい」という立ち位置が多くの人に共感されたということだ。

デビュー翌年となる2012年の日本国内販売台数ランキング(軽自動車を除く乗用車)は2位、その後2013年から3年間は1位に君臨するなど、瞬く間に人気モデルへ。

世界規模でみると190万台弱がオーナーの手に渡っている。

そんなアクアだが、初代はいわば「燃費スペシャル」なクルマ作りだった。

世界最高の燃費を目標とし、そこへ向けた開発のために犠牲となった部分もいくつか存在。

その1つが後席居住性だ。高速燃費を向上させるために空力抵抗を徹底的に抑えるパッケージングとしたことで車体後方の天井が低くなり、後席が狭かったのだ。

後席居住性は後に登場した同じメカニズムを積むコンパクトカー「ヴイッツ」のハイブリッドモデルに劣っていた。

しかし新型アクアの後席は、そんな先代を受け継いだものではなかった。

大きく変わった新型アクアの足元

足元も頭上も広くなり、同じプラットフォームやパワートレインを使うコンパクトカーでヴィッツの後継車である「ヤリス」のハイブリッドモデルよりも居住性がいいのだ。

先代は「アクアよりもヴィッツのほうが後席は快適」だったのが、現行世代では「後席が快適なのはヤリスよりもアクア」と立場が入れ替わってしまった。

ただし、日産ノートやホンダ・フィットの領域までは届いていない。

アクアを見る目はどうしてもヤリス・ハイブリッドとの違いという視点になってしまうが、運転環境も結構違う。

一般的なフロア設置シフトセレクトレバー&サイドレバー式パーキングブレーキのヤリスに対し、アクアはインパネに置いた電気式シフトセレクター&足踏み式パーキングブレーキと、より今どきなのだ。

ACCが渋滞停止保持機能付きだったり、パーキングアシストは駐車位置さえ指定すればシフト操作から停止までクルマがすべておこなってくれる(これは正確性とスピーディさ、そしてドライバーの操作がまったく必要ない全自動ぶりと3つの驚きがある)など先進的な運転アシスト機能もヤリスより高機能。

コンパクトカーながら技術水準が高いのだ。

ハイブリッドシステムはシステムの概念こそTHSIIを継承するが、「ダイナミックフォース」と呼ぶ新型エンジンをはじめとする構成ユニットは新設計。

「B」グレードを除き走行用バッテリーは「バイポーラ型ニッケル水素」という世界初のタイプを組み合わせている。

ドライバビリティ、進化が明らか

そんなパワートレインは、まずドライバビリティ面での進化が明らかだ。

従来型はどこまでいっても燃費重視で、そのためドライバーのアクセル操作に対して反応が鈍いという印象を拭えなかった。

しかしそこに関して新型は激変。

アクセルを踏むとリニアにクルマが反応し、ドライバーの意図したとおりの加速がこなせるだけでなく、音やエンジン回転とのリニアな関係といった加速感がよくなり加速が爽快になった。

進化幅は大きい。

同時に感じたのは、エンジンを止めたまま走る「モーター走行範囲」の拡大だ。

従来型はモーターだけで発進したあと比較的早いタイミングでエンジンが始動したが、新型では50km/h付近までエンジンがかからないこともあってとにかくモーターが粘る印象。

100km/hを超えるような高速走行時でも、アクセルを離した際や一定速で走る状況ではエンジンが止まることもるが、これは従来型では生じなかった。

こういった部分も高速燃費の向上に効いていることを実感する。

ただ、バイポーラ型バッテリーによるフィーリングの違いは、正直なところ体感するのは難しい。

「アクセル操作への応答性が向上し、低速からリニアでスムースな加速が可能になった」とトヨタは説明し、確かに従来型に比べるとそれは実感できるのだが、バッテリーのみならずシステム全体としてその走行性能を生み出していることのほうが強く感じられるからである。

もう1つ、新型アクアでトヨタ初搭載されているのが、走行モードを「POWER+」に入れると作動する「快感ペダル」と呼ぶ仕掛けだ。

従来モデルと立ち位置が変わった

「快感ペダル」は、アクセルオフと同時に回生ブレーキの効きを強め、減速度を高める仕掛けだ。ちょっとした減速などでアクセルとブレーキの踏み変えを減らせる。

その作動は実になめらか。強い減速感はなく、自然な感覚を追求しているのがわかる。

完全停止まではしないが、個人的には常に作動することを選びたい。

いっぽう「感覚に合わない」というのであれば標準の走行モードなら作動しないから、使わなければいいだけだ。

気になる燃費は、燃費走行を全く意識しなかった今回の試乗でも市街地走行では簡単に20km/Lに届き、高速道路では25km/Lを超えた。ただし、ヤリス・ハイブリッドには届かない印象だ。

さて、新型アクアはどんなクルマか? 数日間乗って得た結論は、従来モデルとは立ち位置が違うということだ。

従来は燃費スペシャルだったが、新型は後席居住性を高めたことでファミリーユーザーにもオススメできるようになった。

むしろ、ヤリスよりも実用性が高いので、日本におけるトヨタのハッチバックのコンパクトカーとしてはメインストリームとなったと考えられる。

燃費性能はヤリス・ハイブリッドに譲るものの、従来よりももっともっと多くの人に推奨できるコンパクトカーに生まれ変わった。

その変化は、世界戦略車だった先代から新型では実質的な日本専用車となったことも大きいのかもしれない。

より日本のユーザーに特化した商品企画になっているのだ。

最後に、新型アクアで志の高さを感じたのはAC100Vのアクセサリーコンセントの全車標準装備化だ。

1500Wもの大電力を供給できるこの機能はオプション設定だと4万円程度するが、全車に標準で組み込んでいるのである。

その背景にあるのは「停電時や災害時に人々に役立ってほしい」というトヨタの想い。

メーカーオプションだと装着率が高くならないが、万が一に備えて多くのクルマに装着しておいてほしい、ということなのだ。

立ち位置が変化しても、社会の役に立ちたい、という願いは先代も新型もしっかり筋が通っている。

トヨタ・アクアGのスペック

価格:223万円
全長:4050mm
全幅:1695mm
全高:1485mm
ホイールベース:2600mm
車両重量:1130kg
パワートレイン:直列4気筒1490cc+モーター
最高出力(エンジン):91ps/5500rpm
最大トルク(エンジン):12.2kg-m/3800-4800rpm
最高出力(モーター):59kW(前)/4.7kW(後)
最大トルク(モーター):14.4kg-m(前)/5.3kg-m(後)

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