マシンは過去最高の仕上がりだったが……
結果からお伝えすると、TRD(TOYOTA CROSS COUNTRY TEAM THAILAND))が挑んだアジアクロスカントリーラリー2018(以下、AXCR)は、2台のハイラックス・レボ(タイでの販売名)を投入し万全の体制で挑んだものの、非常に難しいラリーとなった。
2WD・4WDの切り替え付きのクルマで常に4WDを選択しないほうがいい理由
リヤサスを4リンク化した102号車(Jaras JEANGKAMOLKULCHA/Chupong CHAIWAN組)は、4日目のSS4でウォーターベッドでスタックし、さらにエアクリから水を吸ってしまいウォーターハンマー現象によりエンジンの1気筒がブロー。あえなくリタイヤとなってしまった。
6月に開催されたフィンク・デザート・レース2018に参戦したマシンを使用した114号車(Mana PORNSIRICHERD/Kittisak KLINCHAN組)は、AUTO(4輪)の総合&T1Dクラス(市販車ディーゼル改造クラス)で5連覇を果たしたIsuzu The Land Tranceport Association of Thailandの101号車(いすずD-MAX、NattaponANGRITTHANON/Peerapong SOMBUTWONG組)から遅れること1時間54分34秒で5位入賞を獲得するも、必勝態勢で臨んだ今大会だけに決して喜べる結果とはならなかった。この結果を受けてTRDの柏村さんに話を伺うと、「2016年、2017年と比較して今年のマシンはベストの状態でしたが、年々、ハイスピード傾向が薄れるラリーとなって私たちにアドバンテージが見出しにくく、厳しい結果となりました」と、総括。
なかでも8月13日(月)にタイ・パタヤをスタートして18日(土)にカンボジア・プノンペンでゴールした今年のAXCRは、ラリー中こそ雨に祟られることはほとんどなかったが、雨季真っ只なかの影響でコース上はスリッピーなマット路面が続き、さらにウォーターベッドがコースに立ちはだかるなど、ここ数年のAXCRのなかでは、タイやカンボジアの国内戦を戦う地元ドライバー/コ・ドライバーの地の利が結果に大きく影響したことは確か。実際、総合3位には地元タイから参戦した、マシンポテンシャルに劣るT2Dクラス(市販車無改造ディーゼルクラス)のいずずD-MAXが入賞しており、日本勢にとってはコースロストやスタックに翻弄されたラリーとなってしまった。
TRD同様に、過去にバハ1000のクラスウィナー経験のある123号車の塙 郁夫/染宮弘和組のハイラックス・レボは、T1G(市販車改造ガソリン)クラスから参戦するも、マシントラブルにより総合20位(クラス8位)に終わったほか、昨年の10位以上を狙いT1DクラスにエントリーのチームJAOSの107号車(能戸知徳/田中一弘組)のハイラックス・レボは、初日のSS1で駆動系にトラブルが発生。
制限時間内にフィニッシュすることができず4時間のペナルティを受けてしまう。後半巻き返しを図り、SS2では5位。SS4では3位フィニッシュするなど初日のトラブルが悔やまれる総合10位でAXCRを終えた。そのほか、FLEX SHOW AIKAWA Racingから5年ぶりのエントリーとなった俳優の哀川 翔さんは、SS4で制限時間オーバーとなり9時間30分のペナルティを受けながらも、最終のSS6まで見事走り切り総合16位(T1Gクラス6位)でフィニッシュ。 3度目の正直を信じ必勝態勢で臨んだAXCRだが、マシン以外のソフト部分で改善の余地がまだまだありそうだ。反面、車両の戦闘力については一定の評価をしており、来年の参戦はいまのところ未定だが、さらなる飛躍に期待したい!
日本チームの結果は下記のとおり。
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