現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > BMW「M」は電動化でも刺激的な走りになる! 日本市場の重要性と「M」の現在と未来を語る【BMW M社長独占インタビュー】

ここから本文です

BMW「M」は電動化でも刺激的な走りになる! 日本市場の重要性と「M」の現在と未来を語る【BMW M社長独占インタビュー】

掲載
BMW「M」は電動化でも刺激的な走りになる! 日本市場の重要性と「M」の現在と未来を語る【BMW M社長独占インタビュー】

50周年の節目を迎えたBMW Mの現在と未来とは

 ヨーロッパ三大24時間耐久レースのひとつである、スパ24時間レース。その会場では「BMW M GmbH」の50周年を祝い、M Townや来年デビュー予定のM4 GT4を展示するブース、またベルギーらしさを感じさせる美しいホスピタリティブースを設置するなど、ファンやVIPゲストとともに華々しく50周年目の節目を祝いました。

世界一の官能性に誰もがシビれた! BMW最後のシルキー6「S54B32」の魅力を元オーナーが語る

 BMWのカスタマーレーシングの代表を兼ね、レース進行やVIPゲストの対応に多忙ななか、日本のMファンのために、とBMW M GmbH フランシスクス・ファン・メール代表取締役社長に「M」の今、そして今後を語っていただきました。

日本は市販車やモータースポーツも盛んな大事なマーケット

──世界的に見て、Mモデルの日本市場はいかがでしょうか? 例えば1980年代後半から2000年代初頭にかけて、M3 E30、M3 E46と言ったMモデルが日本はもちろん世界で大ブームとなりました。

ファン・メール社長:そうですね、とくにあの時代に日本でのMモデルの認知度が一気に上がりました。現在の販売数は当時には及びませんが、Mをお選びくださる日本のみなさまの情熱は現在も変わっておらず、この先も長く日本でMモデルを販売させて頂けることと思っています。

 日本市場は決してビッグマーケットではないのですが、モータースポーツが熱心な国ということもありMの認知度は高く、スーパーGTでは顧客チームの1台のM4 GT3が活躍しています。私個人も日本という国が好きなこともあり日本市場は非常に大切に思っていますし、今後も成長を広げる国だと確信しています。スポーツカー、そしてスポーツフィーリングが味わえる、Mモデルの需要は継続されると見込んでいます。

 また、BMWクラブ ジャパンの細淵会長は、日本においてのBMWの第一人者であるというだけでなく、アンバサダーとしてもご活躍頂いており、日本、いや世界のBMWのオーナーさまのなかでも弊社にとって尊い存在です。BMWをこんなにも愛し、そして非常に長年にわたって信頼を寄せてくださっていることはBMWグループの誇りです。BMW M 50周年の記念ブックにも細淵氏にご登場頂いているんですよ。BMWほど日本の顧客のみなさまに愛されているメーカーは、ほかには少ないのではないでしょうか。

制限速度のある道路でもMらしさは存分に味わえる

──日本は高速道路の制限速度は100km/h(一部区間で120km/h)であり、速度制限が無制限の区間があるドイツのアウトバーンとは大きく道路事情が違います。従って、必ずしもドイツのMモデルオーナーたちが味わえるような「駆け抜ける歓び」という部分は、日本においてはそのポテンシャルを持て余してしまう部分もあるのではないでしょうか?

ファン・メール社長:世界中どこに行っても速度制限はあります。むしろ、速度制限がない区間があるのはドイツくらいで、そちらの方が珍しいですよね。私の出身国のオランダも日本と同じように100km/h(部分的に120km/h)ですから、日本の道路事情はよく似ています。

 しかし、すでにMモデルのオーナーさまならご存知かと思いますが、限りなくレーシングカーに近いM専用カーボン製フルバケットシートに座り、スタートボタンを押した瞬間に体中を強く刺激するエキゾーストノートや駆動力に、Mモデルを所有する歓びや走り出す愉しみを毎回ご体感頂けているのではないでしょうか。

 市街地の信号で停止し、青になって走り出す際、もちろん市街地なので速度は50~60km/hほどですが、その強いトルクが生み出す加速の素早さとスムースさは、まるでレーシングカーです。こんな小さな楽しみは誰もが得られるものではありません。Mモデルを所有する方々ならではの幸福です。

 もちろん、M4 CSLでアウトバーンを300km/h近いスピードレンジで走ることもものすごく愉しいですが、Mモデルの駆け抜ける歓びは市街地の低速度制限域でも十分ご体感頂けるのです。それがMなのです。

 また、弊社はモータースポーツのさまざまなカテゴリで培ったノウハウを安全なクルマ作りに生かし、非常に優れた車両剛性により高い安全基準を誇っています。日常で自動車を運転していると、非常にリスキーでヒヤヒヤする場面に遭遇する機会は誰にでも一度や二度は訪れます。そんなシチュエーションにおいても高い安全性を持って、安心してドライブを楽しんで頂けるのもMモデルの強みではないでしょうか。

電動化が進んでもMらしい走りを提供

──世界が電動化に進むなか、専用の電動Mモデルが登場するのかなど、未来のお話をお聞かせいただけますでしょうか?

