大荒れのWRCアクロポリスラリー3日目。クレバーな走りでロバンペラが首位浮上「自分のペースにも満足」

　TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームが参戦しているWRC世界ラリー選手権第10戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』は9月9日、ラミアを起点に競技3日目のSS7～12が行われた。トヨタGRヤリス・ラリー1の4台体制で今戦に臨むTGR-WRTではカッレ・ロバンペラ／ヨンネ・ハルットゥネン組が総合首位に浮上。エルフィン・エバンス／スコット・マーティン組が総合3番手につけた。

　TGR WRCチャレンジプログラムにより出場する勝田貴元／アーロン・ジョンストン組は、前日に引き続き総合6番手に。一方、SS11終了時点でトップに立っていたセバスチャン・オジエ／ヴァンサン・ランデ組は、SS12でのアクシデントのあとデイリタイアを喫している。

　一日を通して順位が激しく入れ替わる、荒れ模様となったアクロポリス・ラリーのデイ3は、サービスパークの南側のエリアで3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。今大会最長、合計141.52kmのステージは完全にドライなステージもあれば、週前半の豪雨の影響がまだ残り、湿っていたりぬかるんでいるステージもあるなど、さまざまな路面コンディションでの戦いになった。

　前日のデイ2で総合2番手につけたオジエは、2.8秒差でラリーをリードするティエリー・ヌービル（ヒョンデi20 Nラリー1）と激しいトップ争いを展開。オープニングのSS7で2番手タイムを記録し、首位に立った。続くSS8ではライバルに再逆転を許すも、ヌービルが午後のSS10でクルマにダメージを負いデイリタイアとなったことでふたたび総合トップに立つ。

　ところが、そのオジエもSS12でサスペンションを損傷。満身創痍のクルマで同ステージを走りきったものの、その後デイリタイアを喫した。

　オジエのデイリタイアにより、この日の6ステージ中5つのステージでベストタイムを刻んだロバンペラが新しいラリーリーダーとなり、総合2番手に浮上したダニ・ソルド（ヒョンデi20 Nラリー1）に2分04秒4の大差を築いてデイ4に駒を進めることとなった。

「つねにリスクを冒し過ぎないようにしていたが、それが奏功して良かった」と語ったロバンペラ。

「自分のペースにも満足していて、ハードにプッシュしながらも、ラフなところでは少しペースを緩めてクレバーに走ったんだ」

　前日の総合4番手から3番手に順位を上げたエバンスは、午前中最後のSS9においてラジエーターにダメージを負い、ペースダウンを余儀なくされた。ステージ終盤はEVモードで活用しなんとか歩みを進めたが、この間に約60秒を失ってしまった。

　クルマを修復して臨んだ午後のステージではソルドとの接近戦を展開。最終的に総合2番手につけたライバルとわずか5秒差の総合3番手となった。

■走行距離が短い最終日も油断大敵

　勝田はSS10が終了した時点では総合5番手につけていたが、SS11の途中での2回のタイヤ交換により約5分のタイムロスがあった。これにより総合7番手に順位を落としたが、オジエのデイリタイアにより順位がひとつ上げてラリー3日目を終えている。

「タフでチャレンジングな一日になるだろうと予想していたが、まさにそのとおりの一日だった」と語るのは、TGR-WRTのスポーティングディレクターを務めるカイ・リンドストローム。

「とくに午後の再走ステージは、クルマにとっても選手にとっても厳しいものになった。まず不運にも（ティエリー・）ヌービルがリタイアし、最終ステージでは悲しいことにセブ（セバスチャン・オジエ）のクルマがスロー走行するシーンを目にすることになった。そこまで彼は非常にいい位置につけていただけに、本当に残念だ」

「一方で、カッレ（・ロバンペラ）にとってはいい一日になったと言える。彼はまたしても賢い走りを見せ、すべてが問題ないと感じた時にプッシュしていた。明日は走行距離が短いが、それでもこのようなラリーでは何かが起こる可能性は充分にある。カッレとエルフィン（・エバンス）のふたりが表彰台に立つことを願っているよ」

　競技最終日10日（日）のデイ4は、同じくラミアを起点にサービスパークの北西エリアで3本のステージを走行する。伝統的なステージである“タルザン”を走ったあとに迎えるSS14／15“グラムメニ”は当初の予定よりも距離が短縮されており、その影響で3ステージの合計距離は41.37kmとなっている。最終SS15は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる“パワーステージ”だ。