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「オラオラ顔」もう限界? 新トレンド「グリルとボディの融合」は受け入れられるのか

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「オラオラ顔」もう限界? 新トレンド「グリルとボディの融合」は受け入れられるのか

文字通り、行きつくところまで行ってしまったオラオラグリル

 クルマの印象に大きな影響を与えるのがグリルです。フロント部中央にある金属製の格子のこと。その奥には冷却器が備え付けられて、エンジンやエアコンの冷媒を冷やしています。つまりグリルは、れっきとしたクルマの機能部品ではあるものの、ヘッドライトとあわせたデザインが「顔」をつくり、そのクルマの外観の大きな特徴となります。

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 デザインですから、当然のように流行りや廃りがあります。これまでは、より迫力があって、押し出し感の強いものが流行っていました。いわゆるイカツイ“オラオラ”顔です。

 分かりやすい例は、トヨタのミニバンである「ノア」と「ヴォクシー」の兄弟車でしょう。2001年の初代から2022年の4代目までを見比べてみれば一目瞭然。代を重ねるごとに、グリルのサイズと存在感は、どんどんと大きくなり、どんどんと“オラオラ”顔になっているのです。特に最新の「ヴォクシー」は、メインのヘッドライトがグリルの中に納められ、フロント全部がグリル! というようなデザインです。

 また、そのライバルとなる日産の「セレナ」も、2022年11月のフルモデルチェンジで、ヘッドライトをグリル内に納めて、全面ほぼすべてをグリルとするデザインとなりました。特にドレスアップ・グレードとなるハイウェイスターは、グリルにメッキも追加しており、“オラオラ”度がさらに高められています。

 また、近年のBMWもグリル拡大傾向が顕著。もともとBMWは、キドニーグリルと呼ぶ独特のグリル形状を伝統的に、デザイン・アイデンティティとして使用してきました。ところが、近年になって、そのグリルのサイズが、どんどんと巨大になっているのです2023年1月に登場した最新のフラッグシップである7シリーズのグリルは、フロント部の上下を覆うほどの大きさになっています。

 これだけグリルが大きければ、どんなに遠くからでも、「あのクルマはBMW」と識別することができるでしょう。とはいえ、個人的には、少々やりすぎなのでは……と思えるのも正直なところ。また、これ以上にグリルを大きくするのは、そろそろ物理的な限界が見えてきたのでは、行きつくところまで行ったのではないかと感じます。

 そんなところに、新たなトレンドが登場しました。それが「グリルとボディの融合」です。

オラオラ感はないけど…「グリルレス」へのアンチテーゼ?

 身近なところでいえば、2021年に登場したホンダのSUV「ヴェゼル」。グリルをボディと同色とする「インテグレーテッドグリルデザイン」を採用しました。そして2022年にはレクサスからEVである「RZ」が登場。こちらは明確に「スピンドルボディ」と謳い、それまでのスピンドルグリルとボディが融合するデザインを採用していたのです。

 また、2023年2月に公開された新世代のプジョーのセダン「508」も、グリルとボディが融合するようなデザインとなっています。グリルとボディの融合は、まさにデザインの最先端と言えるでしょう。

 では、こうしたデザインは、なぜ生まれたのでしょうか。トレンドの誕生は、世の中の空気が生み出すもの。そこで考えられるのがEVという存在です。今、クルマ業界の中で話題の中心になるのがEV。そしてEVにはエンジン車にはない、デザイン上の大きな特徴があります。

 それが「グリルレス」です。EVは膨大な熱を発する内燃機関(エンジン)がありませんから冷却器は小さくてかまいません。そのためクルマのフロント部に開口部が必要なく、そのための金属枠=グリルが必要ないのです。テスラの各モデルやフォルクスワーゲンのI.Dシリーズ、トヨタの「bZ4X」などは、どれもグリルがありません。

 もちろん、BMWのEVのように大きなグリルもそのまま、というケースもありますが、EVという新しい存在のデザインが、グリルとボディの融合という新しいデザインのトレンドに影響を与えているというのは、予想としても、それほど大きく外れてはいないのではないはず。

“オラオラ”グリルは、限界が見えています。単純に、もう、これ以上に大きくできないのです。それでも、新しさを演出したいと思えば、話題のエッセンス=EVを取り入れたいという流れになるのもおかしな話ではありません。

 グリルとボディの融合は、新しい提案です。そのため人気が出るか出ないかは、これからの話。ユーザーの好みは、意外とコンサバだったりもします。ユーザーは、大きなグリルに飽きているのか、それとも“オラオラ”顔はまだまだ支持されるのか。新しいデザインを採用したモデルの売れ行きに注目です。

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