9月29日~11月2日にかけて世界ラリー選手権(WRC)第11戦ラリーニュージーランドが開催される。2021年はWRCカレンダー復帰が決まりながらも、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて開催を断念。今年再びカレンダー入りを果たし、2010年以来、実に12年ぶりとなるWRCの開催を実現することになった。
PHOTO:Red Bull Content Pool ニュージーランド・ラリーの路面はカマボコ形状なのが特徴。ドライバーはテクニックが要求される。前回(2012年)のニュージーランドを走るシトロエン DS3 WRC(セバスチャン・ローブ)PHOTO:Red Bull Content Pool今回のラリーはノースアイランド最大の都市オークランドを拠点とし、周辺のグラベル路(未舗装)を走行。ニュージーランドのグラベル路は高速かつスムーズ。両端がカマボコ形状に落ち込んだ特殊な路面に加えて、3次元的なコーナーが複合的に組み合わせられるため、ドライバーには高い技量が要求される。
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このラリーニュージーランド、そしてサファリラリーとラリージャパン、その共通点をご存じだろうか?
そう、2022年のWRCカレンダーにおける「欧州圏外イベント=フライアウェイ・イベント」だということ。1973年にスタートしたWRCは、ヨーロッパ・ラリー選手権を下敷きにしており、参戦チームも欧州メーカーが中心だったため、歴史的にヨーロッパでの開催がメインとなってきた。実際、今年のカレンダーも13戦中10戦がヨーロッパのラリーだ。
WRCを統括するFIA(国際自動車連盟)は、モータースポーツの市場拡大、そして「世界」ラリー戦選手権を名乗っている以上、ヨーロッパ以外での開催を増やすべきという方針を掲げている。それもあり、2023年はカレンダーが13戦から14戦に拡大され、ヨーロッパ圏外イベントが現在の3戦(サファリ、ニュージーランド、ジャパン)から、5戦に拡大すると言われている。
FIAは「5大陸を網羅するカレンダー」を目指しているため、中南米からはメキシコの復活が有力。以前行なわれていたチリやアルゼンチンは政情不安が続いており、WRC開催は厳しいと見られている。もう一戦、有力候補と言われているのが、中東のサウジアラビアだ。中東地域では一時期ヨルダンでのWRC開催があったものの、2011年が最後。現FIA会長は中東(UAE)出身のモハメド・ビン・スライエムであり、サウジアラビアでのWRC初開催は充分にあり得る。
サウジアラビアの砂漠を疾走するトヨタ・ハイラックス PHOTO:TOYOTA以前、サウジアラビアでのWRC開催が持ち上がった時は、砂漠に何パターンものSSを設定できる、複合型仮説スタジアムを建設するという、オイルマネー頼りの荒唐無稽な計画が噂されていた。もしWRCカレンダー入りが実現すれば、これまでのWRCの常識を覆す、盛大な一戦が実現するかもしれない。
2008年のラリージャパンを戦うSUZUKI SX4 WRC。旧ラリージャパンは、グラベルラリーだった。 PHOTO:SUZUKIちなみに、今年のラリージャパンはヨーロッパ圏外イベントとしては、初めてターマック(舗装)ラリーとして開催される。WRCの参戦機材の多くは船便を使って運ばれるため(一部航空便も使用)、スペースや予算の都合から同じ機材で賄うことが求められる。そのため、ヨーロッパ圏外イベント=グラベルラリーという時代が長く続いた。実際、2010年まで北海道を拠点に開催されていた旧ラリージャパンは、グラベルラリーである。
しかし、近年のFIAはラリーの多様性を推進。グラベルとターマックのSSがひとつのラリーに含まれる「ミックスサーフェイスイベント」の実施を認めており、実際2020年までのラリーカタルニアが、ミックスサーフェイスとして開催されている。ミックスサーフェイスが可能であるならば、欧州圏外でのターマック開催も……ということになったようだ。
日本のラリーファンとしては、ようやく開催されるラリージャパンは、車高をギリギリまで落とした最新ラリー1マシンを間近で見られる最高の機会。しかし、チームにとっては、ラリージャパン一戦のために舗装用装備一式をはるばるヨーロッパから運ばなければならないため、「できればグラベルで・・・」と思っているかもしれない。
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WRCだけじゃなくF1も同じだけどね。