2000psが繰り出す興奮とは相容れない
text:Mike Duff(マイク・ダフ)
【画像】ロータス・エヴァイヤ 純EVのハイパーカーはほかにも 全92枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ロータスのテストコースの1つ、ヘセル・サーキットは、フォード製DFVユニットからトヨタ製のスーパーチャージドV6まで、数多くのエンジンノイズに包まれてきた場所。しかし、今日に限ってはそんな轟音は聞こえてこない。
エヴァイヤのコクピットに身を置く筆者。車内は静かというわけではなく、サーキットの舗装を転がるタイヤの振動音や、サスペンションが屈伸するメカノイズ、電気的な唸り音が充満している。
速度が上昇するほど、関数曲線的にボディの表面を流れる空気圧が高まるのがわかる。ところが外から眺めていると、電気自動車のハイパーカーは不自然なくらいに静か。新幹線のように、押し分けた空気が口笛のような音を響かせるだけだ。
電気自動車だから、静けさに驚く人はいないかもしれない。エヴァイヤが完成すれば、低速域でロータスのフォーミュラーマシン、タイプ49をモチーフとした人工音が組み込まれるという。無音こそが美点に思える、小さな純EVとは異なる。
エヴァイヤはほとんど音を発せず、内燃エンジン特有の威圧感もない。2000psが繰り出す興奮とは相容れない。回転数が高まっていく特有の感覚が欠如していて、ドライバーも見物人も、スピードを感じ取る既成概念が覆される。
大排気量エンジンがハイパーカーのドラマを生んでいた。圧倒的な最高出力を秘めていても、純EVはドラマ性が薄いことを否定できない。同時に、ドライバーは一瞬の内に驚異的なスピードへ突入する加速力に、ただただ圧倒される。
カーボンファイバー製タブは129kg
プロトタイプといえども、エヴァイヤのパフォーマンスに不足は微塵もない。筆者が試乗を許されたクルマの場合、最高出力は1600psに制限されていたが、それでも小さな数字ではない。量産版のエヴァイヤなら、2000psのフルパワーが与えられる。
最高速度は225km/hでリミッターが掛かる。また、回生ブレーキやアクティブ・エアロ、アクティブ・サスペンション、トルクベクタリング機能なども実装されていない。スタビリティとトラクションのコントロールもまだだという。
エヴァイヤは四輪駆動で、今のところ前後のトルク割合は固定。リアが77%で、フロントが23%だ。追って可変式になるに違いない。
「常にベーシックが正しいと理解しています。われわれが今後構築する、基本のスペックを表すものです」。ロータスのハンドリングをディレクションする、ギャバン・カーショウが説明する。
真っ白の内装に仕上げられた生産スタジオには、4台のプロトタイプが置かれている。量産モデルが組み立てられる場所だという。エヴァイヤのプラットフォーム開発を指揮する、ルイ・カーから技術的な説明を受ける。
エヴァイヤへ投入された技術は見事だ。基本骨格をなすカーボンファイバー製のタブはイタリアで製造され、重さは129kg。F1にも採用される積層技術を用い、職人の手作業で生み出される。
タブは非常に大きく強固で、サブフレームなしでフロントとリアのサスペンションを直接組み付けられるそうだ。これにより、剛性を飛躍的に高められるという。
510psのモーター4基と70kWhのバッテリー
サスペンションはプッシュロッドで動く。リアは複雑で、ヒーブダンパーと呼ばれるF1などが採用する構造を取り入れている。アンチロールバーはクランクを介して可動する。機能美を備えるが、残念ながら通常はオーナーですら眺めることができない。
タイヤ毎に、シングルスピードのトランスミッションを介して510psの電気モーターが組まれる。70kWhの容量を持つ電圧800Vの巨大なバッテリーとは対象的に、駆動用モーターは小さい。
バッテリーの搭載位置はドライバーの後ろ。内燃エンジンのミドシップ・スーパーカーなら、大きなV型エンジンが収まっている場所だ。バッテリーの重さは、制御ユニットや充電システムなどを合わせて、718kgもある。
フロント部分に積まれたブレーキサーボにも驚きがある。電動の真空ポンプが必要らしい。電動サーボは、ドライビング体験の要求に満たなかったという。同じ理由で、油圧パワーステアリングを採用している。
プロトタイプがゆえに、エヴァイヤのインテリアはまだ未完成で、カーボンファイバー製のタブが露出していた。配線はむき出し。ドライバーの周囲には補強を兼ねて、ロールケージが組まれている。
それでも、エヴァイヤの車内はハイパーカー規準でいえば広い。サイドシルは比較的幅が狭く、頭上空間にもゆとりがある。Aピラーは細く、大きくラウンドしたフロントガラスのおかげで視認性も優秀。
量産版では、カメラ映像を用いたミラーシステムが採用される。でも、まだこのクルマには実装されていなかった。
この続きは後編にて。
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