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名乗らない「隠れミッドシップ」は多かった! 前エンジンの「フロントミッドシップ」の絶大な効果と課題

掲載 更新 16
名乗らない「隠れミッドシップ」は多かった! 前エンジンの「フロントミッドシップ」の絶大な効果と課題

 この記事をまとめると

■フロントミッドシップはエンジンをドライバーの前方にレイアウトする

「本物のミッドシップ」は限界域でも難しくない! レーシングドライバーが語る「残念な」MR車とは

■フロントアクスルとリヤアクスルの間にエンジンが搭載されていればミッドシップとみなす

■フロントミッドシップは速さを引き出す上では通常のミドシップと遜色ない

 エンジンをフロントに搭載するミッドシップレイアウトもある

 レーシングカーや高性能スポーツカーの多くはミッドシップレイアウトを採用している。重たいエンジンを車体の中心近くに搭載することでZ軸まわりのヨー慣性モーメントを小さくすることができ、運動性能を高めることができるからだ。

 一般的にはドライバーの後方に最重量物のエンジン配置し、隔壁を設けてキャビンと隔てている。そのため、後席スペースを確保することが困難で、ほとんどのミッドシップレイアウト車は2シーターとなっている。もちろんF1などのフォーミュラーカーはシングルシーターのミッドシップとなる。

 同じミッドシップでも、エンジンをドライバーの前方にレイアウトするフロントミッドシップレイアウトも存在する。「それって、普通にフロントエンジン車でしょ?」と問われそうだが、じつは同じフロントエンジン搭載車でもミッドシップ化することが可能なのだ。

 ミッドシップ化は車体中心にエンジンを搭載することが理想値だが、実際には乗員スペースとしてコクピットやキャビンが必要なため、車体ディメンションの完全中心にエンジンを搭載する例はほとんどない(大昔のレーシングカーで完全中心搭載例が見られたが、コクピットが異常に前進していて衝突時に危険なため現代のクルマでは見られなくなった)。

 今ではフロントアクスル(前輪車軸)とリヤアクスル(後輪車軸)の間にエンジンが搭載されていればミッドシップとみなす、という定義が定着しているのだ。

 たとえばフロントに縦置きで6気筒エンジンを搭載するモデルに、エンジン長の短い4気筒やV型6気筒(片バンク3気筒)エンジンを搭載すると、偶然的にフロントアクスルの後ろに収まる場合がある。これらもフロントミッドシップとするならば、該当車はかなり多く存在することになる。

 速さを引き出す上ではエンジン搭載位置は問題ではない

 また、フロントにエンジンを横置きし、前輪を駆動するFF車にもフロントミッドシップに分類できる場合がある。

 初代ホンダNSXやトヨタMR2などはリヤアクスル寄りの通常レイアウトだったが、エンジンはFF車のパワートレインをほぼそのまま後方に移動させたようなものだった。FF車は、フロントアクスルの前にエンジンを搭載しているようなオーバーハングレイアウトで、前後重量配分が極端に悪くなるが、それをリヤアクスル側に移せばミッドシップ化が可能となり、重量配分が良くなる。ただ、ホイールベース内の位置からみると、ほとんどリヤアクスルの直上であることから、実際の運転特性はリヤエンジン搭載車に近いものだった。

 逆に通常のFFモデルのエンジンの前後向きを逆転させ、フロントアクスルの後方にエンジンの重心がくるように搭載し、横置きエンジン前輪駆動フロントミッドシップとした例もある。量産モデルでは少ないが、JTCCなどのツーリングカーレース仕様で試みられ、FRより速かったシーンが各所で見られたのだ。

 マツダの2ローターロータリーエンジンはもともとエンジン長が短く、フロントに搭載してもホイールベース内に収まり、フロントミッドシップとなって優れた運動性能が示せていたと言える。

 また、積極的にエンジンのフロントミッドシップを意識して設計され、高性能化を実現したモデルもある。現行のR35型日産GT-RやメルセデスAMG GTがそうだ。

 両車の手法は似通っている。GT-RはV型6気筒エンジンを、AMG GTはV型8気筒エンジンをフロントアクスルより後方に縦置き配置する。そこに通常の形式でトランスミッションを繋ぐとキャビンを圧縮し、運転席を後方に配置しなければならなくなるため、エンジンとトランスミッションを切り離し、トランスミッションはリヤアクスルに設置するトランスアクスル方式としているのだ。

 エンジンと同様にトランスアクスルも重たい機構であり、ホイールベース内に搭載することが理想的で、リヤアクスル直前に置くことで後輪荷重も稼ぐ理想的なレイアウトといえる。結果、GT-Rは後席も確保でき、大人4人が乗れるフロントミッドシップスーパースポーツとして、世界中の支持を得られることとなったのだ。

 レーシングカーの世界でもフロントミッドシップが速さを示したこともあった。1999~2003年にル・マン24時間レースを筆頭に、アメリカン・ルマンシリーズで活躍して速さを示していた「パノス」だ。日本のチーム郷も2000年にこのフロントミッドシップ・パノスLMP-1を擁してル・マン24時間レースに参戦している。

 こうしたレースシーンでの活躍からフロントミッドシップは速さを引き出す上では通常のミドシップと遜色ないことが示されてきたが、衝突安全性を確保するためにフロントオーバーハングが長くなり、また排気管の取りまわしやコクピットへの排気熱の影響が大きくなるなど課題も多かった。トランスアクスル化することで高速のまま回転するプロペラシャフトが車体を貫通し、その振動抑制や剛性確保でカーボン製プロペラシャフトを採用するなど、コスト的な負担と重量増加も無視できないものだった。

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みんなのコメント

16件
  • 我々素人と全く変わらないような人が記事を書くのは止めて欲しい。
  • だから何?
    言葉の定義だけで記事が終わってるじゃん。
    結局何が言いたい?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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