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実は軍用車両並みに頑丈 BMCファリーナ・シリーズ(2) 信頼できるBシリーズ・エンジン

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実は軍用車両並みに頑丈 BMCファリーナ・シリーズ(2) 信頼できるBシリーズ・エンジン

信頼性の高いBシリーズ・エンジン

BMCファリーナ・シリーズは、既に還暦を過ぎた例が殆どだから、ボディやシャシーはサビていて当然。それでも、軍用車両並みに頑丈に作られてはいる。大半は錆の修理を受けているはずだが、雑なツギハギ加工には注意したい。

【画像】オースチンにMGも 5銘柄で兄弟車 BMCファリーナ・シリーズ 同時期の英製サルーンたち 全120枚

クルマをぶつけて順位を争うレース、バンガー・ワールド・チャンピオンシップでは、マイナーチェンジ後のオースチンA60ケンブリッジが第1回大会で優勝。その後も6年連続で、ファリーナ・シリーズが優勝している。

メカニズムはシンプルで、Bシリーズ・エンジンは信頼性が高い。それでも、経年劣化ですべてのコンポーネントが傷んでいると考えて良いだろう。エンジンの内部が摩耗すると、排気ガスが過度に煙ったり、回転が安定しなかったり、パワー不足などへ陥る。

エンジンオイルの漏れや、ヘッド周りとクランクシャフト付近から異音がないか、よく確かめたい。英国ではリビルド可能だが、作業には3000ポンド(約59万円)ほどの予算が必要になる。

当時は、有鉛ガソリンが一般的だった。現代の無鉛ガソリンで積極的に走らせると、バルブシートが駄目になる。ただし、穏やかに運転している限り、大きなダメージにつながることは稀といえる。

もし対策がまだなら、強化バルブシートへの交換も含めて、ヘッドのオーバーホールを考えたい。約500ポンド(約10万円)で、英国なら可能だ。パワー不足が酷い場合は、バキュームユニットの不調が原因のことが多い。

細かな整備が必要なサス 部品は入手可能

サスペンションのレバーアーム式油圧ダンパーは、リビルドすれば減衰力を回復できる。キングピンとスイベルは交換可能。5000km以下毎に、グリスアップを施したい。ステアリングラックは、過度な遊びがないか確認したい。

ブレーキは、新車時は充分な制動力だと評価されたものの、現代の基準では物足りないだろう。完璧な状態を維持したい。すべての部品は、英国では入手可能な状態にある。

マニュアルのトランスミッションには、1速以外に変速時のギアの回転数を調整するシンクロメッシュが実装されている。2速が1番傷みやすい。内部のベアリングから異音がしないか、走行中にギアが抜けないか、試乗で丁寧に確かめたい。

ボルグワーナー社製の、35型オートマティックも専門家を頼ればリビルド可能。シフトアップ/シフトダウンが滑らかで、必要なタイミングでキックダウンするか確認は忘れずに。ATフルードは、透明なピンク色を保ちたい。

当時のタイヤは、クロスプライだった。現代的なラジアルタイヤの方がグリップ力は高いものの、見た目にふさわしい乗り心地と操舵感を味わいたいなら、クロスプライを選ぶのも悪くない。

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

ヘッドライト周辺を中心としたフロントフェンダー、ラジエター下のバランスパネル、アンチロールバー・マウント、フロントガラス周囲、フロントピラー、フロア周りは錆びやすい。シャシーのアウトリガーやサイドシル、ジャッキアップ・ポイントも弱点。

他にも、ドアの底面やリアフェンダー、リアのバランスパネル、トランクリッドなども錆びがち。メインのシャシーレッグの状態も、よく確かめたい。

エンジン

直列4気筒のBシリーズ・エンジンは、基本的に高耐久。適切なメンテナンスを続けていれば、24万km程度はリビルドなしで使える。

しかし、現在までにエンジンが交換されていても不思議ではない。エンジンの番号と仕様が、モデルと合致しているか確かめたい。アップグレードされている例も多い。

エンジンオイル漏れや排気ガスの不自然な曇り、不安定なアイドリング、異音などがないか予め確かめたい。ラジエター内部には、汚物が溜まりがち。充分に冷却できなくなり、オーバーヒートへつながる。クーラントの交換履歴も要チェック。

トランスミッション

マニュアルでは、シンクロメッシュやベアリングの状態を確かめる。クラッチの摩耗にも注意したい。

オートマティックでは、フルードの状態に気をつけたい。変速が滑らかに行われるか、試乗でしっかり確認する。

サスペンションとステアリング

フロントサスペンションは、定期的なグリスアップが不可欠。ダンパーやピボットなどは摩耗しがち。キングピンの固着も珍しくない。ステアリングラックも、内部が摩耗しやすい。

今回の例は、スプリングマウントがオリジナルのまま。多くは、これまでに修復を受けているはず。

ブレーキ

スレーブシリンダーが固着しやすい。フルードの状態もチェックポイント。

インテリア

複数のブランドから提供されたモデルが故に、内装トリムの仕様は様々。オリジナル状態が望ましいが、現在までに各部が交換されていても不思議ではない。

BMCファリーナ・シリーズのまとめ

ファリーナ・シリーズは、普段使いできるクラシックサルーン。週末の旅行へ対応するだけでなく、通勤にも充分に使えるだろう。60年前後が経過したモデルだから、ブランドより状態を最優先したい。

フロントグリルのロゴがほんのり灯るウーズレーは人気で、生産数の少ないライレーやMGと同じくらいの価格で売買されている。5ブランド間での値段の差は小さい。

銘柄違いの部品が取り付けられていないか、内装トリムなどは特に注意したい。希少性は、年々高まっている。

良いトコロ

現存するファリーナ・シリーズの多くは、しっかり整備され、状態が維持されてきた例が殆ど。そこまで整備は難しくなく、費用も想像するほどかからない。部品の入手も難しくはない。

良くないトコロ

徹底的なレストア費用を回収できるほど、取引価格が高いわけではない。改造された部分を元に戻すのは難しい。完全に同一の部品を探すのは、簡単ではない。

BMCファリーナ・シリーズ(1958~1971年/英国仕様)のスペック

英国価格:721~916ポンド(新車時)
生産数:約86万6700台(合計)
全長:4432-4534mm
全幅:1613mm
全高:1499-1518mm
最高速度:125-143km/h
0-97km/h加速:18.0~25.6秒
燃費:8.9-11.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:1069-1166kg
パワートレイン:直列4気筒1489cc・1622cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン/軽油
最高出力:40ps/4350rpm-69ps/5000rpm
最大トルク:8.8kg-m/2100rpm-12.4kg-m/2100rpm
ギアボックス:4速マニュアル/3速オートマティック(後輪駆動)

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みんなのコメント

1件
  • fxnhe501
    このサイドビューを見て、ベレルを思い出す人も多いのでは?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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