新車の納期遅延の影響で中古車人気が高まっている。今回は、ランクル200、ジムニー、ジムニーシエラ、先代86&BRZなどなど、人気モデルの中古価格の現在を追った!
●トピック
・新型が買えないなら中古のランクル200は買いか?
・即納も可! ジムニー&ジムニーシエラの中古車状況は?
・新型登場! 先代86&BRZの中古車相場は?
・現行スイスポを中古車で買うのはありかなしか?
・最後のEJターボ WRX STIの中古買いか否か?
・現行ロードスターを中古で買うのは良手か悪手か
現代の「AE86」か!? カスタム好きに今なお愛されるダイハツ エッセ5つの魅力
※本稿は2021年9月のものです
文/大音安弘、伊達軍曹、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年10月26日号
[gallink]
■新型が買えないなら中古のランクル200は買いか?
納車が見えない300より高年式ランクル200なら賢い選択だ。V8、4.6Lを味わおう!
世界的なSUV人気に加え、コロナ禍における減産を余儀なくされたため、信じられないほど納期が長納期化しているランクル300。現在の納車待ちは2年以上とアナウンスされているが、現実的にはそれが最短と捉えるべき。
最新の生産状況によれば、9月と10月はストップしている。これからオーダーしても、気長に待つしかないのだ。
そうなれば自ずと先代のランクル200に目が向く。やはりプレミア相場となっており、高年式低走行の最上級車「ZX」はオプション込みとはいえ、800万円以上が当たり前に……。とはいえ、購入検討者には今、ランクルが必要な、ランクルが欲しい理由があるはず。
そこで、先進安全機能が標準化された2015年のマイナーチェンジ後のモデルで、価格と内容のバランスの取れた中古車を狙いたい。もちろん、新車のオーダーも忘れずに。高年式の200ならば、下取りも期待できるし、気に入れば、新車をキャンセルし、乗り続けるのもアリだ。
200の魅力はなんといっても4.6L、V8エンジン。その繊細で力強いフィールは、今が最後の贅沢な楽しみとなる。
(TEXT/大音安弘)
■即納も可! ジムニー&ジムニーシエラの中古車状況は?
ジムニーもシエラも中古車は即納状態! が、数万km走行のタマでも新車価格を超えるという
発売より大人気のジムニーとシエラ。納期はジムニーが1年、シエラはそれ以上と言われ、入手まで時間が必要。しかし、意外にも中古車は豊富。新車同様の登録済み未使用車も多い。
が、いずれも強気相場。スッピン車でも、新車価格の2割増しなんてのもざら! 特にシエラの価格が高い傾向。さらに、数万km走行の中古車や初回車検済みのタマでも、新車価格を超えるほど。これでは、中古車の旨味はゼロに等しい。
ご存知のとおり、ジムニー&シエラは実用車の色合いが強い。新車供給が早まれば、価格は落ち着いていく。そうなると中古車の数も潤沢になると、分析する。
今、新車は、半導体不足で大きな減産を余儀なくされている。この解消が大きなキーとなる。シエラは、海外向けをインド工場でも生産開始するも、半導体不足は同様だ。
軽仕様は日本専売なので、将来的には納期短縮となるはず。今は、最大1年待つつもりの新車オーダーが賢い。シエラについてはもともと国内割り当てが少ないので、判断が難しい。ただ中古車価格の落ち着きは待ちたいところだ。
(TEXT/大音安弘)
■新型登場! 先代86&BRZの中古車相場は?
先代の中古流通量は86が多く、値ごろ感があるのはマイナーチェンジ前のモデル。6MTで200万円以内もある。写真の先代BRZも魅力的!
GR86の正式デビューにより旧型となった初代86&BRZの中古価格の動向が気になるところだが、希少なFRスポーツということもあり、初期型でも110万円以上の価格を付ける。過走行や修復ありの100万円以下の車両も見つかるが、極めて少ない。
2016年のマイナーチェンジ後のモデルは高値で安定しており、250万円以上で流通。どうしても初代が欲しいという人以外は、新型も併せて検討したいのが正直なところ。
値ごろ感があるのは、やはりマイナーチェンジ前のモデル。修復歴のない6MTでも200万円以内で狙えそうだ。
流通数は断然86で、全体の6割ほどを占める。MT比率は、BRZが7割弱と高めだが、86も約半数を占めるので、いずれも探しやすい。
ただ、国産スポーツカー人気の高まりを受けた市場全体の高騰傾向の影響に加え、デザインや維持費の安さなどで初代を支持する人が増える可能性もあり、購入時期の判断が難しい。それでもサーキット走行などを楽しむ人にはメンテやチューニングのノウハウの蓄積があるため、やはり初代がベターかもしれない。
(TEXT/大音安弘)
■現行スイスポを中古車で買うのはありかなしか?
