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今や300km/h超も登場! 日本車の速度メーター なぜ180km/h上限ではなくなったのか

掲載 更新 59
今や300km/h超も登場! 日本車の速度メーター なぜ180km/h上限ではなくなったのか

 長い間、国産車の速度メーターは、普通車は180km/hまで、軽自動車は140km/hまでだった。しかし昨今は、その流れが崩れ始め、なかにはほぼ倍の340km/hまでメーター表示できるクルマも登場している。

 いつ頃、どのモデルから、メーター表示上限が180km/h超となったのか。またその理由とは? 

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文/吉川賢一、写真/NISSAN、HONDA、編集部

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■メーター上限「180km/h」は国内メーカーの自主規制

写真は、日産 スカイライン2000GT-Rのメーター。S20型エンジンを搭載し、160ps/18.0kgm、最高速度200km/h、0~400mは16.1秒

 いまから50年ほど前の1970年(昭和45年)頃は、メーター表示が200km/hを超えている国産スポーツカーが割とあった。例えば、トヨタの2000GT(1967年)は上限表示が250km/h(もしくは160MPH)、日産のハコスカ(1968年)」は240km/h、ホンダのS800(1966年)も200km/hが上限となっていた。

 この3モデルの最高速度(メーカー公称値)は、2000GTが220km/h、ハコスカが200km/h、S800は160km/h。当時、速度メーターは、この最高速度までは問題なく測定できるものを装備する、という考え方だったのだ。

 しかし1970年代といえば、国産車の性能が著しく成長した時代。クルマの性能が向上したことで、簡単にスピードが出せるようになり、その結果として、交通事故による死亡者が急増。対策が急がれていた。

 そのひとつが、100km/h~200km/hを黄帯で塗り、200km/h以上は赤帯を付けた速度メーターや、105km/hを越えると「キンコン」と鳴る速度超過警告ブザー(速度警告音)などだ。漫画「頭文字D」の作中でも描かれている「あの音」だ。なお警告ブザーは1974年に義務付けされたが、1986年には廃止されている。

写真は、1997年8月に登場した初代シビックシビックタイプRのメーター。最高出力185ps/16.3kgmの1.6L、直4VTECエンジンを搭載

 その後もクルマのパフォーマンスは向上しつづけたが、一方で交通事故抑制のための、より強力な対策も必要とされていた。そこで、国内の各自動車メーカーは、自主規制として、速度メーターの表示上限を180km/hとし、さらには上限速度で燃料カットをする速度リミッターを導入、それ以上はスピードが出ないような仕組みを取り入れた。

 速度メーターの180kn/h上限はもちろん、速度リミッターも、現在でも市販されているすべての国産車で、例外なく採用されている。

 しかし、アフターパーツメーカーから、速度リミッターに関しては各種リミッター変更装置(実質的にはリミッターカット)が、速度メーターも300km/h表示のフルスケールメーターが登場。どちらも自動車メーカーの自主規制であり、定められた規則ではなかったため、「スポーツ走行などのために解除する必要がある場合はOK(公道走行ではリミッター値を戻すから平気)」という解釈で、販売されている状態であった。

 この流れを変えたのが、2007年に登場した、R35型GT-Rだった。

■GPS連動で公道では解除できない仕組みを取り入れたGT-R

現行型R35 GT-Rは「日産のシンボルとなるマルチパフォーマンススーパーカー」として2007年12月に登場

 日産のR35型GT-Rは、デビュー時から速度メーター上限は340km/h。発表当時には、「300km/hで会話ができる」という謳い文句で登場していたほどであった。

 しかしながら、180km/hで燃料カットの速度リミッターは採用されているため、公道でそれ以上の速度を出すことはできず、速度リミッターが解除できるのは、国内の主要サーキットのパドックに入ったときのみだ(国土交通省の認可も得ているシステム)。

 ナビの位置情報で判断するので、公道では絶対に解除できないようになっている。日産としては、「サーキット走行も想定されるGT-Rには180km/h以上の速度メーターが必要。ただし180km/hでの速度リミッターは公道では絶対に解除できない仕組みを取り入れた(だからいいでしょ)」ということで、自主規制の殻を破ってきたのだ。

 それに続くかたちで、レクサス IS F(2008年)が上限300km/h表示、LS(2009年)が上限280km/hのフルスケールメーターで登場。今ではレクサス車全般、トヨタ86は260km/h、トヨタGRヤリスは280km/h、マツダロードスターは200km/hなど、速度リミッターは180km/hで入るものの、徐々に自主規制に乗っ取らないクルマが増え始めている。

 ちなみに、コンパクトカーのスイフトも2010年に登場したモデルでは表示上限が200km/hとなっており、当時の欧州コンパクトと同じような上限表示となっていた。現行スイフトの上限表示は220km/h、スイフトスポーツに至っては260km/h表示となっているのには驚かされたが、これは少しでもコストカットするために、グローバルワンスペックにした、という理由であろう。

■180km/h超のメーター 視認性にやや問題も

写真は、2016年12月登場の現行スイフトのメーター。

 どこまで速度が出るのか、もしくは測れるのか、ということも重要ではあるが、速度メーターの表示では「視認性」も重要だ。針で示すタイプの場合、表示上限が180km/hだと、ちょうど真上に100km/hから120km/hが来るので、高速道路を走行中に、さっと確認がしやすい。

 対して、速度表示上限を引き上げると、表示盤の真上付近に100km/hの表示がこないため、速度が視認しにくいというデメリットもある。

 自動車メーカーによっては、100km/hくらいまでは間隔を広めにとり、それ以上は細かくなるような可変レンジのメーター設計をしたり、針メーターの他にメーター内へ速度をデジタルで表示したり、ヘッドアップディスプレイ内に速度を表示したりと、工夫もされている。

 スポーツカーで、速度メーターの上限を300kn/hなどの高い速度にしているのは、そのモデルがハイパフォーマンスを誇示したい、という思惑もあるだろう。しかし、日常使用領域の視認性が悪いと、スピードを出しすぎていることに気づくのが遅れたり、速度の確認に時間がかかって前方不注意となるなど、危険な面もある。もちろん、見慣れてしまえば大した問題ではないが、「メリットはさほどない」ということは知っておいていただきたい。

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