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マツダ「デミオ」車名での23年史 「マツダ2」になっても変化しなかったものとは

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マツダ「デミオ」車名での23年史 「マツダ2」になっても変化しなかったものとは

 マツダは、2019年7月18日にコンパクトカーの「デミオ」を、海外で用いられている車名である「マツダ2」へ変更すると発表しました。マツダは2019年に入って、「アクセラ」を「マツダ3」に、「アテンザ」を「マツダ6」にするなど、海外の車名に統一する変更を続々とおこなっています。

 そのなかで、車名が海外名へ変更された国内のマツダ車のうち、もっとも長い歴史を持っていたクルマが「デミオ」でした。1996年の初代発売から国内での車名がマツダ2になるまで、デミオはどのような歴史を重ねてきたのでしょうか。

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現在の「マツダ2」とは大きく形が異なるマツダ初代「デミオ」 初代「デミオ」は、当時マツダが経営危機に陥っていた1996年に発売されました。発売直後から極めて好調な販売実績を残し、1997年6月30日には生産開始からわずか1年で累計生産台数10万台を突破します(輸出分およびOEM車のフォード『フェスティバ・ミニワゴン』を含む)。

 初代デミオのヒットによってマツダが経営危機から脱出することができたともいわれており、「マツダの救世主」とも呼ばれました。

 初代デミオのボディ形状は、現行のマツダ2と比べると、箱型に近いことが特徴です。「自由形ワゴン」というコンセプトが掲げられたことからも、空間効率を重視した設計だったことがわかります。

 その後、2002年には2代目デミオが登場。このモデルにおいても、スクエアな形状に近いデザインが採用されました。

 2代目デミオの特徴的な装備として、一部グレードに装備されたホワイトキャンバストップがあります。

 キャンバストップとは、幌(キャンバス)を用いたルーフのことを指し、幌をたたむことでオープンにすることが可能となる装備です。

 日本の有名アニメ映画に登場したことでも知られるフィアット「500(チンクチェント)」のルーフにも、キャンバストップが用いられています。

 2代目デミオでキャンバストップを採用したことについて、マツダは次のように説明しています。

「キャンバストップ仕様は、光透過性のある素材を使うことで、明るく和やかな室内空間を創造するという発想から生まれました。オープン時だけでなく、クローズ時もやわらかな明るい光が、室内を満たします」

 2代目デミオのラインナップには、キャンバストップ仕様が選択できる「コージー」のほかに、ナチュラルさやシンプルさを演出した「カジュアル」、そして専用色「スパイシーオレンジマイカ」の設定や15インチアルミホイール、エアロバンパーなどが装備された「スポルト」という計3つのスタイルが用意されました。

 ユーザーの好みや使い方にあわせて、より出かけたくなるような仕様を選ぶことができるクルマだったといえます。

コンセプトをガラッと変えた3代目、その理由は? その後、デミオは2007年に発売された3代目モデルで大きな転機を迎えます。

従来モデルから大きく方針を転換したマツダ3代目「デミオ」 3代目デミオでは、2代目までの箱型ボディを改め、ボディの各ピラー(柱)が傾斜した流線型のボディを採用。ボディの小型化が図られました。

 デザインが大きく変化しただけではなく、新開発されたシャシなどによって、2代目モデルに対して約100kgの軽量化も実現しています。

 マツダによると、3代目デミオは「環境・安全に対する関心の高まり」や「デザイン志向の高まり」という世論の変化を受け、コンパクトカーを一から考えなおした上で、「パーソナル・スマート・コミューター」として開発したといいます。

 また、3代目デミオについて、井巻久一代表取締役社長兼CEO(当時)は、発売時に次のようにコメントしています。

「新型デミオは、2007年3月に発表した、技術開発の長期ビジョン『サステイナブルZoom-Zoom宣言』に基づいて、走る歓びと環境安全性能の調和を推し進めた、『進化したZoom-Zoom』を体現した商品の第一弾です。

 マツダは今後も、環境・安全への対応を強化し、サステイナブルな未来の実現に向けて誠実かつ着実に取り組んでまいります」

 ※ ※ ※

 この「サステイナブルZoom-Zoom宣言」は、近年販売されているマツダの主要車種すべての根底にある考え方といっても過言ではありません。なぜなら、サステイナブルZoom-Zoom宣言に基づいて開発された技術群の総称が、現在発売されているマツダ車(OEM車の除く)に搭載されている「SKYACTIV」技術であるからです。

 SKYACTIV技術は、クルマの基本性能を左右するベース技術を徹底的に改良するという戦略のもと、開発がおこなわれています。

 この技術群のなかには細かい改良も含まれるほか、目立つ要素でいうと高性能で軽量なシャシや高剛性ボディ、次世代ガソリンエンジン・ディーゼルエンジンなどさまざまなものがあります。

 この技術の考え方を基に開発された最初のクルマが3代目デミオ、というわけです。

 3代目デミオは2011年にマイナーチェンジを受け、このときにSKYACTIV技術の第一弾となる1.3リッター直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.3」の搭載グレードを設定しています。このエンジンは、同クラスの量産車で世界一の高圧縮比14.0を実現したことにより、25.0km/L(JC08モード燃費)の低燃費を実現しました。

 また、ドライバーの運転操作と燃費の良い運転の両方をサポートする「インテリジェント・ドライブ・マスター(i-DM)」も搭載され、より楽しくドライブができるクルマへ進化しています。

 この3代目デミオへの搭載以降、マツダはSKYACTIV技術を主要モデルすべてに搭載していきます。そして、4代目デミオ(後のマツダ2)ではSKYACTIV技術の全面採用とマツダのデザインテーマ「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」の導入がおこなわれました。

 4代目モデルは、3代目で採り入れられた外観のスポーティさやドライブの楽しさを大きく進化させたモデルとなっています。

 ※ ※ ※

 歴代デミオを振り返ると、それぞれのモデルで手法に違いはあれど、一貫してドライブが楽しくなる工夫が盛り込まれてきたクルマであったことがわかります。

 初代は車内の広さや利便性、2代目は明るい車内空間、そして3代目と4代目はクルマの基本性能を磨き上げることで魅力を発揮してきました。

 こうした歴史のなかで重ねてきたデミオならではの魅力は、車名がマツダ2となっても受け継がれていくことでしょう。

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