タービン交換&ハイカムで生まれ変わったEJ20改2.2L仕様
全回転域での太いトルク特性を実現するJUNの技ありメイク!
元々はジムカーナ仕様だったというこのGDBスペックCは、オーナーの「サーキットを気軽に楽しみたい!」という要望に合わせて“JUNオートメカニック”がチューニングした1台だ。
コスワース製ピストン/I断面コンロッド/クランクシャフトを組み合わせた2.2Lユニット。心臓部は、JUNのカスタムキットを組み込んだ2.2L仕様だ。そこにHKSのGT2835タービンを投入してブースト圧1.5キロ時に362ps、49.2kgmを発揮。ピークパワーよりも、レスポンスや全回転域でのトルクの太さを重視してセッティングされている。細部を見ていく。
タービンは高回転での伸びを意識してGT2835。カムシャフトは全域のトルクアップを狙っての選択だという。ポイントになるのは、GT2835タービンとハイカムの組み合わせ。純正タービンは低回転から一気にブーストを立ち上げることで加速感を演出しているが、これではすぐにタレてしまい、中高速回転での伸びが得られない。
そこで、高回転レンジが期待できてパワー特性のバランスも良いGT2835タービンと、フルブーストが掛かる回転数を引き下げるためのハイカム(IN&EX:264度/リフト量9.8mm)を投入。これでブーストアップ仕様と同じようなトルクの立ち上がりに、二回りほど厚みを増したものになるという。ちなみに、リフト量が9.5mmを超えるカムにはバルブスプリングの装着が必須になる。
各部のリフレッシュも兼ねて排気量アップを敢行。JUNの排気量アップキットは92.5φコスワース鍛造ピストン、I断面コンロッド、79.0mmストロークのクランクシャフトから構築される。
EJ20の耐久性を考えると、腰下の強化が必要になるのは400psオーバーから。この車両のように、350ps前後ならばエンジンノーマルでも問題はないが、JUNでは走行距離の伸びた個体には各部のリフレッシュも兼ねた排気量アップを勧めている。
インタークーラーはARCの純正置き換えタイプを使用。ラジエターはSARD、オイルクーラーはHKSのものを装備していた。こうなると冷却系などのパートも見直したいところ。この車両は、インタークーラーは前置きタイプではなく純正置き換えの上置きタイプを選択。というのも、前置きタイプを組み込むとパイピング長が伸びてレスポンスが鈍る。さらに、ラジエターへの走行風を遮ることになるため、水温もヒート傾向になりがちだからだ。
何より、水平対向エンジンは構造上ウォータージャケットが狭いため、他のエンジンに比べて水温上昇による影響が大きい。そうした理由から、JUNでは400psを超えない限りは上置きタイプを推奨している。
制御用ツールは助手席のグローブボックス部にマウントしている。セッティングにはF-CON Vプロに加えて、吸気側のみに採用される連続可変バルタイ機構『AVCS』をコントロールするバルコンも使用。バルコンの効果は大きく、プリセット状態で装着しても低速の加速感が段違いに良くなるという。
足回りは、サーキット走行を前提にしたジールファンクションXプラスでセットアップ。スプリングレートはフロント12kg/mm、リヤ10kg/mmだ。ブレーキは純正ブレンボキャリパーに、エンドレスのローターとパッドを組み合わせる。
タイヤはアドバンネオバAD08Rの255/40-17を前後通しで装着。ホイールはエンケイ・コンペティションの8.0J+45をチョイスする。
発熱量の多いEJ20エンジンは、トラブルを防止するためにも追加メーターによる水温・油温や油圧の管理が重要。視認性の良いオクヤマのGDB専用4連メーターフードに、60φデフィリンクメーター(油温、水温、油圧、ブースト圧)をインストールしている。
リヤセクションはサーキットスペックらしく、後部座席とフロアカーペットを外して軽量化。ボディ補強は特に行っていないが、グレードがスペックCのため純正で後部座席の下や裏側に補強バーが入れられている。
GTウイングは、富士スピードウェイの1コーナーの突っ込みなどハードブレーキング時に姿勢を安定させるために装着。純正レベルの低速トルクを確保しつつ、タービン交換によって高回転の伸びも手にしたこのGDBは、サーキットを全開で走る楽しさと街乗りでの使い勝手を両立した懐の深い1台。EJ20搭載車としては古い部類となったモデルだが、後継のVABにも引けを取らないポテンシャルを秘めていることが分かる。
●取材協力:JUNオートメカニック 埼玉県入間市狭山ヶ原松原102-1 TEL:04-2934-5335
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〇リフト量が9.5mmを超えるカムには強化バルブスプリングの装着が必須になる。