自動車の防犯機能が新しくなるたび、窃盗の手口もまた新しくなっていく。
OBD2端子にアクセスする『コードグラバー』や、スマートキーの電波を使う『リレーアタック』など、新たなクルマ盗難の手口が現れては対策が強化されてきた。
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そして今、新たに急増してきたのが、特殊なデバイスを使ってCAN(Controller Area Network)にアクセスする『CANインベーダー』という方法だ。
この新たな窃盗方法の実態について、自動車評論家の国沢光宏氏が解説する。
※本稿は2021年9月のものです
文/国沢光宏 写真/Adobe Stock(トップ写真=ExQuisine@Adobe Stock)
初出:『ベストカー』2021年10月26日号
[gallink]
■自動車窃盗の新たな手口『CANインベーダー』とは
ここにきて『CANインベーダー』と呼ばれる新しい車両盗難の手口が急増している。どんな方法か?
ご存知のとおり今やクルマにはさまざまなセンサーや機器類、アクチュエータなどが搭載されており、それぞれ連携して機能させている。
例えば走り出してドアロックさせようとすれば、本来ならドアロック関連のECUに車速センサーを繋がなくちゃならない。一方、車速センサーはABSや横滑り防止装置のECUでも使われる。
ひとつずつ配線を使っていたら、もはやクルマは電線の塊になってしまう。
そこでさまざまなECUを1つの線で繋ぎ、いろんな情報を流してやろうというのが『CAN』という考え方なのだった。
したがってCANにアクセスすれば、すべての制御をコントロール可能。
『リレーアタック』への対策が普及してきた今、新たに増えつつあるのが特殊なデバイスを使ってCAN(Controller Area Network)にアクセスする『CANインベーダー』という方法だ(FotoHelin@Adobe Stock)
最もわかりやすいのはOBD2のソケット。OBD2もCANの一部になっている。ここから車速、水温、さらに故障の箇所まで瞬時に判明します。もちろんOBD2にカプラー挿すことでエンジンの始動だってできる。
車両盗難の手口である『コードグラバー』は、OBD2端子にアクセスすることでエンジン始動するという方法。ただコードグラバーを使う場合、何らかの方法でドアロックを解除しなければならない。
ここで失敗すると、セキュリティアラームが鳴る。盗難されやすい車種は後付けのセキュリティなどでガードされており、盗みにくくなってきた。
スマートキーの電波を使う『リレーアタック』も、キーを缶で保管する人が増えたため難しくなっている。
ということでCANインベーダーだ。
前述のとおりCANにアクセスできるカプラーはOBD2だけでなく車両の至る所に存在している。ここにきて盗難されるケースが急増しているレクサスLXだと、どうやら左前輪付近に弱点があるらしい。
私は知らないけれど、窃盗グループの間で作業指示書みたいなものも出回っていると聞く。実際に盗難されてしまった動画を見ると、案外簡単に作業できるようだ。
CANにアクセスする「侵入者」(インベーダー)なので「CANインベーダー」というわけだ。窃盗グループの間で作業指示書みたいなものも出回っているらしく、早ければほんの2、3分で盗まれてしまうという(Kadmy@Adobe Stock)
CANにアクセスすればロック解除指示を出すことで普通にドアが開けられ、始動シーケンス(手順)を指示すればエンジンも掛けられる。
クルマに乗り込んで走って逃げたら終了。この間、慣れている窃盗団だと2~3分のようだ。
参考までに書いておくと、2021年は愛知県で600台程度しか登録されていないレクサスLXの5台に1台が盗難されたというから驚く!
そのほかにもランクル200、シグナス、プラド、レクサスRXなどもCANインベーダーで盗まれているらしい。
『らしい』と書いたのは警察が明確な情報を出さないからだ。CANでエンジン始動させるためには、CANを解析しなければならない。
この作業、普通は3000万円くらいかかる(競技車両を開発している企業談)。したがって、すべての車種が盗めるかとなれば違う。
盗難された車両のリストと状況など公開してくれたら、さまざまなガード体勢を作れると思う。
警察には、ぜひ情報公開をしてもらいたい!
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みんなのコメント
対処療法以外思いつかない
これはメーカーが対策すべき話
素人がどうこうできる話ではない