8月末の発売から程なくたった9月の半ば。トヨタの新型SUVヤリスクロスの公道試乗のチャンスを得た。
合わせてガソリン車、ハイブリッド車両方の4WDモデルを試す機会にも恵まれたのだが、これが想像していた以上にいいデキ! オンもオフもイケるオールラウンダー試乗の様子をご紹介!
なんと車高はランクルに迫る!? RAV4話題のオフロード仕様は“普通のRAV4”より凄いのか
■ヤリスクロスのポイント
・179万8000円からの価格設定
・ヤリスと同じ直3、1.5Lエンジン。ハイブリッドも1.5L
・全モデルに4WDを設定。ハイブリッドはE-Four
・ヤリスより全長を240mm延長したボディで荷室積載性拡大
【画像ギャラリー】オンもオフもグイグイイケる! トヨタ ヤリスクロスをギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年9月のものです。試乗日:2020年9月15日
文・写真/ベストカー編集部、撮影/池之平昌信
初出:『ベストカー』 2020年10月26日号
■オールラウンドに使い勝手のいい小型SUV
いやぁ~、ヤリスクロス、もっとシティ派SUVかと思ったら、想像以上にタフな走破性を持っているのに驚いちゃいました! それが下の写真。
タイトル写真の傾斜角は最大約20度。難なく通過してしまう
完全にタイヤが浮いてしまっているような状況でも、→
→4WDシステムが空転輪にブレーキを作動させて接地輪に駆動力を伝達する
ザっとおさらいしておくと、ヤリスクロスはコンパクトカー、ヤリスをベースに240mm長い全長としたSUV。ボディサイズは4180×1765×1590mmで、全幅も70mm拡大されているので3ナンバーサイズだ。
コンパクトカー、ヤリスのプラットフォームをベースに開発されたコンパクトSUV ヤリスクロス。単純にサイズで並べると小さい方からライズ→ヤリスクロス→C-HR→RAV4→ハリアーとなる
延長された全長はフロントが+60mm、リアが+180mmで、このリア延長分は荷室の拡大に充てられている。ヤリスでは割り切って犠牲にされた荷室積載性だが、このヤリスクロスでは実用性充分だ。
リアセクションでは180mm延長され、その分が荷室奥行きの拡大分となっている。また、サイドパネルも立った形状のため、荷室上方の容積も大きくなっている
ホイールベースは10mmプラスの2560mmとなっているが、これはSUV用大径タイヤを装着するためにフロントタイヤの取り付け点を10mm前に出したため。これによりキャスター角が大きくなり、直進性も向上している。
ルーフが長いため頭上スペースに余裕がある。
後席のシート位置はヤリスと同じだが、開放感がある。※なお試乗レポートを執筆した梅木(写真)は身長175cm
パワートレーンはヤリスと同じで直3、1.5Lエンジンのハイブリッドと同じく1.5Lの非ハイブリッド。両パワーユニットにFFと4WDが設定されている。
パワートレーン1.5Lガソリン(120ps/14.8kgm)と1.5Lハイブリッドの2タイプ。動力性能面でも燃費面でもハイブリッドが優位なのは当然だが、価格差は約37万円。4WDは全モデルに設定
ここで冒頭の話に戻る。
ガソリン車の4WDは電制カップリングを介してプロペラシャフトで後輪を駆動するオンデマンドタイプ。
RAV4にも搭載される「マルチテレインセレクト」と呼ばれる4WD制御を採用しており、モード切替で「マッド&サンド」、「ロック&ダート」を選択可能。
特に走破性を重視した「ロック&ダート」では、泥濘地や雪道で空転輪にブレーキを作動させることで疑似的にLSD効果を発生させ、接地輪に駆動力を伝達する。
例えば凸凹の荒れ地を走る場合、対角するタイヤが浮いてしまうと接地しているタイヤに駆動力が伝わらなくなってしまう。
そうした場面を実際に走ってみると、「ノーマルモード」ではタイヤが浮いた瞬間に激しく空転して動けなくなってしまったのだが、ここで「ロック&ダート」に切り替えると、アクセルを踏みっぱなしなのに“ググッ、ググッ”と浮き上がったタイヤの空転が抑えられ、接地したタイヤが駆動力を発揮して脱出成功。
片側輪完全スリップから脱出を試みる(ハイブリッド車のE-Four)
ノーマルモードでアクセルを踏むと、前輪の空転に続き後輪も空転してしまい、接地している左側輪に駆動力は伝わらない
「トレイル」モードに切り替えると、ローラー上の右側輪がギュ、ギュと回転力を弱めるとともに、→
→ジワリジワリと前進し、脱出
一方ハイブリッドの4WDは後輪をモーターで駆動するE-Fourとなるが、こちらにも「トレイル」モードがあり、同様の走破性を実体験することができた。下の写真のように、前後片輪をローラーに乗せた状態からも難なく脱出することができた。
非ハイブリッド車の4WDは「マルチテレインセレクト」と呼ばれる3モード切替タイプで、よりアクティブなオフロード走行に対応。ハイブリッド車ではトレイルモードが設定される
■ヤリスより“しっとり”した乗り心地
4WD性能の話ばかりになってしまったが、オンロードの走りはヤリス譲りのシャシーのよさを実感。
乗り心地は軽快感を重視したヤリスと比べると、動きがしっとり落ち着いた印象。約100kgの重量増が、このしっとり感の要因か?
オンロードの走りはヤリス譲りのカッチリしたシャシーのよさを実感させられる
インパネの造形は基本的にヤリスと同じ。メーターパネルは最上級のZグレードではこの写真の大型表示となるが、他グレードではヤリスと同じ2眼タイプ
一方、動力性能はヤリスと変わらぬキビキビ感。ファイナルギア比とタイヤ外径により約3%ローギア比となっていることで重量増分の動力性能をカバーしているとのこと。
ただその分エンジン回転が高まるためか、ガソリン車ではヤリスよりも室内に入ってくるエンジン音がちょっとだけ増加した印象。
ヤリスクロスのラインナップと価格
ヤリスクロス&コンパクトSUVスペック比較
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みんなのコメント
販売台数をヤリスと合算している時点でヤリスクロス単体の売れ行き不透明だよね。
記者の頭が爆発すればいいのに。
同じテストを実施してみて下さい。