ファン・メール社長:例えば、BMWのお客さまのなかでは3シリーズや4シリーズといった一般的な生産モデルよりも、さらににスポーティな走りと外観をご希望なさるお客さまが多くいらっしゃいます。しかしMモデルほどのハイパフォーマンスは不要という方のご要望に応えて誕生したのが、M240iやM340iといったMパフォーマンスモデルです。エンジンやトルクは通常モデルよりもパワフルに、足まわりやブレーキはMモデルと同様に、そして内装や外装もMモデルに近いスポーティさを強調しています。

 それらをEVモデルで叶えたのがi4 M50。これは500ps以上あり、かなりスポーティな走りを披露します。2022年初旬にiX M60が発売され、2023年にはi7のMパフォーマンス、その次にi5を発売予定です。このように通常のEVモデルに加え、Mパフォーマンスモデルなど、ラインアップは今後増えていく予定です。EVカーであってもBMWらしさを追求していきます。

 モータースポーツ活動では、BMWとして初となるハイパワーのV8ハイブリッドエンジンを搭載したLMDhマシンが、2023年1月末に開催されるデイトナ24時間耐久レースでデビューします。それと同時期となる2022年の末に、量販車にもパワフルなV8ハイブリッドエンジンを搭載したXMが発売になる予定です。いつの時代もBMW Mが追及し続けていたハイパフォーマンスカーとモータースポーツの関係は、非常に近い存在と言えます。

 2022年の年末に予定しているハイパフォーマンスカーのローンチでは、M2(直6)、XM(V8ハイブリッド)、そしてiシリーズと、内燃機関搭載車からEVまでさまざまなモデルをご用意させて頂くことで、顧客のみなさまにはライフスタイルや好みに合わせて選択肢が増え、選ぶ楽しさも増えることでしょう。

モータースポーツにおけるBMW Mの未来

──BMW Mの「M」が意味するモータースポーツですが、今年はM GmbHが50周年となる記念の年にM4 GT3がレースデビュー。次にこの夏には2023年デビューとなるM4 GT4が発表となりましたね。そしてLMDhと、Mファンにはワクワクドキドキが続きます。ファン・メール社長ご自身も、7月末にイタリアで行われたLMDhのロールアウトに立ち会われていらっしゃいますが、その瞬間をどういうお気持ちで見守られたのでしょうか?

ファン・メール社長:このLMDhマシンの各所のパーツはさまざまなセクションで、ベンチマークテストを数多く行っていました。当日は初めて車両パーツが完全に組み合わせて初走行する日でしたから、エンジンのスタートボタンが押されたそのとき、そこにいた全員が息を呑んだ緊張の瞬間でした。

 出走準備のため、ピットの中からピットレーンへメカニックらの手で出されて走り始めた瞬間、まさしくわが子が生まれた瞬間と同じ気持ちになり、とてもエモーショナルなひとときでした。

──ファン・メール社長はレースのライセンスをお持ちだそうですね。また、熱狂的なモータースポーツファンとしても知られていますが、このLMDhマシンも走らせてみたい、というお気持ちはありませんでしたか?

ファン・メール社長:今年のニュルブルクリンク24時間レースのサポートレースにM2 CSレーシングで参戦して、めちゃくちゃ楽しみました。もちろんこのLMDhを自らステアリングを握り、コースに出てみたい気分でいっぱいです! しかし、生まれたばかりの新生児、まだまだたくさんの手が掛かり、みんなの愛情を受けて成長しなければなりません。これから学校へ行き、成長して18歳くらいになったころに、1ラップくらい自分の手で走らせられる機会があれば嬉しいですね。

 2023年1月末のデイトナのデビューまでは残り4か月ほどですから、それまでに車両をしっかりと安定させなければなりません。もしも、私がM GmbHの代表の特権で1周ドライブをさせてもらえたとして、誤って事故をしてしまったら、デイトナに出られませんからね。今は乗りたい気持ちを抑えて見守りたいと思います。

※ ※ ※

 電動化モデルの登場やモータースポーツの新たなカテゴリーへの挑戦など、50周年という節目に、新たなステージへと進むBMW M。EV化が進む欧州において、BMW Mも完全EV化となるのでしょうか? 内燃機関の未来などの話や特別なMモデルなどの話は、改めてお届けします。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
AUTOSPORT web
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
AUTOSPORT web
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
AUTOCAR JAPAN
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
Auto Messe Web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
AUTOCAR JAPAN
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
レスポンス
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
AUTOSPORT web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
AUTOCAR JAPAN
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
Auto Messe Web
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
AUTOCAR JAPAN
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
VAGUE
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
motorsport.com 日本版
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村