ニューモデルのレクサス「ES」は、フラッグシップである「LS」に次ぐサイズの大型セダンだ。その全長は4975mmで、GSの4880mmを凌ぐ。
「じゃあ、ESはGSより高級なの?」と、問われると返答に窮する。たしかにサイズのうえではGSの上位に立つESであるが、GSとESはそもそも方向性が異なっていて単純には比較できないからだ。
「LSを頂点とし、レクサスのセダンにはふたつのラインがあります」 と、語るのはレクサスの広報担当者だ。「ひとつは後輪駆動のGS、ISと続くラインで、こちらはスポーティな走りを主軸に据えています。いっぽうのESは前輪駆動を生かしたスペースユーティリティが魅力。つまり、GSとESはどちらが“上”でどちらが“下”ではなく、性格付けが異なっていると捉えていただければ幸いです」。
クーペ・ライクなESのエクステリアはLSとどこか似ていているけれど、ボディサイドを1本の力強いキャラクターラインが貫くESのほうがコンセプトは明確で、個人的には好ましい。おなじく個人的な意見であるが、シンプルな造形のESを見ているとレクサスのエクステリア・デザインが新時代に突入したような気がする。
インテリア・デザインもフォーカスが明確になった。これまでの“段々畑式ダッシュボード”をあらため、ステアリングを中心に据え、重要な操作系や計器系を水平に伸ばした造形は意図が明快なうえ、ドライバーが視線移動で迷うことがないように思う。機能性ばかりでなく、デザイン性の点でも不満を覚えない。
パワートレーンはトヨタ最新のハイブリッドシステムだ。モーターに組み合わされる直列4気筒 2.5リッターのエンジンは178psと221Nmを発揮。しかも最大熱効率は量産車最高レベルの41%に達し、ESに搭載された状態ではWLTCモードで20.6km/ℓの好燃費をマークする。
トヨタのハイブリッドといえば、エンジン・パワーが駆動輪へダイレクトに伝わっている印象が薄い“ラバーバンド・フィール(ゴム紐のような感触、の意味)”という、あまり嬉しくない評価がしばし下されてきたが、ESはこうしたフィールがまずまず気にならない範囲まで消し去られていて、もどかしさを覚えなかった。絶対的なパワー感も合格点以上だ。
今回の試乗したコースは、山口県の宇部空港から福岡市内のホテルに至る約300kmの距離であった。ワインディングロードも含まれていたが、力強いパワーユニットのおかげもあって思う存分コーナーを攻められた。
「スペースユーティリティがウリのセダン」と、聞くと、なんとなく“ファミリー・カー”のように思ってしまうが、そんな思い込みを覆してしまうほどESの走りはダイナミックだ。
乗り心地はフラット感が強く意識される仕上がり。いっぽう、F/R=マクファーソンストラット/ダブルウィッシュボーンのサスペンションは、大きなうねりを乗り越えるときはスムーズに伸縮するものの、小刻みに素早く振幅する入力は苦手らしく、足まわりもしくはボディのどこかかが“ゴトゴト”と振動しているような印象を受ける。
こうした傾向はグレードによって異なっていて、スポーティグレードの「Fスポーツ」は、サブフレームのようなやや大きめのパーツが揺れているように感じられるのに対し、ラグジュアリーグレード「バージョンL」は、タイヤの踏面がこわばっていて路面の凹凸を吸収しきれていないように思われた。
レクサスは数年前から“すっきりした乗り味”を標榜し、マイナーチェンジを受けたISやGSは「ハンドリングや乗り心地にクセがなく、振動や騒音が徹底的に排除された透明感ある乗り味」に仕立てられているのが印象的であったが、ESで認められた微振動は、今のレクサスが目指している方向性に背を向けるもので、いささか残念に思ったのを付けくわえておきたい。
いっぽう、後席の広さは驚くばかりで、ひざまわりのスペースはクラスを越えた余裕がある。乗り心地についていえば、前述した微振動はリアシートでも同様に感じられるものの、車体の前後が上下に動くピッチングはよく抑えられていて、前席に迫るフラット感を味わうことができた。
ESの話題はほかにもある。とりわけ注目したいのが、ドアミラーの機能をカメラとモニターに置き換えた「デジタルアウターミラー」を世界初採用した点だろう。モーターショーに展示されるデザインコンセプトでよく目にするこの新技術は、通常のドアミラーに比べ、ボディ外側に突き出す部分を小型化できるため空気抵抗や風切り音を低減するのに有利なほか、サイドウィンドーが曇ったり雨滴がついたりしても良好な視界を確保しやすい。ESではさらに、右左折時や後退時にディスプレイに表示される画角を拡大したり、夜間でも見やすい感度に自動補正したりするなど機能を追加し、安全性の改善を図ったという。
なるほど、こういった仕掛けはよく練られているかもしれないが、個人的には、ディスプレイに表示される画像がやや粗く、コンベンショナルなミラーに比べ、目で確認出来る情報量がいくらか減っているのが気になった。また、慣れの問題かもしれないが、斜め後方を確認するとき、どうしても従来ドアミラーがあった位置に視線が向かってしまい、「あ、これはデジタルアウターミラーだったんだ」と、気づいてからディスプレイを見つめ直すたびにわずらわしく思った。
もっとも、現時点における最大の弱点はディスプレイ取り付け部のクオリティ感で、アフターセールス品を思わせるプラスチック部品の仕上がりはいかにも興ざめ。レクサス・ブランドのイメージにまったくそぐわない。
率直にいって、足まわりの微振動は早急な改善が期待されるものの、基本的なデザインやスペースユーティリティなどの点でESが大きな可能性を秘めているのは事実だ。その意味で、今後の熟成が楽しみなモデルといえるだろう。
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