一見ファミリー向けだが後席での長時間移動が厳しいモデルも存在
国産コンパクトカーの室内空間は優れたパッケージング技術によって、ボディサイズからは想像もできないほど広かったりする。それこそ軽自動車の後席でさえ、容量系、ハイト系なら、大型セダン、Mクラスボックス型ミニバン並み、いや、それ以上に広々している。
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ところが、その上のクラスの登録車、コンパクトカーでも「前席優先パッケージ」と称して、後席の広さにこだわらないクルマがある。ここでは、ファミリーカーのようなのに、後席が狭めなクルマたちを紹介したい。
モータージャーナリスト歴30年以上の自身のこれまでの経験からすれば、身長172cmのボクが運転席でドライビングポジションを決め、その背後に座って、頭上10cm、ひざ回り12cm以下のスペースしかないと、ボクの感覚では「狭い」と感じる(個人の感想です)。もちろんそれは、運転手の体形、どんなドライビングポジションをとるかで変わってはくるが、以下の頭上、ひざ回りスペースは、ボクの体形を基準とした数値として参考にしていただきたい。ちなみに後席ひざ回り空間の10cmとは、成人男子の握りこぶしひとつ強である。
1)日産ジューク
デザイン重視のクーペライクなクロスオーバーモデルだけに、後席のスペースは二の次で、頭上8cm、ひざ回り11cmでしかない。その数値だけだとピンとこないかもしれないので、ライバルのホンダ・ヴェゼルの数値を記すと、頭上13cmはともかく、ひざ回りは25cmと圧倒的だ。
2)マツダ・デミオ
マツダ・デミオはCX-3同様、前席優先のカップルズカー、パーソナルカーである。ゆえに後席は子供の乗車場所、あるいは荷物の置き場というイメージ。後席のスペースは頭上10cm、ひざ回り10.5cm。例えばライバル車のホンダ・フィットはセンタータンクレイアウトによる低床&魔法のパッケージによって、同14cm、26.5cmもあるから驚くしかない。後席の乗降のしやすさにしても、大きく違うのである。
3)トヨタ・アクア
HV専用車であり、燃費の良さで売れに売れているアクアだが、そもそも後席を重視するならトヨタ・プリウスがあり、こちらは前席優先のパーソナルカー的キャラクター。頭上は10cmとギリギリだが、ひざ回りスペースはスズキ・スイフトと同等の16cmとまずまず。しかし、ホンダ・フィットのひざ回り26.5cm、トヨタ・ルーミー&タンク、ダイハツ・トールの38.5cmあたりと比べると、かなり狭く感じるはずだ。
人気のSUVでも後席の厳しいモデルはある
4)スズキ・スイフト
スポーティーなキャラクター、欧州車並みの走りの質感で走り好きドライバーに好評のスズキ・スイフトだが、後席の寸法は頭上10cm、ひざまわり16cmと、上記のトヨタ・アクアとまったく同じ。が、フロア中央に凸があり、より足もとが窮屈に感じてしまう。走り好きなカップル向けといえそうだ。
5)マツダCX-3
マツダのコンパクトクロスオーバーのマツダCX-3の後席も狭めだ。なにしろベースはマツダ・デミオ。頭上10.5cm、ひざまわり9cmと、前後方向はマツダ・デミオよりきつめ。そのサイジングから、カップルのパーソナルクロスオーバーと割り切って選んだ方がいい。
6)フィアット500X
輸入コンパクトでも、最近は後席がゆったりしているクルマが少なくない。その中で、見た目通りに狭いのがフィアット500(頭上7cm、ひざまわり5cm)だが、ずっと立派なサイズのクロスオーバーモデルとなるフィット500Xにしても、後席は決して広くない。頭上13.5cmはともかく、ひざ回りは10.5cmでしかないから、身長172cmのボクが座ってギリギリという印象、長時間のドライブは歓迎できない……のである。
もちろん、デザインが好き、ファミリーカーでも前席にしかまず乗らない、後席は小さな子供専用席……というなら上記にクルマたちの購入を反対しないが、もし子供をチャイルドシートに乗せるとしたら、リヤドア開口部、後席まわりのスペースが狭いと、いかに小さな子供でも、抱いたままの乗せ下ろしはアクロバティックな姿勢になり、けっこう大変なのだ。
で、駐車スペースの事情で小さなクルマに乗らざるを得ないけれど、後席の広いクルマがいい、というなら、前記のホンダ・フィットや両側スライドドアのトヨタ・ルーミー&タンク、ダイハツ・トール、コンパクトななりでも後席ひざまわり空間が最大32cmもあるスズキ・クロスビー、車幅が狭くても走りの質が高い、両側スライドドア車のスズキ・ソリオ(頭上22cm、ひざ回り最大40cm)、さらには軽自動車でもN -BOX(頭上24cm、ひざ回り43cm!)のような、驚異的後席スペースを持つ容量系軽自動車を薦める。
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