この値段でこの性能を持つホットハッチが買えるのは日本だけ。ありがとうスズキ
世界広しといえども、この性能を持つホットハッチが、この値段で買えるのは、日本だけ。間違いなく、買いのスポーツカーだ、スイフトスポーツ。
2017年現行型が登場し、2020年に一部改良を受けたが、先進安全機能の標準化と一部装備の向上のみ。しかも安全機能はオプションであったため、初期型の装着車も多い。メカニズムの改良は特にアナウンスされていないので大きな違いはないといえる。
よって、スイスポのいい中古を狙うのもアリで、価格も150万円前後から狙える。それ以下は修復歴アリのタマも多いので、より厳しい吟味が必要だ。
現在、新車の納期は4カ月ほど。お得な登録済み未使用車も多く見つかるので、中古車だけでなく、視野を広げた検討をすすめたい。
また、そんな1.4Lターボの現行型も魅力的だが、先代の1.6L自然吸気エンジンは回して使い切る楽しさがあった。先代だけに価格も落ち着き、100万円の予算でもよさそうなタマが見つかる。過走行ならば、もっと安い。現行ターボよりも、MT操作を純粋に楽しめるのが先代スイスポの魅力。こちらもいい選択だ。
(TEXT/大音安弘)
■最後のEJターボ WRX STIの中古買いか否か?
前期型最安値車でも約280万円と高価な中古モデル。新型車誕生を待てないなら、買いといえる
新型WRXのワールドプレミアにより、その動向が注目される「WRX STI」だが、公開された海外向けモデルは、日本の「S4」に相当するもの。現状、「STI」についての新情報はなし。そのため、デビューは早くとも1年後という見方が濃厚だ。
そこまで待てない……と、最後のEJ20ターボを積む現行型の入手を考える人もいるだろう。当然、最終限定車は高いのでパスし、標準車狙いで……といきたいところだが、現実はなかなか厳しい。
なんと前期型の最安値車でも約280万円と、新車時から100万円ほどしか下がっていない。さらに驚くべきは、2017年以降の後期型だと、新車時以上の400万円からのプレミア価格を掲げている。これでは、お薦めとはいえない。
しかし、懸念すべきは今のクルマたちが置かれる現状だ。WRX STIのような現実的な価格の高性能車も発売されるはずだが、環境規制の強化で売りにくくなっている。米国でさらなる規制強化となれば、誕生の危機さえあり得る。今は新型の発売を待ちつつも高価格でも納得できるなら、中古を買うべきだろう。
(TEXT/大音安弘)
【番外コラム】現行ロードスターを中古で買うのは良手か悪手か
ロードスターも進化しているが、魅力の根源は変わらず。中古でも充分味わえる
現在、公式サイトには「一部仕様を除き、現行モデルの販売は終了させていただきました。新モデルの発表は今冬を予定しております」との文言が掲載されている。
これはNE型へのフルモデルチェンジではなく「ND型のなかでの年次改良」を意味しているはずだが、次の年次改良モデルでは「FR-DYC」という新しい電子制御が一部グレードに採用されるようだ。
その年次改良を待って「次のロードスターを買う」というのもいい手ではある。しかし、だからといって現行世代の中古車を買うのが「悪手」ということにもならない。
なぜならば、ロードスターの本質的な美点とは、電子制御うんぬんではなく「軽量で好バランスなシャシー全体」にあるからだ。
そのシャシーの魅力を味わうという意味では、次の年次改良型を待とうが現行型を買おうがほぼ同じであり、そのシャシー(および存在全体)をより安価に味わえる中古車は「魅力的!」ということになるのだ。
どちらを選ぶのもご自由だが、本気で今すぐ欲しい人が、次の年次改良型を無理やり待つ必要はないだろう。
(TEXT/伊達軍曹)
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